表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/26

第三章 捜索〜反応しない警察犬〜

「出発するぞ。ルートは地図のここと――こっちの旧林道側。

それぞれ二班に分かれて進入」


捜査主任の指示に、隊員たちがうなずく。


樹海の入り口で、1匹の警察犬が低くうなっていた。


「おい、大丈夫か?」


ハンドラーが首輪を軽く引く。だが、犬はその場から一歩も動こうとしない。


「……どうした?」


ハンドラーが手のひらにシャツの切れ端を乗せ、犬の鼻先に近づける。

リョウの服についていた、友人の衣類の一部だ。


警察犬は匂いを嗅いだが――次の瞬間、顔を逸らした。


「……?」


さらにもう一度匂わせる。今度は犬が一歩、後ずさる。


「主任、犬が反応しません。というか……拒絶してます」


捜査主任が眉をひそめた。


「どういうことだ。何も反応がないのか?」


「いえ、違います。明らかに“何かを感じてる”様子なんですが……

匂いを追おうとしないんです。むしろ怯えてる」


その言葉に、一瞬、場の空気が凍った。


隊員たちが無意識に足元を見る。

朝露を含んだ地面には、確かに足跡が複数、残っている。

だが、それを追おうとする動物が――拒んでいる。


「……とにかく人の足で追うしかないな。無理はさせるな」


捜査主任の声には、微かに緊張が混じっていた。


木々の間へ、捜索隊が慎重に歩を進めていく。


その奥で、なにかが、微かに揺れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