SANCおねがいします
稚拙な文章ですが、頑張って面白くするので、よろしくお願いします。
2070年4月5日某所
「……どこだ、ここ?」
目を覚ますと、知らない場所だった。
昨日は間違いなく自分の家で寝た。
にもかかわらず、俺は起床したこの部屋に全く覚えがない。
「……」
混乱する頭を落ち着かせながら、まずは周りの様子を確かめた。
八畳くらいの、大きめな部屋。
ベッドやデスクなどの家具はあるが、雑貨の類が一切ないため、生活感が感じられない。
まるで、ホテルの様な一室だ。
「誘拐、にしては拘束されてないし、スマホもあるし――って!」
スマホあるなら、GPSで現在地分かるじゃん!
嬉しいような、直ぐに気づけずに恥ずかしいような気持ちになりつつ、スマホのロックを解除し、地図アプリを開いた。
「ここは……島?」
現在地を示す青い点は、とある小さな島を指していた。
これでは地球のどこなのかが分からないため、縮尺を弄ってみると、左の方に見覚えがある列島を見つけた。
どうやら、太平洋に浮かぶ島の一つらしい。
「どうしてこんなことになったんだ……」
「それについては私が説明しよう」
「うわっ!?」
いつの間にか、部屋の中央に人がいた。
何というか、不思議な人だった。
中性的な風貌。体つきは男性らしく少しゴツいけど、顔つきからは女性らしさを感じる。
また、年齢も分からない。若いようにも感じるが、見方によっては六十代と言われても納得するような、本当に不思議な人間だった。
「こんにちは。佐藤誠一君、でいいかな?」
「はい、そうですけど……アナタは?」
「すまない、私に名前はないんだ。どうしても呼びたいなら、校長と呼んでくれ」
「校長はもうある人の固有名詞なのですが……」
不気味な人ではあるが、人と話せて落ち着いてきた。
「で、どうして俺はこんな所にいるんですか?」
「そうだね――君は、頂天学校を知っているかい?」
「まあ、名前くらいは」
頂天学校。
まず、この世界には様々な専門の学校が存在している。
学ぶことを一つに絞り、職人のような人間を作り出す学校だ。
そして、そういった学校には、時に他を寄せ付けない圧倒的な天才が現れる。
高校一年の段階で、専門学校で学ぶことがなくなった彼らを集めて、全く違う分野の天才と競わせる場、それが頂点学校だ。
「簡単に言うと、分野を問わない天才のみが通える、特別な学校ってところだね。君には今日から、その頂天学校に通ってもらう」
「えぇ!?」
俺は専門ではなく、雑多なことを学ぶ普通の高校に通っている。
成績も普通。突出したものは何もない。
高校二年が始まる時期なので、年代的には合っているが、俺は何の才能も――
「もしかして……俺は何かの天才なんですか?」
「いいや、君は極めて普通な一般人だ」
「なんでやねん」
期待していた分、がっかりしてしまった。
憐れむような声で、校長が語りかける。
「頂点学校には今まで様々な分野の天才しかいなかったのだけれど、『一人くらいは一般人を入れた方がいいんじゃないか』ということになってね。一般的な高校の普通の人間で、次年度に急にいなくなっても大丈夫そうな、君が選ばれたんだ」
「酷い!」
確かに、交友関係は狭かったけども!
「これは頂点学校を運営する、世界政府の決定だ。天才たちと過ごすのは様々な困難があるだろう。時に命の危機にみまわれることもあると思うが、頑張ってくれたまえ」
「そんな他人行儀な!」
「冗談だよ。一応対策は用意している。忍田さん」
校長がパンパンと手を鳴らしたかと思うと、屋根から紫色の塊が落ちてきた。
トンと身軽な音を鳴らして着地し、小さな少女が俺の前に跪いた。
「忍田三首、参上したでござる」
「この子は忍者高校から来た忍の天才だ。彼女も同じ学校に通うので、君の護衛をするように依頼した」
「そう、なんだ。よかったー」
「じゃあ、私はここらでお暇するとしよう。入学式が二時間後に始まるから、それまで二人で親睦を深めておいてくれたまえ」
そう言って、校長は立ち去ってしまい、部屋に残るのは俺と忍田と呼ばれた少女だけになった。
急におしゃべりな人がいなくなって、気まずい空気が流れる。
「……こんにちは」
「こんにちは、でござる。主殿」
あ、呼び方って主殿なんだ。
こそばゆい感じもするが、偉い人になった気分で、悪い気はしない。
「気楽にしていいよ。とりあえず、自己紹介しよう。俺は佐藤誠一。見ての通りごく普通の高校生だ」
黒髪黒目、身長も丁度平均で、顔が特に整っているわけでもない。
どの学校にも一人どころか十人はいそうな、少し暗いだけの一般人。
うんうんと頷きながら、俺の自己紹介を聞き終えた少女は、自己紹介を返した。
「拙者は忍田三首。忍者高校のトップにして、未来の里の長になる者でござる。三首でいいでござるよ」
「分かった」
身長140センチくらいの、高一とは思えない小柄な少女。
制服の上に着た、紫色でフードの付いた外套に、そこからはみ出したオレンジ色の髪、そして、頭の上には犬のような耳が乗っている。
「何、その耳」
「なんのことでござるか?」
「いや、その――」
「なんのことでござるか?」
……触れない方がいいようだ。目が笑ってない。
「というか、忍者って初めて見た。忍術とかできるの?」
「当然でござる。主席なので」
そう言って、手で印の様なものを組んだかと思うと、三首が三人に増えた。
「影分身の術でござる」
「おおおおおおお!」
健全な男子高校生なので、忍術を見ると当然興奮する。
許可をとって肩を触ってみると、全てに実体があった。どんなトリックを使っているのか見当もつかない。
『どうでござるか?』
『これが』
『忍術だよー♡』
「……なんか変なのいない?」
「気のせいでござる」
なんかギャルっぽいのいた気がするが……まあ、本人がそう言うなら気のせいなんだろう。
色々隠していることがありそうな気がするけれど、中々愉快なヤツであることは分かった。
「よろしくな、三首」
「こちらこそでござるよ、主殿」
「俺も誠一でいいよ?」
「いえ、主殿は主殿なので。ところで主殿、拙者は護衛の都合上、一緒にこの部屋に住むのでござるが……」
「え、そうなの?」
「もし房中術をご所望であれば……」
「い、いや、いい」
顔を真っ赤にしながら提案してくれたところ悪いが、見方によっては小学生に見える子とヤるのはちょっと……。
俺よりデカかったら危なかったかもしれない。
……決して俺が経験なしでチキったとかではないんだ。うん。
「それより、俺にも使える忍術ってないの?」
「ま、まあ簡単なものなら……」
三首は、安心したように、ホッと息を吐いてから、忍術講座を始めた。
「では、拙者の得意忍術、威嚇を見せるでござる」
「威嚇……?」
『ワン!』
犬の威嚇のような、野生らしい大音量。
鼓膜を破壊し、直接脳に響くような特殊音声。視界が霞み、頭がくらくらしてきた。
校長の、天才たちと過ごすと、巻き込まれて死ぬ危険性があるという言葉が頭をよぎる。
「やっぱお前、犬じゃねえか!」
「気のせいでござる」
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作者のXにはキャラの紹介イラストを載せているので、興味があったらそっちもチェックしてください。
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