第十葉 『言うても聞かぬ、木偶の坊』
外が騒がしい、、
ぽん吉が、亜人の子供達と追いかけっこをしている
子供達を追いかけ、ぽん吉が転ぶ
そのぽん吉を心配して、子供達が近づく
それをぽん吉が捕まえる
「ふふっ お前さんは竜神ではなかったのかい?」
泥だらけになった亜人の子とぽん吉が帰って来た
その姿を見て亜人の大人達が叱る
「これ! 竜神様はお前達の玩具ではないのだぞ!」
「すぐに風呂の用意を!竜神様が泥だらけではないか!」
「まったく! 竜神様に怪我でもあったらどうする!」
「ごめんなさい、、」
「す、すまん、、」
子供が叱られているが、なぜかぽん吉も謝る
千年という時を1人で過ごし
解放されて童心に帰っているのだな
その気持ちは、良くわかる
ぽん吉はバカだが、なかなか憎めない奴よ
ぽん吉達が風呂から帰って来た
この近くに温泉があるらしい
ぽん吉が身体を拭いてもらっている
「あ〜! やっぱ自由に動けるっていいな! おもろい!」
《あいつ、竜神の威厳はどうした》
「もとより威厳など無かろうて」
ぽん吉がこちらへ来た
私を見つめ、考え事をしている
「どうした? ぽん吉よ」
「お前、、いったいなんなんだ?」
《おいおい もう忘れたのか お前を自由にしてやったろ》
「そ、そうじゃない! その不思議な力はなんだ?」
仕方がないので、少し説明をしてやった
「私は猫又という妖だ 猫が長く生きると稀にこうなる 術は主人のものを見て覚えた」
《俺は猫鬼っつー呪いだ 呪術師が猫を殺して、その魂を呪いとし、相手にかける災だ》
「お前ら変わってんな〜 魔術ではないんだな?」
「似ても似つかないねぇ」
《あんな雑なもんと一緒にすんな》
ぽん吉が、ぐいっと身を乗り出し近づいてきた
「そこでだ! 折り入って相談があるんだが!」
《「断る」》
「声を揃えんなよ! 聞くだけ聞いてくれ!」
なんでも、竜などの上位種は皆
別の地に移ったか、もしくは
ぽん吉と同じく封印されているという
それらを解放したいのだとか
「なあ! 頼むぜ!」
「猫に頼み事とは、無駄なことを」
《頼まれると嫌になる、それが猫だ》
「なんて面倒な生き物だ!」
数日ほど、この土地に居たが
毎回ぽん吉が頼みにくる
私は、なんだか面倒なので
この土地にも結界を張り
祠に式神を残し
静かな場所を探す旅に出る事にした
オニが『海が見たい』と言うので
私は港町を目指した、川沿いを進めば
いずれ海にも出よう
川で魚が跳ねている
この土地の魚は元気が良い、、
「ところで、、お前は何をしている」
私の隣で歩いている“たぬき”が首をかしげる
「ん? 、、旅だろ?」
「そうではない なぜお前がいる」
《なんで土地神が土地を離れてんだよ》
「えー? だってつまんねーんだもん」
「はぁ〜、、仕方あるまい 大人しくするのだぞ」
「おう! まっかせろい!」
《ぜってえ無理だぞこれ》