ダークエルフさんの父親
新たな迷宮に、レイソン達が取り残された。
彼らを救出するため、執事が居た2階の部屋小屋へ、階段を上がり踏み入れる。
そこには僕らが座っていた椅子が、散らばり、そしてへレイソンは、椅子の輪を乱す様に倒れていた。
そして彼に付き添うケイトが居た。
そしてあの執事のエルフも、彼は一番置くの椅子で、レイソンたちの様子を眺めるように座り見ていた。
「レイソン、ケイト!」
そう驚きの声をあげる、セラティーの声を聞き、こちらを見ていた。
彼らのもとへ駆け出すセラフィー、彼女に続くマーストン回復の出来るふたりと、そして執事のスピードに対応に対応できる可能性のあるアレックスが、レイソンのもとへ。
レイソン、彼はは血の気の引いた顔で、倒れていた。
だいぶ容態は思わしくない彼に、すぐにラフティーがヒールをかけていく。
「ケイト、君は大丈夫?」
「私は何故か見逃されていて、大丈夫。でも、レイソンは彼に攻撃を仕掛けてしまって……。ここままでは危ないところだったでしょうね」
彼らのまわりには、体力を回復させる飲料薬の空瓶が、何本も転がっている。
それがもう、尽きようしていたようだ。
マーストンと袂を分かってから、彼らもまた、いろいろと変わっているらしい。
「傷は癒えてきているけど、意識はいつもどるかわかんないよ」
「ニンフの薬草はどうだろうか?」
「ここまで、意識レベルが低いとどうだろう? たぶん女神のお膝元へ今、いるレベルだからね」
「とりあえず、薬草は口にくわえさせてみせて」
「わかった」
セラフィーに先ほど受け取った、ニンフの薬草を手渡す。
もし、意識が戻らない場合、彼はどうするのか?
たぶん、意識のない状態で、彼に護符を破らせても、効果があるか微妙なところだった。
「ケイトとりあえず、君は一階へ行って、そして現状わかっている事、この状態を下にいる仲間に伝えてくれないか?」
マーストンは、彼女に体力、魔力回復のための飲料系の薬を差し出す。
「ありがとう、お願いします」
そして階段の軋む音が聞こえた。
そして残った彼らは、執事については素知らぬふりを続け、治療と、その警護を続けた。
――しかし、
「お嬢様を、呼びに行ってくれたのですか?」
「いえ、まだです。まず、彼に治療を施さないと」
「そうですか……。 力を貸しましょうか? 今回は趣向を変え、友好的な交渉を致しましょう」
そう、彼は肘置きに肘をつき、足を組み、その上に両方の手をのせていた。
どう見ても、マーストンたちを侮っている格上の存在だ。
「ありがとうございます。では、どんな風に……」
「そうはいかないぞ!」
その声に、足元のレイソンに、慌てて目をやったが、そうだ……あの声は、ホワイト。
彼らは2階へ上がる決断をしたようが、今回に限っては、ホワイトを連れ来たのは悪手だったかもしれない。
とても、凄く……。
その予想はやはり当たっていたようで、目の前の、片方のエルフの表情は悪い方へと変わっていく。
「あー……待ってください。今、貴方は僕と話していますよね? 順番をわきまえないエルフは、しばし放置でお願いします」
マーストンは額に手を置き、エルフの執事にもう片方の手でストップをかけた。
そして腰を受かしていた彼も、ふたたび腰を掛ける。
人にはおごった態度で切り抜けると判断するが、同じエルフにはそうでもなかったらしい。
執事が止まってのを確認した、アレックスが僕の横を歩いて、ホワイトに頭をペコリと下げる。
「ホワイト、勇者の役はこんだけ人間がいるのだから、誰もがきっと似たような事を言うはずだ。しかし後ろをどっしりと構える。賢者としてのエルフは居ない。そこを頼む」
「……君たちにそんな、血気盛んな人材がいるとは思えないが?」
