気まずい思い
スレッグさんは、一番最初の合同クエストで、ダークエルフさんに文句言っていた人です。
ちなみに、ラドルさんは、ベル持ってうろうろした後、受け付けにいました。
ここはギルド、そして今は1月毎の迷宮の時期。
しかし【世界樹の葉】のダークエルフ様の関係者らしい執事のエルフが、その場を荒らしていた。
そして自動的に、チトセがメインに事に当たる事になってしまった。
「ラドルさん顔、貸してください」
事務所の裏で、資料と格闘していた彼は、チトセを見上げた。
「なんだ? うっとしい冒険者でも、今から襲いに行くのか?」
「うーん、ある意味気難しい存在ではあります」
「スレッグさんか……、あの人は臨時で、時々しか来ないのだから、我慢しないとなー」
「あの方じゃないですよ。 ラドルさん、あの方嫌いなんですか?」
「いや、まぁーちょっと」
そう言うと、資料の入っている箱をしまい、長椅子のソファまで行くと、ラドルは足を組み座った。
私がついていくと、前のソファを手で指し示す。
「面接みたいですね。ちなみに、ラドルさんはなんの話をしました?」
チトセは目の前で、腕を組んでいる。ラドルさんを、実はちょっと苦手だった。
立派な先輩で頼りになるんだけど、ふだんぶっきらぼうで何を考えているかわかわない。
だから、ちょっと話し過ぎてしまう。
「別に、想定していたことの範囲ないだったから、練習していた事を話しただけだ」
「あーラドルさんらしくていいですよねー。私はちょっと話し過ぎてしまって……」
目の前を見ると、やっぱりラドルさんは、厳しい顔つきでチトセを見ていた。
もしかして余計な事を、話しすぎた?
「いいんじゃないの? 冒険者も殺伐としたところから帰って来て、チトセのそんな話が、聞きたい時もあるだろうし」
「そうでしょうか? うんうんそうだったらいいなぁー」
彼女は緩やかに、肩の力が抜けて笑顔をみせた。
そして何故か、ラドルさんまで腕組みをほどき、肩の力を抜いてふぅと息をはいた。
「あっ、誘っておいてすみません。お茶、飲みますか?」
「飲む。お前といると、緊張し過ぎて調子が狂う」
失礼な……彼女はそう思いながらヤカンを持った。ラドルさんがコップの用意を始めた。
「あっ、私がやりますよ」
「いや、俺がやった方が早い」
それは確かにそうだった。
「すごい! レストラン部門の人みたいですねー」
「私がそう言うと、ラドルはビクッとなってこっちを向く」
「ちょっと近いんですが、貴方のパーソナルスペースどうなっているんですか?」
「はぁ……、すみませ……ん」
そして紅茶ができ、無言で、紅茶を飲む。
事は、できずに「凄く美味しいですね……」
そう、彼の顔を見ずになら、うるさいだろうなぁ……っと思いつつ、そう言えてしまうわけで……。
「では、話しをしていいですか?」
「ああ」
彼は腕を組み、足を組んだ。その姿勢が一番集中出来るのかもしれない。
「ホワイト様に【世界樹の葉】の皆さんと共に、迷宮へ行ってもらいます」
「許可は?」
「まだ、貰っていません。でも、今回の件にあの方を関わらせなければ駄目なのです」
「理由と手段は」
「理由は、私たち、人のくくりでは、この問題は手におえなくなっています。
1.執事が迷宮に現れる仕組みがわかりません。迷宮なら、彼らの方が専門家です。ヒュームは彼らから降りてきた仕組みを、使っているに過ぎません。だから、ホワイト様を迷宮に、連れ込みます。
2.1と話しはまるかぶりなのですが……、迷宮へ降りれば、ホワイト様がひどい目にあう確率が高いです。それを踏み台にして、各国の王、ならびに聖域にいるエルフを釣りましょう。
ダークエルフさんの立場が危ぶまれますが、大丈夫です。何気に彼女のまわりにはVIPが揃っています。大国の公爵の息子に、SSランクのパーティーの召喚師と魔法剣士の息子、最悪な事態には、彼らもそのパイプを使うでしょうし、それにギルドマスターも知り合いらしく。彼らにばれないように頑張って貰います」
「お前は……悪魔の子か?」
「失礼な人の子ですよ!」
そう言って、チトセはごくっと紅茶を飲む。
ラドルはいつのまにか、正されていた姿勢のまま、ソーサーごと紅茶をもった。
黄金色のその中には、いつもよりいびつであるが、冷静な彼の顔が映り混んでいた。
「で、手段は? どうやってホワイトを落とす?」
「それはー……考えていますが、やはり完璧な作戦ではなくて……、一緒について来てもららっていいですか?」
「時間外か……?」
「そうなってしまいますね。ホワイト様ですから……」
「わかった。じゃーその時は、一緒に食事をしよう。食事の偏りが心配なら、俺の家で俺が料理を作っても構わない」
「うーん、デートみたいですね」
「デートだな」
「ラドルさんは……もしかして、私の事、好きなんですか?」
「そうとってもらっても構わない」
「うーん、結婚はしたいと思っていましたが……、結婚した場合どうなりますか?」
「ああ、そこは俺には答えられない。俺がするのは王宮側に移動する申請を出し、宰相コースへ乗れるとこまで、突き進むことそれだけだ」
「ラドルさんらしいですね……。じゃーこのまま勤められそうですし、割り勘でいきましょう! では、今日からお願いします」
「じゃ、片付けるか」
「はい!」
◇◇
「チトセー! 担当の冒険者様が来たから出て!」
事務所から、彼女が呼ばれた。
「いいよ。俺がやっとく」
「あっ、ありがとうございます! では、行ってきます」
彼女が消え、そしてギルドマスターの部屋の扉が、ぎぃ……っと音をたててゆっくり開く。
「ラドル、俺にも紅茶」
「はい、はい」
彼はお湯を沸かし始める。
「それから、ラドル、チトセは、ちゃんと愛情表現をせずにいても怒ることがないが、それはお友達にすり変わっていると、同意義だからな」
ラドルは、珍しいお節介を言う、ギルドマスターを睨み付けつけ。
「大丈夫です。大人なんで、好きだ。愛してるだの、今日は泊まって行けよとかは、ちゃんと言えるんで!」
その時、ガチャと、音がしてチトセが、赤い顔をして事務所に通じる扉から、顔を覗かせた。
「あのラドルさん、迷宮でラドルさんの担当のパーティーと組んだ方々だったので、一緒に話しを聞いて貰っていいですか?」
「あーーーー、ギルドマスター、紅茶、後は自分でやってください」
ラドルを隠し、小さく叫ぶと、いつもの平時の顔になった。
「わかった。頑張ってくれ」
「……では、行きましょう、チトセ。パーティーの名前は?」
「えっ?! ……あっ、はい。パーティーの名前です……ね……」
そして……やはり、凄く気まずかった。
続く
見ていただきありがとうございます!
また、どこかで。




