第十ニ葉 『地下の大都市、迷う城』
ここが、ドワーフの城
未だ人間の砲撃は続き
ズシン、ズシンと城が揺れている
不思議なのは、城の大きさの割に扉が小さい
人の気配も無い、何かがおかしい
《誰も居ねえな》
「ドワーフ共は地下にいるんだ、地下都市ニダヴェーリルだ」
「ぽん吉は詳しいね では地下へ行こうか」
私達は、城の中へ忍び込み、階段を探した
しかし、やはり何か違和感がある、、
「オニよ もしやこれは、、」
《ああ 結界だな 迷うように作られてる しかも強い》
「ぽん吉よ ここには魔術を使える者が居るのかい?」
「いいや 居ねえよ これはルーン魔術だ」
《魔術とは違うのか?》
「ルーン魔術は、、 ルーン文字といって、刻めばその文字通りの効果が出るドワーフの技術だ ただ、その技術はもう無い これは千年以上前からあるルーンの効果だ」
「千年以上の効果、、恐ろしいねぇ」
《強すぎだろ、それ》
これでは埒が明かないので
私は別の方法を試す事にした
「、、、『北辰妙見』」
視界が開ける、地下に、、誰かがいる、、
その道筋は、、
「ぽん吉、こっちだよ」
「ええ!? 場所わかんの!?」
城内を駆け巡り、階段を見つけた
それを降る、なかなかに長い階段だ
所々に、不思議な文字が彫られている
彫られた溝に何か染料のような物が付着している
階段の終わりに、街のような所へ出た
「ここがそうかい?」
「ああたぶん ここが、ニダヴェーリルだ!」
地下という言葉に似つかず、とても広い
明かりを灯した家が、いくつもある
1番奥には、城のような物が岩壁に埋まっている
《ここにドワーフって奴らがいんのか? ぽん吉》
「んーと、、、探してみようぜ!」
「わからないんだね」
家の中に誰かが居るようだけれども
1番奥の城を目指した
ここまで誰とも行き合わない
城の門まで辿り着いた
門は硬く閉ざされている
「困ったなあ これじゃ入れねぇな」
「人間に化けても警戒されるだけだしねぇ」
《じゃあ 俺がやろう》
私はオニに身体を預けた
毛が逆立ち、目が赤く光る
オニは黒い霧を吐き出すと
大きな猫へと姿を変えた
そして門を叩いた
ドン、ドン
「おーい 誰かいるかあ??」
ドン、ドン、ドン
すると、中から背の低い、髭を蓄えた男が出て来た
その男は、オニを見ると驚いた顔をして、すぐ門を閉めた
「ありゃ? ダメだったか」
オニは小さくなり、身体を私に返した
「オニよ 少し大きすぎたのかも知れないね」
《ドワーフがあんな小せえとは思わなかったからよ》
「おおお前! 今の何!? でっかくなったぞ!」
《こいつに説明すんのがめんどくせぇ》
すると、門が開いて中から数人のドワーフが出て来た
ドワーフ達は武器を持っていたが
私に気付いて、何やら話始めた
「おい、お前が見たって魔獣はコレか?」
「ビビって幻覚でも見たんだろ」
「なんでぇ、ただの猫とたぬきじゃねえか」
「違う! 本当に見たんだ! こんなっ! もうこーーんなデカい魔獣だったんだ! それはそれは恐ろしい化け猫だった!」
オニが喜んでいるのが伝わった
私達はこの隙に、城の中へと入った
そこには多くのドワーフが、あっちへこっちへと
忙しなく動いていた