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第十四戦 『劣勢からの、化け戦』

今回は戦です


 ドワーフ達の会議が始まった


 人間からの約1000年間続く攻撃

 人間共は数十年に一度攻めて来ていたが


 近年、攻めて来る間隔が短くなってきているという



 魔導砲での砲撃も増え

 城に刻まれたルーン文字が傷つき


 ルーン魔術の効果も薄れてきている



 ドワーフ達は

 どうしたものか、と頭を抱えていた


 「やはり、、戦うしか道は無いのか」

 「戦うったって、魔導砲の前に出向くわけにもいかん」

 「こっちから弓で攻撃しても届かんし」

 「前回の砲撃は3ヶ月続いたな、、」

 「こちらの食料が尽きても、向こうは補給がある」

 「一応の蓄えはあるが、、持って2ヶ月」

 「とりあえず酒でも飲もうか」

 「もっと真剣に考えんかバカもの」

 「何か良い策でもないかのぉ」

 「それを考えておるのだぞ」



 皆が唸って考えている

 何も良い案が浮かばないようだ


 ここで老いたドワーフが私に話かけた



 「のう猫よ 何か良い案はないかのう」


 それを見たドワーフ達が心配そうに見ている



 「王が猫に話かけておるぞ、、」

 「ご乱心なされたか、、」

 「仕方あるまい、、近くに猫が居ればワシもそうする」



 あまりにも不憫に思えたので、知恵を貸す事にした


 

 「では まず、敵とこちらの兵の数と武器の数を教えてもらおうかね あと、誰か偵察に行って敵の陣形を図に書いて持っておいで」




 ドワーフ達は皆面白い顔をして固まっている



 「喋ったああ!!」

 「ねねね猫が口を聞いたぞ!」

 「え? ワシだけじゃなくて皆も聞こえたの!?」

 「王よ!この猫はいったいなんぞ!?」

 「尾が2つとは珍妙な!」



 老いたドワーフが、皆を鎮める



 「皆、落ち着け この猫は、、あっ、お前さん達は何だったかな?」


 「私達は、あやかしだよ 私はクロ、そんでこれが」


 「俺様がぽん吉だ! よろしくなっ!」



 ドワーフ達は長いこと驚いている

 老いたドワーフは皆から了承を得ようと語った



 「この猫はルーン文字の解読をするほどの知恵者じゃ 力を借りたいと思う どうか皆も協力してくれ 」



 老いたドワーフは皆に頭を下げた


 「王よ!頭をお上げ下さい!」

 「もとより協力するつもりです!」

 「ワシは猫が好きですぞ!」

 「やりますやります! 協力いたします!」



 皆で協力して人間共と戦う運びとなった

 まず、人間共の戦力を確認した



 地形は平地

 城から見て前方に、500人ばかりの鶴翼かくよくの陣 (V↑)

 さらにその後ろに500人ばかりの長蛇ちょうだの陣 (ーーー)

 さらにその奥、遠方の野営の施設に100人ほど(❖❖)

 

 長蛇の陣には等間隔で光る石が5つ、魔導砲を放っている




 そして、こちらの戦力

 ドワーフは、ほとんどが職人で兵士が少ない

 剣と弓を扱えるのが500人ほど

 そのくせ武器は大量にある、剣、槍、盾、種類も豊富だ

 食料の備蓄は乾物が2ヶ月分、、



 私は、策を色々出した

 その結果、ドワーフでも出来そうな戦略を立てた

 老いたドワーフは戦略を皆に伝え、準備に取り掛かる



 「では良いな! 気を引き締めるのじゃぞ!」



 《クロ どうなったんだ?》


 「ふふっ 人間共が退却し始めたら、こちらから攻めるよ。 それと3日分の食料500人分を用意して、、、 それからぽん吉 仕事だよ」


 「へ? わりい! 俺聞いてなかった!」




 「あとで説明するよ」

 



 それから2週間後、、、



 敵ヴァイガル王国の兵隊は、疲弊していた


 人間共の判断力が見るからに低下している


 撤退やむ無しと思ったか、退く準備をしだした



 人間共の陣形が、、その場で崩れた、、



 そこへ、万全の装備で固めたドラゴニュート500名が


 鶴翼で陣形を固め、人間共の後方からやってくる


 物凄い素早さで人間共に襲いかかり

 戸惑う人間を蹴飛ばし、槍で突く



 光る石を置き去りに、人間共を鉱山へと追い詰める



 蹴飛ばしては槍で突き

 向かって来る人間を盾で弾き返す

 人間共を寄せ集め、方円の陣形を組んで逃さない



 すかさず潜伏していたドワーフ兵500名が加勢

 剣士がドラゴニュートの穴を塞ぐ形となる


 数人が光る石を取り囲み、大きな金槌で破壊する

 破壊係は石を破壊し終えると、すぐに城へ戻った


 疲弊し逃亡を図る人間の、逃げ惑う後ろから

 ドラゴニュートが槍を突き立てる


 馬車を引く馬を1頭残し

 残り全ての馬の、腹部を1刺しして

 さらに人間共を追い詰める



 ここで戦闘を一時中断し

 

