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第五皿 『亜人が使えぬ、術のわけ』


 ここの馬小屋の屋根は、寝心地が良い


 ちょいと下を見れば、水もある


 馬は何やら私に脅えているがね



 しかしどうもこの世界は、元の世界と違って


 人間が悪さをするのだね


 元の世界にも、悪いやつは居たが


 ここよりは良い世界だったと、思わなくもない


 そろそろ住む街を変えようか



 《なあクロ 不思議なんだが》


 「なんだいオニ 不思議な事ばかりじゃないか」




 《んー、 ここの亜人達は 人間よりも強いと思うんだが》


 「そうだね 亜人は人間よりも強い だけど、自分より強い者を使役したがるのは 元の世界の人間も同じだよ」




 《んー、なんで 人間は亜人を捕らえられるんだ? 見た所 武器なんか 弓と剣くらいしか無いように見える》


 「弓より強い武器を作る必要が無いから じゃないかねぇ」




 《どういうことだ?》


 「ほら ごらん 魔術の店があるよ この世界には 多くの人間が それを使えるようだ」




 《亜人は 使えないのか?》


 「さあ どうだろうね それは私にもわからない」

 


 《魔術の店とやらを 見てみたいな》


 「ふふ 面白そうだね」




 私は、魔術の店の周りを歩いた


 窓から中の様子が見れた


 何やら本が沢山置いてあるようだ


 人間が1人、店に入って来た


 店主とお話をして、本を出してもらっている




 《おお クロ あの本で魔術が使えるようになるのか?》


 「ふむ、だとしたら 亜人は魔術が使えないかも知れないね」




 《どういう事だ?》


 「文字というのは 誰もが読める物 とは限らないからさ」




 《亜人は本が読めないのか?》


 「それもあるだろうけれど これは人間の知恵というヤツだね もしあの本が 人間にしか知りえない文字で書かれていたとしたら どうだい?」




 《ああ 普通の文字が読めても 魔術の本は読めないな》


 「恐らく そういう事だろうねぇ」




 《でも亜人の中に 魔術が使えるヤツが出てきたら 人間は確実に負けるな》


 「ああそうさ だからたぶんね そういうヤツが出てきたら 人間はそいつだけを狙って潰しに来ると思うよ」




 《そうなりゃ 立場は変わらないな》


 「人間の武器は人間にしか使えないようにするものだよ 元の世界もそうだろう?」




 《たしかにそうだ ゴリラ用にマシンガン作るバカは居なかった》


 「ふふっ そういうことだね」



 私達は、日が暮れるまで、店の中を眺めた


 オニは人間が入って来る度に


 本の中身が見えやしないかと


 はしゃいでいた


 私は、そんなオニが面白く


 一緒に店の中を覗いて楽しんだ


 店の中には、この世界の文字で


 『魔術厳禁』と書かれている


 そして店の四方に、何やら光る石が置いてあった



 「おや オニよ アレがなんだかわかるかい?」


 《ん? あの光る石か? 見た所、、封印術か?》




 「そうだね もしかすると アレで魔術を封じられるのかも 知れないね」


 《アレがありゃ 魔術が使える亜人も 捕らえられるな》




 「この世界は 人間の都合の良いように作られているのだね」


 《あの本 ほしいなあ》




 「ふふっ では 出て来た客から いただこう」


 魔術の店から、人間の男が出て来た


 その人間が大事そうに持つ、魔術の本を


 私は奪おうと考えた


 私は、毛を一本飛ばし 唱える



 「『北辰妙見ほくしんみょうけん』『式神しきがみ夜鷹よたか』」



 毛が青白く光り、一羽の鷹となって


 人間に付いて行く


 人間が家に入り、明かりを灯した


 鷹は、家の前に舞い降りて


 それはそれは綺麗な女へと化けた


 女が家の扉を叩き、人間が出て来た


 人間は女を招き入れ、しばらくして


 女は本を持って出て来た


 女は再び鷹となり、私の元へ帰って来た


 鷹は、本を私の目の前に置いた


 「ご苦労だったね 『式神供養しきがみくよう』」


 そう言うと鷹は、ただの毛となり、どこかへと舞っていった


 《式神か 面白いな》


 「ふふっ 楽しんでもらえたかい」




 《ああ さっそく本を読もう》


 私達は、その本を開いた


 何やらこの世界で見た文字とは少し違っていた


 沢山の不思議な文字で書かれた本に疑問を持った


 《なんだコレは めちゃくちゃだな》


 「創作文字、、それに 多くの言語を使って複雑化してあるね」




 《んー、、語順もバラバラだ、、コレじゃあ読めないな》


 「かなり特殊な学問があるのだね」




 《この本は使えない》


 「ふふっ いいや 折り紙にはなるさ」


 私は、その本に息を吹きかけた


 その1枚1枚が宙を舞い


 ぼんやりと光り、折り鶴へと折られていく


 その沢山の鶴達は、一羽ずつ羽ばたいて


 ゆっくりと、空へ飛んで行った

 

 ぼんやりと光る、一列の鶴の群れが


 夜空を賑やかす







 折り鶴の ぼかす光が 群れとなり


         星空寄せて 高く連なる








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