パーティーメンバー
白いエルフのホワイトは、『勇者シュナウザーと姫の恋』の演劇で王様であったが、主役だった。
僕らの知っているストーリーから、変えられ残った謎のストーリーに戸惑いながら、ホワイト様のまわりの人だかりが消えるのを待っていた。
「やぁー君たちお待たせー」
身長が高く、目立つ僕らの方に、白い衣の裾を持た、ホワイト様が、走って来る。
お姫様に見えなくもなく、田舎から出て来た僕に動揺する。
「すみません。ふたたび来てしまって」
「いや、いいよ。サインか握手かい?」
「……いや、そうではなく……」
「ボランティア活動の具体的な回数が知りたい。貴方とギルドに任せておけば安心ではないように思えて来て、すまない。また来てしまった」
「そうか……あれに手をつける時が来たか……」
「あれ……?」
そして弓矢を売っている。彼のお店の隣りへ案内してくれた。
エルフ領事館は看板のない普通の家の用だった。
案内してくれたホワイト様の視線の先には、チェス専用テーブルの横に、重く、大きな机の上に多くの書類が積み重ねられ置かれている。
彼が近寄り、一枚書類を取ると雪崩式に書類がバサバサと落ち埃がまい、少しだけ喉の奥がざらざらしていた。
「これは、一度掃除するべきでは?」
アレックは書類を手に持ち、その下にある多くの書類をただ眺めていた。
「お手伝いしましょうか?」
「いや、さすがにこの量はひと仕事だろう? ギルドへ申し込んで貰いやすい金額を、貰うべきだろう。そうすれば後で、契約すればお互いあと腐れがない」
「それはそうですが、どうしますか? ホワイト様」
彼が、書類の山を見ている。しかしぴらっと書類を眺めているだけのように見える。
「わぁ……」
あの埃だらけだった家に住んでいたダークエルフさんも、この量の紙自体を見るのは初めていなのか、その量の多さに驚き、ニンフは見かねたのか書類を重ね、トントンとし重ねようとしている。
僕も横で手伝うが、パサパサとしていて手をすぐに切ってしまいそうだ。
しかし周りを見回し、置く場所がなく諦めたようだ。
それを渡された僕は、しばらく呆然とたたずむ。
「大晦日には、街の人々が助けてくれるだけどね……」
「えっ? それは先の先じゃないですか!?」
「さすがに年末には片付けようって気も起きるんだ。けれど……秋も始まってない時期の今ではだめだ」
書類の上をサラっとなで、ホワイト様は悲しそうに僕らの方へと訴えかける。
「これは……、やはり、ボランティア活動の回数などについては、ギルド職員に任せよう。なんていったってホワイト様とは付き合っている時間は、彼らの方が長い」
そう決意を秘めた緑の瞳で、彼は言う。
「まぁまぁ、すぐにかえらないで、その前に彼女がどこから現れたのか聞こうじゃないか」
そう求められて、今までの経緯を彼に話した。
「へ~、『妖精の迷い森』に、彼女が……」
彼の目はやはり、ダークエルフに対して少し冷たいようだ。
「何か、知っていますか?」
「いや、知らない」
「妖精の迷い森は、迷わせている存在が居れば、そう呼ばれるからな」
「えっ?」
「人間は危険な場所には、名前の印を付けたがる。だから、名前が似たり寄ったりするだけさ。ところで、君たちは今は、善良な部類な人間だという事がわかった。このお嬢さんも、ダークエルフのわりには素直だ。なら、ボランティア活動については、魔物討伐は9回受けて達成する事が1。そして迷宮へ潜る事。そうすれば……」
「そうすれば?」
「いいねー、いい相槌だよ。わかってるー。 そうすれば私も王の気持ちがわかるかもしれない。リアルぽさと演技に少し隔たりを感じてね」
そう、ホワイト様が演技のスランプだからといって、ニンフが立ち上がって、肩をポンポンと叩いていい相手ではないと思う。
「王様?!」
そうホワイトがニンフと遊んでくれたが、僕はニンフに手を差し出し、僕らのもとへつれもどす。
「迷宮はちょっとなー」
「ありがたい話ですが、まだお互いの力量もわかってない状態です。いつ出るか不明な迷宮攻略へ、すぐに参加することは難しいかもしれません」
「そうか……人間は成長するのは早いが、そこまではなかったな。」
「だが、目標と考えてくれればいい。参加できなかった場合は、その時考えよう」
「わかりました。では、失礼しま」
そういう僕の肩をホワイト様は掴み、長い腕で、僕らをふたたっび中へ招待するような動きをしている。
「ちょっと待ったまえ、気が変わった。30分だけ掃除をしょう」
「えっ……」
そう……えっ……と言いはしたが、30分くらいだったらと、みんなして付き合ったのだった。
◇◇◇◇
【レイソンパーティー】
【妖精の迷い森】で、マーストンを置き去りにして、全てが悪い方へと変わり始めた。
「おにいちゃん、ギルドのクエストへ行けなさそうだよ。どうするの!?」
「クリシア、小さい声で話せ、田舎者だと思われる」
海辺の街オアハジの、ギルドの待合室で長いこと待っていると妹がキャンキャンと騒ぐ。
この街は、スイジースの町から一番近い、ギルドのある街。
普通に考えて、冒険者を手広くうやるなら、どこへでも行ける港街あるここへ来るはずだった。
それに街がデカいだけあって、ここまで俺たちとマーストンの話は出回って無かった。
だが、そんな事が問題にならないくらい回復の出来る奴が居ない。
「ギルドに任せて、手の空いているヒーラー待つしかないな」
「そんなにまつなら、お金なくなっちゃうー」
「宿屋の前の通りでも、ケイトがヒーラーを探しているし、そのうちなんとかなるだろう」
「そうかな? ……もーなんでマーストンはいないの! 街を出ていく時、パーティーの仲間を連れていたなんて、もー薄情なんだから!」
そう言ってクリシアは、ふたたび声をあげた。
だが、マーストンには帰って来て、貰わなければならないようだ。
それだけ面倒みたし、パーティーの動きも教えた。
だが、合わなければ話にならない。
続く
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