 ドラゴニュート達が陣形を組み直す


 人間共の前方には鉱山が

 後方には鶴翼の陣のドラゴニュートが退路を断つ


 人間共の行動を見守った


 人間の伝令役が

 焦った様子で生き残った馬目掛けて走り出す

 すぐにドラゴニュートが伝令役を捕縛する



 そこへ、老いたドワーフもとい

 ドヴェルグ王国の王が、人間共の前に姿を現した



 「聞け!愚かな人間共よ! 我らドワーフは! ルーン魔術の復活を果たした! 貴様らに、その恐ろしさを見せてやろうぞ!!」




 ドワーフ王は大きな金槌を取り出し、天高く持ち上げた

 金槌に刻まれたルーン文字が、紫色の妖しい光を放つ


 ドワーフの王は、大きな金槌を激しく振り回した

 金槌が高温となり輝きだし、辺りに温かい風を起こす


 ここでオニが、黒い炎を人間共に撒き散らした



 《『霊障れいしょう黒怨こくえん』》



 その黒い炎は、消える事なく、人間共を焼いた

 服が燃え、装備が溶ける、、、


 オニが、フッと息を吹くと

 黒い炎が消え、人間共の身体に呪痣じゅこんを残した



 人間共がのたうち回る、、

 ただ1人、、伝令役を除いて、、


 その伝令役に、ドワーフの王が言い放つ



 「よく見よ、ワシの『神器』は21文字じゃ 効果は見ての通り」



 伝令役は、恐怖に震えて声が出せないでいる

 ドワーフ王は、5文字彫られたナイフを腰から抜き

 伝令役に投げてよこした



「人間にはこれくらいがお似合いじゃろうて くれてやるわ 王にでも渡してやるがいい」



 伝令役が、震えた手でナイフを拾う



 「帰って貴様の王に伝えよ 次はこちらから参るとな!!」



 伝令役の人間は、その恐ろしい状況に震え

 腰が抜け、失禁し、涙を流し、叫び


 そして、手足をバタバタと無様に動かし

 馬に乗って、この地を去って行った、、



 ドワーフ達と、ドラゴニュート達の歓声がこだまする


 ドワーフ王が安堵し、三つ編みの髭を撫で下ろす

 

 それから王は、歓声を浴びながら城に戻った




 ドヴェルグ王国城内、今夜は宴会が開かれた

 ドワーフとドラゴニュートの笑い声が沸く



 私達はドワーフ王から

 今回の戦が成功した事へのお礼を聞かされた


 「いやあ! クロ殿! やりましたなあ!」


 「ふふっ ハッタリのためとは言え、貴重なルーンの武器を失わせて申し訳ないね」




 「いやいや!ナイフ一本で戦に勝ったのじゃ! 惜しくはない! それに、こちらは相手の補給の馬を弓で射ったくらいじゃ。 ほとんどの戦闘はドラゴニュート達がやってくれた。 一人の死者も無く、感謝してもし足りんわい!」


 「ふふっ あれらが働いたのは、ぽん吉のお陰さね あれらは、ぽん吉の言う事なら何でも聞くからね」




 「え!? 俺の事褒めてる!? もっと褒めてくれ!」


 《調子に乗んな あのトカゲ共に連絡したのはクロの式神だ お前はクロの言う通りに指示しただけ 武器も防具もタダでもらったんだろうが お前がクロを褒めろ》




 「ぐぬぬ、、オニ吉冷てぇなぁ」


 《誰がオニ吉だ! このたぬきが!》





 数日後、、敵側ヴァイガル王国では、、


 帰って来た数名の兵士に刻まれた痣


 その苦しみを与え続ける不思議な痣を見て


 宮廷魔導士達が回復しようとするも


 癒やした先から痣が浮き上がり、また苦しみだす


 誰一人として、痣の治療は出来なかった、、



 その夜、、、


 ヴァイガルの王が

 ルーン文字が刻まれたナイフを

 脅えた表情で見つめていた





 次は、ドワーフ達がこの王国を攻めて来る、、


 これがルーン文字、、


 こんな物騒な物を復活させ、投げてよこしたと、、


 相手は21文字彫られた『神器』と呼ばれる物を


 振り回しただけで、、触れる事なく、、


 全ての兵士を焼き払ったと聞く、、


 籠城の準備を急がせねば、、、


 虎の尾を踏み続けた結果がコレか、、






 この日、ヴァイガル王国全域に

 狩られる側の恐怖が連鎖し始めた、、







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