「あそこに居るのが、そうだ。血気盛んにあのエルフに挑んで、返り討ちになっている。意識が戻らないんだ、まず、あいつの治療から頼む」
「あぁ、任せるがいい」
そう言って進み出て、レイソンと、セラティーの横についた。
そしてアレックスは元の位置へ。
「ホワイトか……、あのエルフの道化師は、今はヒュームの前で芸を披露していると、聞いていたが……、ヒュームのいい様に、好きに使われているじゃないか?」
「そうですね。エルフの道化師、言い得て妙です。それでヒュームの王を好きに使えるのなら、誰より巧みにその生を、生きていると、言っていいでしょうね」
短所なふたりは戦わせてはならないと、僕が間へ入る。
「丁寧に言えば言いたい事を言っていい。そう思っていませんか?」
「それはちょっとは」
「それは正直でいい。死ぬ確率が少々上がりますがね」
「それで結局、今日は何を」
「私ですか? では、見ていただきましょう。アゾト様お願いします」
アザト? そう問いかける暇もなかった。
◇◇◇
「何故、シンシアがこの男を傍に置いたの我には、全くわからない」
そこは王座で、しかし装飾はどこまでも質素だった。
黒い壁、黒く長い絨毯に、そして王座の椅子に黒い肌の見知らぬ人物が座っている。
髪は黒く、瞳は赤い、まだ若者って言っていい年頃だった。
「魔王……」
そう、アレックスは戸惑いの表情で言う。
「面倒くさー……」
めんどうくさい?
アゾクと呼ばれた人物が言ったと、思ったら、玉座から立ち上がり、ダークエルフさんのもとへ歩いて行く。
そして彼女の脇に手を入れて、「ちちだぞ!」と言って、彼女を高く持ち上げる。
ダークエルフさんも持ち上げられているにも関わらずに、冷静に下のアゾトを見下ろし、「お父さん?」と、問いかける。
「そうだぞ! アハハハハ!」
彼、アザトはダークエルフさんに似ているか? と、言われるとあまり……、朗らかそうなところが、似てるくらいだった。
「待って、シンシアと言えば、ヨゼフの家のシンシアなのか?」
ホワイトの声を聞くと、アザトは彼女を降ろす。
「クリスティーヌ、あのエルフにいじめられてたりしなかったかい?」
「大丈夫です」
「僕は真実しか言ってない」
そうやや、前のめりにダークエルフさんと、ケイトや、クリシアの後ろで声をあげたホワイト様。
「言ったのか……、エルフは、自分たち以外の劣等種になら、何を言ってもいいと思っている」
アゾトはそう落ち着いた声で、ホワイトに視線をちらっと向けただけだった。
どちらかと言えば、エルフよりは落ち着いている。
そうマーストンが注目した執事は、ホワイトへ歩みよろうとしていた。
一直線に、だからすきだらけになってしまっていた、だから素早くマーストンは、執事の足を引っかけた。
次に、アレックスはそのまま、彼の上にのり抑え込んだ。
頭に血が上りやすい彼を、捕獲することに成功した。
しかしマーストンたちの新しく向けた、視線の先、アゾトの方へ振り向こうとした。
彼がどうでるのかのか?
しかしマーストンの横を彼は通り抜け、アレックスの方へ。
そしてアゾトは、アレックスの前で足を上げていた。
それを力いっぱい踏み下ろす。
執事の……悲鳴と鮮血が辺りに飛ぶ、しかしまわりにバリアが貼られていた様で、壁に飛び散った様にそれは止まり、すぐびゃりと赤いそれは地面に落ちていく。
「ガードを解いたね。いい行いだ。だが、我に絶対服従の態度を見せる前に、正すべきだ。その思慮の浅い性格を」
アゾト、彼は執事にとっては絶対らしい。
しかし彼は本当に友好的なのだろうか?
続く
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