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第八皿 『聞くは怪談、人の夢』



 ここはのどかで良い


 たまに妖精が寄って来るが


 静かなので気にならない



 《クロ ここはたしかに良い所だが 面白みに欠けるな》


 「ふふっ 花しか無いからねぇ 何か探すかい?」




 《んー 亜人の居る所にでも行くか》


 「それは 面白そうだね」



 私は、この花園を出ていく事にした


 結界へ向かおうとすると、妖精達が心配そうに付いてくる



 「おやおや お前達は付いて来たらいけないよ」



 妖精達はとても悲しい顔をした


 仕方がないので、式神を置いていった


 灰色の猫だ、オニが『サービスだ』と言い


 黒い霧を出し、式神の尾を2本にしていた


 それを見て、妖精達がとても喜んだ



 「なかなか 粋なことをするのだね」


 《一本じゃあ 雰囲気がでねえからな》



 私は森を抜け、川沿いを歩いた


 川面がキラキラと輝いて、魚が跳ねている



 そのまま歩き続け、洞窟を見て回ったり


 木の上に登ったりして数日



 私は、水辺のある場所へとやってきた


 水辺の前で見渡していると


 遠くの方に、不格好な家屋が点々としている


 水辺の中に、何かが住んでいるらしい



 《おいクロ 前に見たトカゲみたいなのが居るぞ》


 「、、(本当だね ここに居たのかい)」



 トカゲの亜人が、私に気付いた


 亜人は、何やら驚いて、他の家に呼びかけをしている


 数人、数十人、多くの亜人が私の方へ向かって来た


 私は場所を変えようと、水辺から離れた



 すると、亜人達は水辺の中で膝を付き


 両手を結んで祈りだした



 《お、おいクロ なんだこりゃ》


 「、、(なんだろうね 猫を信仰する文化でもあるのかね、、)」


 


 亜人の1人が立ち上がり、こちらへ向かってくる


 その亜人は、陸地の前で立ち止まり、私へこう言った



 「神の使いよ、ようこそ起こし下さいました」



 《はあ? 神の使いだってよ 変な信仰だな》


 「、、(まあ 無い話でもないよ 元の世界にもそういった場所はあるからね)」




 《食われやしなさそう、、だな》


 「、、(ふふっ そうだね)」




 私は水辺に入り、亜人の案内で、家の中へと入った


 目の前には、老いた亜人が座り、こうべを垂れている



 「神の使いよ、この度は 我がリザードマンの民を救って頂き、感謝いたします」



 《この度? 》


 「、、(以前の亜人達だね ほれ、お前さんが牢から助けた亜人だよ)」




 《ああ!あいつらか! いや、お前もやっただろ》


 「、、(ふふっ 私はお前さんに手を貸しただけさね)」




 そこへ、見知った亜人が話しかけてきた


 「神の使いよ! 我らの事を覚えていらっしゃるか!」



 《こいつは あの時の亜人か》


 「ああ 覚えているとも 久しいね」




 《おいクロ 喋って大丈夫なのか?》


 「もう隠す事もあるまいて」



 「おお! やはりあの時の神の使い! 真に、、感謝いたします!」


 亜人は深々と頭を下げ、涙ぐんでいた


 色々と供物を出され、昔話などを聞かされた、、





 なんでも、その昔、千年ほど前、、


 聖戦の最中、亜人達は魔法を封じられたそうだ


 かつての勇者が魔王を討ち取る際に


 加護を使って、この世界の、魔術の知識を消し去った


 だが人間達は知識を残し、魔法を扱えた


 魔王は打つ手無し、自力で戦い敗れた、、



 その後、人間達は魔術を暗号化し


 人間だけが魔術を使い、亜人は扱えぬ存在となった



 かつて人間と友好関係だった亜人種も


 時が進むにつれ、友好が薄れ


 いつしか人間の奴隷に成り下がったという



 そして驚く事に、その勇者は未だ存命だそうだ


 かつての魔王城に帝国を築き


 『聖帝』と名乗っているそうな、、、


 


 《なんだそりゃ 怪談話か??》


 「ふふっ この怪談も 人間からすれば、夢のような御伽噺おとぎばなしさ」







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