チトセの計画
普通にやると、なんか、戦ってばかりの話になりそうです。
そうすると、自分が飽きそうでこうなりましたー。
最近、ギルドのクエストと言えば迷宮攻略だった。
なんと言ってもシーンズの中盤戦、宝箱が出現しだし、冒険者の皆さんのテンションは爆上がりなのです。
そうなると、さすがにホワイト様から迷宮ダイブを止められていた、マーストン様たちのテンションも少しだけ低くなったのでした。
一人、掲示板の前で時を過ごす、そんな事をマーストン様を見て、彼らの担当のチトセも『これはいけない……』そう思い、何やら一人、心に決意するのでした。
そしてある日の午後、彼女の前に『世界樹の葉』の皆さんが勢揃いしました。
――いつもながら、皆さん身長がとても大きいです!
「チトセ、手紙を貰って来てみたんですが、何かようですか?」
そう緑の色鮮やかなスーツを着こなし、マーストン様はおっしゃいました。
「足を運んでくださりありがとうございます。皆さん。私、見てしまったんです。皆さんが暗い顔をして外の掲示板を見ていたのを……ですので、担当の皆さんのメンタルケアーも、私の役目、大船に乗ったつもりでおまかせください!」
チトセがそういうと、皆さんは顔を見合せてしいました。
――あれ……? 迷宮へ行けず、マーストン様は一人悩んでいたのではないのですか?
そう思いながら彼らの顔を見まわすと、アレックス様には何やら思い当たる事があるようです。
そんな顔をしています。私にはわかりますよ!
「あの時じゃないか? ラディッシュ大豊作の……」
「あ……ニンフのー!」
そう言うと、ニンフちゃんはえへん! と、腰に手を当て威張り顔です。
――萌え……。
そうチトセが思っていると、マーストン様が言いにくそうに……。
「最近、ニンフがノームの所で貰って来た、ラディッシュだけを一度に成長してしまった事があったじゃないですかー。その時は、確か、貰ってくれる場所に困っていて、その時期に、一度ここの掲示板で待ち合わせを……」
ラディッシュ、赤いかぶ、最近サラダで……。
「あー……」
チトセは、そう声を上げてしまいました。
◇◇◇◇
――そういえば以前、ふらりマーストン様が入ってきて、丁度、手の空いてた私に、
「ラディッシュ作り過ぎてしまって、いりませんか?」
そう聞いてきたことがありました。
普段買う事のない野菜ですが、サラダに使うことは知っていました。なので、1かぶだけですが貰ったら、鞄の所へしまいに行く際に、ラドルさんに「公私の区別はちゃんとつけてくださいね」とすれ違う際に言われた事がありました。
でも、結局はラドルも3かぶぐらい貰っいて、笑顔で帰っていくマーストン様を見送った後に、「ふふん、ラドルさん、ちゃんと公私の区別はちゃとつけてくださいね。……ってところで、そんなにラディッシュ貰ってどうするんですか?」って聞いたら……。
「サラダなり、漬けるなり好きにしたいいんじゃないですか」
彼に、女子力の高さを見せつけられたんだったわ……。
そう言えば、マーストン様が寂しげだったのは、その次の日の出来事だったかもしれません。
◇◇◇◇
やってしまった。そんな気持ちをなるだけ出さないように、チトセは話を進める事にします。
「ありましたねー、そんなこと、その節はご馳走さまでした」
「いえいえ、こちらこそ貰ってもらってありがとうございます」
そう、礼儀正しくマーストン様は返答をしました。
「うーん、そうだったですか、ですが今回のクエストは、無人島での竜退治です! 経験者の皆さんにはうってつけのクエストですよ! しかも時間制なので、お弁当が出ますし、海で遊ぶこともできるんですよー」
「へーいいじゃないか」
――さすが、アレック様わかってるー!
「いきましょう」
ダークエルフさんの言葉の後に、ニンフちゃんがマーストン様の服をひっぱり、真剣な顔をしてうなずかれています。
そうすると、ニンフちゃんになんやかんやで、甘いマーストン様は陥落するはずです。
「ニンフ、海は川と同じくらい危ないからね。わかってる?」
ニンフちゃんは片足を、軸足を超えて後ろへ下げる。そして背筋を伸ばしたまま、膝を折り曲げた。あれは……カーテシー!?
思わずチトセは手を口にやり、驚きを隠せなかった。
――さすが、『伯爵家』……。
彼らは影で他の冒険者から呼ばれていました。
だいたいマーストン様の洋服センスからだったが、ダークエルフの彼女も前衛だけれど、マーストン様を真似ている様で、黒魔術師の儀式の際に着るようなものを着用している。
そしてやはり前衛のわりに上品なアレックス様と、可愛らしいニンフちゃんはいろいろ衣装を買って貰ている様だ。
私も初めて、冒険者さんが彼らのことをそう呼んでいるのを見た時、なるほどっとなったものでした。
「ニンフ、わかっているのかな?」
「大丈夫だろう」
どうやら、クエストには参加してくださるようです。
船の操縦係に、なんでも免許を持っているラドルさんの予定もおさえていたので、危ないところでした。
「では、三日後、港からでますから、是非水着のご用意を」
そう彼女は言った。
伯爵家御一行様に水着を着せるのは、だいぶ問題とは思うけれど、私にお任せください。
彼女は、彼らの背中をに向かい心の中で、そう語り掛ける。
続く
見ていただきありがとうございます。
またどこかで!




