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みんなの懸け橋

インフル治りました。ペコッ! 


 地下空洞の奥底で、マーストンは久しぶりに、ニンフの声を聞いた。

 そして彼女は振り向き、彼を見た。


「マーちゃん、この人食べないわ」


 マーストンは思わず固まってしまう。

 そしてセラティーの、クックッと笑う声が聞こえた。


「マーちゃん」

「マーストン」

 祖父は生前、キッチンでニンフにマーストンと、名前で呼ぶ様に訂正していた、けれど……訂正できなかったようだ。


 彼は、そんなことを思い出しつつ、彼女とアゾトのもとまで歩いて行った。


「ニンフ、無理強いは良くないよ」

「わかった」

「それにマーストンだよ」

「……わかった」


 このやり取りも久しぶりだった。

 あの頃は祖父もいて、ニンフを置いて、都会の学校へと行く話が出ていたけれど、今ではもっと遠い地下空洞、家族揃って居ることになるとは、思いもしなかった。


 アゾトに頭を下げて、ニンフをみんなのもとへ連れてくると、ラドルさんの隣りに、ちゃっかり椅子に腰かけているホワイトがいた。


 ラドルさんを見ると、彼は首を振るだけ。


 今回の元凶の執事が、結局、ダークエルフのクリスティーヌを探しての顛末としも、魔族の彼女の父アゾトが事を納めてくれるのなら、ホワイトには出て貰うまでもないと言うことだろう。


 そして……。


 レイソンはいつの間にか、紐で縛りあげられていた。

 さっきまでは、負傷して倒れていたのに……。


「意識が回復したら、止めたんだが剣を抜こうとしたんで縛った」

「アレックス、すまない手間をかけてしまって、彼の妹に相談してくる」

「ぁ……、わかった」


 少し離れた場所で、ケイトとクリシラ、そしてセラティーが、すでにレイソンの相談をしていた様だ。3人、膝をつき合わせて話していた。


「いい案、浮かびそう?」

 マーストンが3人に声かけると、ケイトは静に首を横に振る。


「おにちゃん、一瞬でやられちゃったから、やられた時の記憶が曖昧みたい」


「ボクは1回冒険をしたくらいだからな。けど、これ以上、怪我は治っても、起き上がる気力を奪う事になるだけだよ」


「僕が思いつくのと言えば、今回の失態を罵倒して、レイソンが怒ったところで、呪符を使えばついてくるとは思う。思うがしたくない……」


 マーストンはそう言うと、セラティーに魔力の回復飲料を手渡した。

 彼女はそれを開けて、一気に飲み干す。


「それしかない! やろう!」

「もう、セラティーすぐに、ってもう魔力回復飲料は無かったのかい?」

「ううん、マーストンの回復飲料水は、どれも美味しいから」

「祖父、秘伝の作り方だからね」


「お祖父様も、マーストンもそういうとこまめだよねー」

「うん、まあ……」

 マーストンとセラティーの様子を、クリシラも、ケイトも、目を見開いて見ていた。


「二人は親戚?」

「うん、そうだよ。よく似てるでしょう」


 セラティーは、マーストンと腕を組んで、顔を近づけて見せる。


「そう言われると、なんとなく……」

 そうケイトは答えるが、クリシラは僕らの顔を見比べて、眉間に少しだけシワを作った。 


「どうだろう? 私にはわからないや」


 そう言われても、やっぱりセラティーはいつも通り笑っている。

 いつも、こんな時の、本人のセラティーより、マーストンの方が心臓が少し痛くなる。


 ◇


 1度、「セラティーは平気なの?」と、聞いた事がある。


「ボクはニンフみたいなものだから、平気だよ。あの家の子になって、ヒーラーの修行はあるけど、二人と親戚になれてボクは幸せなんだー」って言っていた。


 ◇


 だから、僕が今、言える事は、「顔が似ているかはとにかく、自慢の従姉妹なんだ」って事だと思う。


「マーちゃん、お世辞言っても何も出ないよ」


「はは、そっか……、ってここら辺で、勘弁して欲しい。恥ずかしくなってきた。一度、ラドルさんと帰宅の相談をかねて、説得のために部屋を借り事の相談もしてくるよ」


「「はーい」」


 そしてラドルのもとへ、帰ってくる。


「レイソン様はどうでした?」

「彼の怒りを和らげる手立ては、見つからなかったので、部屋を借りて大勢で説得した方がいいかもしれません」


「置いていけば、勝手に護符を破り戻って来るだろう?」

 そう発言したホワイトを見る。


「「もし、そこでアゾトが怪我をすれば、元の木阿弥以上の、最悪な結果になるからだめです」」


 そう言うと、ホワイトは深く考え込む様に黙った。


「エルフ側は、この結果で納得なんですか?」

 マーストンはそう言うと、ラドルさんは何も言わないでいてくれた。


「納得せず、ここへも来られた者は、あの執事が殺して回った者の1人か、親族だから、新たな犠牲者を出したくないだろうね」


「ギルドとしても、魔族クラスは一般的に回避対象ですかね。執事に来ないもしくは、戦いを挑まない様にお願いして帰りますか。……、後はレイソン様を説得した後に。帰って、明日の弁当の仕込みする時間があるだろうか……」


 そう言って、ラドルさんは黙りこんでしまった。


「……やはり、僕が交渉に行くのか……」


 そう、マーストンは1人呟いた。

 しかし、その手に、小さな手が両側から手をつながられる。


「行くわよ」

「はい、いきましょう」


 ニンフとクリスティーヌ。


「頑張って来い」

 いつもは頼れる、アレックスはレイソンの見張りの様だ……。


 続く


 

見ていただきありがとうございます。


またどこかで~。

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