第二十七戦 『兎と蛙、救済』
一方その頃、ぽん吉は
ウェアウルフの探索を続け、城まで来ていた、、
「、、(ここか 昼間のウェアウルフの匂い、、こっちだな)」
ぽん吉は、城の中へと入った
人が少ない、そのまま進み地下牢へたどり着く
「、、(お〜ぉ 居るな ここに)」
地下牢を徘徊
1番奥の牢屋に、昼間のウェアウルフを発見する
ウェアウルフは、虚ろな目をしていた
ぽん吉が、牢屋の前に立つ
「よう ウェアウルフ 話が聞きたい」
ウェアウルフは驚いたが、すぐ諦めの表情を浮かべた
「なんだ、、たぬきか、、それとウサギとカエル」
「なんだはないだろ お前 どこで捕まった?」
「、、、捕まったわけじゃない、、」
「ん? どういうことだ」
「よく喋る幻だ、、俺はザルゴスから来たんだ、、 奴隷の母と飼い主との間に生まれた、、そこで聖騎士に買われ、、ううっ、、なんでこんな目に、、」
「ザルゴス? クロ吉達が居た国か 買われた、、?」
「幻が消えない、、どうやら頭がイカれたらしい、、」
「その心配はない 俺は幻ではないからな」
「え、、じゃあ本当に、たぬきが喋ってるのか?」
「そうだ お前の話を聞きたい」
「話したら、、ここから出られるか、、?」
「ん〜、、それは、、」
「やはりな、、幻だ、、」
「幻じゃないっつーのに よしわかった! 俺がなんとかしてやる ちょっと待ってろ んーー、、」
ぽん吉は考えた、、しかし良い考えが浮かばない
「そうだ クロ吉に相談しよう お前、もう少し辛抱してくれ、必ず助け出す」
「ああ、、辛抱なら得意だ、、」
ぽん吉は走った
ウサギとカエルは出遅れる
宿屋へ行けば何か良い案をくれるはず
しかし、見つかった
城の門、その直前、あと一歩という所
門から聖騎士が入って来た
ウサギとカエルは慌てて隠れる
その白い軍服は、ニコニコしながら
ぽん吉を見つめ、、しゃがむ
「あれ〜? こんな所に、たぬき? なんか引っかかるな〜 たぬき、、あ、そうだ一等星閣下が呪われたと聞いたな その時にたしか、、たぬきが居たと」
「、、(まずい! 見つかった! どどどうする!)」
「君さ〜 その時のたぬきじゃないよね〜?」
ぽん吉は激しく首を横に振る
「な〜んだ! 違うのか! 安心したよ〜 ってそんなわけないでしょ 君バカなの〜?」
聖騎士が、ぽん吉に手を伸ばす
その時、ぽん吉の後方から、光が差し込む
聖騎士は、その光の差す方を見つめていた
「なに〜 これ〜 何が始まるの?」
その光が2つ、人の形を作り出す
「あれ〜? 誰〜、、 君達 」
光が収まり、その2人が、喋りだす
「我は蟾蜍 主様の護衛」
「同じく、玉兎 主様、こちらへ」
【式神・蟾蜍】
身長185cm 巨漢
淡い青白の、ゴツゴツとした大鎧
顔は黒い鬼のような面頬に金の牙
兜には、満月を彷彿とさせる月輪の前立て
【式神・玉兎】
身長170cm 痩せ型
白い狩衣、青い狩袴、黒い烏帽子
精悍な顔立ち、髪は髻で烏帽子に収まっている
ぽん吉は、玉兎に抱えられた
「逃がすと 思う〜?」
剣を抜く聖騎士の前に、蟾蜍が立ち塞がる
「へぇ〜 やる気〜、、」
聖騎士が構え、蟾蜍が刀を抜く
その隙に、玉兎は凄まじい速度で走りぬけ、外へ出た
「厄介そうだね〜 君〜 『高速化』」
聖騎士の脚部、両足首に魔法陣が現れる
その瞬間、目にも止まらぬ速さで蟾蜍を斬りつける
聖騎士は見た、いや
一瞬で蟾蜍を見失った、そして気づく
その蟾蜍が、一歩踏み出すと同時に屈んでいる事を
聖騎士の右下に構える蟾蜍と視線が合う
蟾蜍の切先が、聖騎士の、剣を振りかぶった両腕の内側から
喉元を狙っている
「な!? 」
聖騎士が攻撃を諦め、大きく左へ飛ぶ
「あれ〜、、? 君、もしかして強い? 」
蟾蜍は口を開かない
眼前の敵を瞬きもせずに観察する
聖騎士は剣を収め、蟾蜍に向けて片手を突き出す
「魔導序列第三劫 『業火裂傷』!!」
聖騎士の手から、大きな2重の魔法陣
魔導砲のように炎を集束し、巨大な火球を放つ
その火球は直径にして1.5m
蟾蜍までの距離5m
蟾蜍にたどり着くまで1秒もかからない
聖騎士は勝利を確信した
その刹那
「、、、『災転福招・月冴』」
蟾蜍に聖騎士の攻撃が当たる直前で、それは起きた
蟾蜍の足下から、水蒸気の壁が猛烈に吹き出し凝華する
吹き出した蒸気が凍りながら吹き出し続ける
その凝華した壁に阻まれ、攻撃が止められた
聖騎士の放った火球が、激しく震えながら進めずにいる
聖騎士の思考が停止する
自分が見ている状況が飲み込めない
その時、聖騎士の左側面に気配、、
聖騎士の顎目掛け、張り手か飛んで来る
その衝撃と破壊力に意識が飛ぶ
聖騎士は回転しかながら壁にぶつかり壁を壊した
そして、、
蟾蜍は、ぽん吉の後を追い、城の外へと消えて行った、、