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応接室での出来事 2

 

「あー腰が痛い! この机は低すぎて頬杖もつけない」


 この街の誰よりも長く、生き、人類の様々なことを見てきたエルフ。

 その彼は、我々の視線を断ちきる様に、両手をテーブルに付けて、腰を上げた。


 そして彼は吟遊詩人の長い袖を広げてから、衣裳の埃を払うような仕草をした。


 彼の横に座るチトセはぶつかる袖を慌てて避け、スザークさんは困った奴だ、という顔をしてホワイトさんを見上げた。


「まぁ、出来ない話だろうが、今から話しはここだけの話にして欲しい。200年ほど前、希少なハイエルが何人か殺されている。聖域の奥深くの出来事で、詳細は上がってない。と、言われている。しかし犯人は森のエルフとされ、そのエルフを保護していたもハイエルフはそれより前に失踪している」


「では、今回の執事が、その森のはエルフだと、言うのか?」


「うーん、それはわからない。しかし魔界側から現れるようなハイエルフ、もしくはそれに準じる者という大きな枠で、有名どことと言えば、そいつが頭に浮かんだだけ」


「お前は領事館の主だろうが……」


「だが……、今のエルフの生態は、エルフの住む深い森に阻まれて、人間界まで降りてこない。その奥のハイエルフと聖域の出来事というと……」


 そうホワイトさんは、応接に飾られている賞状を眺め言った。


 僕は隣に座るダークエルフさんを見た。

 ダークエルフさんの出生の秘密と魔界、エルフの執事。るきり

 それらは簡単に関連づけてしまえるし、関係ないのかもしれない。


 みんな、出ない答えに困惑しているのか、しばらくの沈黙が続いた。


 そして……。


 ホワイトは扉を開け、「じゃーね!」と、言って出て言った。


「「!?」」


 スザークが立ち上がり、開いたままの扉の向こうへ向かって叫ぶ。


「ホワイトを無傷、無事故で連れて来た奴は、ギルドランク1つランクアップ進級させる!!」


 地の……底から出たような「ウォーー!?」ってどよめきが上がる。

 すぐに出ていく、冒険者によって、玄関のベルが続けざまに鳴り響いた。


 期待に胸を膨らますように、陽気に話しながら話す声も聞こえる中で、スザークは静かに、扉を閉めて僕らのもとへ戻って来た。


「駄目だな。追っていった奴は、Bランク以下のパーティーばかりだった。相手がホワイトである事と、アイツの熟知している街中である事を考えてか、大半のAランク以上の奴は大半すぐ諦めやがった。あいつら保身に走りやがって……」


「………………」

 ホワイト様も大概だが、ギルドマスターのスザーク決断力があると言うか、やはり大概なのでは? と、うっかりそう思ってしまう。


「普通、何年、生きたかわからないエルフを、相手にしょうと思いませんからね」

「だが、手の空いてるラドルは行ったぞ」


「えっ、ラドルさんは、夜勤してませんでした? でも、ラドルは資格の取得が趣味みたいなものですから……」


 やや呆れ気味にチトセは言う。

 僕の認識が、間違っているのかもしれない。


 上に立つ事の難しさを、生態を考え、用意されていた紅茶の芳醇の香りに誘われて、紅茶に手を付けた。


 微かにアップルに似た、味わいが口の中で広がる。

 そのカップにそそがれた琥珀色を眺めながら僕は言った。


「結局、何もわかりませんでしたね」


「わかったこと言うか、魔界側から現れたとホワイトは言った」 

「では、やはりあの執事は魔界側の人間」


「お前たちを追って来なかった事で、10中8,9そうだだが、迷宮はそれを認めていないかもしれない」


「迷宮の意思? そんなものがあるのか?」

 僕らの話を確認するように、聞いていたアレックが口を開いた。


 そもそも、迷宮の発生って事自体が、僕らの中で結論が出ていない。


 広い世界、地理的な関係だと思うが、迷宮が発生しない地方もあるらしい。

 今でこそ、迷宮の結果を恐れ、迷宮と地下の大空洞内の魔界について、各国間で伝達、話し合いを経て、認知度はずいぶん高い数値になってきている。


 しかしその前の時代では、ある地方では、地の底にマグマが詰まっているという事を、真実にしていたし、お年寄りの間では今だ真実だと思っている。


 そう理科の授業のこぼれ話として、先生が話して教えてくれた。


 そんな迷宮を見て育った人間でも、その謎は深く、未知の領域である。


「彼が僕らを追って来なかった、不思議。そして彼が魔界側の人間でも、生き残っていても、迷宮の出口の魔法陣が開いた不思議。でも、不思議を起せる力が、あの執事にあるんでしょうか?」


「それはわからない。だが、多くの不思議を破壊して、こちらの世界がやって来た一軍を、魔王の軍勢という。しかし現状では、そこまで事態は深刻ではないようだ。最初に言ったように、お嬢さんを迷宮の奥底へ近づけなければ、今は済むだけの話だ。今まで報告が上がって来ていない事が、それを証明している」


「だが!」

 両手を机に付け、吠え掛かるように、アレックスはスザークへ顔を近づける。

 僕は彼の背中を擦り、「アレックス」そう言い、首を振った。


「だが、そう言う気持ちもあるだろう。真実が知りたいなら、A,いやSランクになれば話は聞こう」


「話の流れはわかりますが、Sランクなれるのは、ひと握りのパーティーだけなんですよ……」

 そう、それまでの道はとても険しい……。

 底なし沼の底にある、宝箱をみつめる気持ちになって呟いた。


「多分、今年は無理だろうな」

 えっ、アレックス、今年?


「頑張りますね!」


 そしてニンフにいたっては、子どもの頃、葉っぱをお金に見立てて、持っている子どものように、薬草を扇のようにして持っていた。


 確かに、薬草があればある程度の肉体改造も無理ではないだろう。


 ですが、僕は召喚士で、体力はあまり関係ない。

 精神力でイメージし、魔力でそれを補う。


 精神力はある程度、浮かび上がってくる。

 きっかけは様々で個人によるところが多い。


 不安が心を覆い、静かに額に汗が流れる。


「マーストンさん、お任せください! ギルドでは迷宮のクエストを使えない場合でも、万全を期して『世界樹の葉』の皆さんを、バックアップ体制をしていきますからね!」


「そう言うことだから、観念しろ」


 そう、ギルドマスターは静かな声量で言った。


「はぁ……。よろしくお願いします」

 僕は応接室でこうべをたれ、そう答えた。


 続く


見ていただきありがとうございます。


また、どこかで。


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