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全員集合

痛恨のミスを犯す。


これも地下牢に閉じ込められた影響か。


すっかり忘れていた。


でも大丈夫。道具さえあれば何とかなる。


仕組みを知っているのだ。


仕組みさえ知っていればサライちゃんを動かすことも可能。


ここはひとまず道具を取りに行くのが先決だ。



まだ誰にも姿を見られていないはず。


自分を良く知るとハッタリをかました婆さんには最大限注意を払う必要がある。


だが村を動き回る分にはさほどの影響はない。


疲れるな。


あと少しのところで痛恨のミス。


冷静さを保っていればこんなミスなどしなかっただろう。


どこでどう歯車が狂っちまったのか。


本当に嫌になる。


間違いなく呪われている。


これはサライちゃんの呪いなのか?



館の外へ。


誰にも見られないように慎重に慎重に。


よし誰もいないな。


今だ。


一歩踏み出したところで感じた違和感。


何かがおかしい。まさか本当に尾行されていた?


しかし後ろには誰も居なかったはず。これはどういうことだ?


誰かいる……


まさか警察? それとも婆さん?



うわわ……


まずいこれはまずい状況。


たくさんの人影。


真夜中ではあり得ない異様な光景。


たまたま偶然? それはない。誰かが意図して……


どんな意図があるにせよここは逃げ切るしかない。


集団に紛れ込んでしまえばこっちのもの。



「あれ皆さん。どうしたんですかこんなところで? 夜も遅いのに」


「何じゃお主か。儂は呼び出された身。まさかお主じゃあるまいな? 」


老人はいかにも不愉快と言った表情でこちらを睨む。


まったく爺さんは口が悪くて困る。


早くどっかに行ってくれないかな。


元村長として山湖村を支配した男。トリックを見破れるのはこの爺さんぐらいか。


さすがに手にかける必要もないだろう。下手に騒ぎを起こせば言い逃れできない。


ここは大人しくしているのがいい。



ボディーガードとして後ろに控えているのが件の孫。


祖父の命令に従う愚かな男。


「驚きました。夜は本当に物騒ですね」


世間話で乗り切る。


「うむ。この村も随分物騒になったものじゃ」


爺の様子を窺う。


爺は昔のことを覚えてないようだ。


しかし偶然こんな場所で会うなどどう考えてもおかしい。


呼んだのは警察だろうか。それともあの婆さんか。


こっちの動きを見ている? まさかな。



面倒なのが近づいてきた。


「オー偶然ね」


片言のルーシー。いつもと感じが違う。


人間そんなに変わりはしない。


自分と同じように彼女も演じているのか?


ルーシー。油断のならない女だ。


「イワオはもういません。故郷に帰らくなくては。最後にマザーが暮らしていた館を見学に来ました。私も小さい頃に住んでいたね」


訳の分からない女だ。まったく人の迷惑も考えないで動きやがって。


館見学? 冗談じゃない。今は立て込んでいるんだ。


誰も中に入ってこられては困る。



「ここは事件現場。現場保存のためにも立ち入り禁止。関係者以外立ち入りは出来ません」


いくら言い聞かせても勝手に入ってきそうで目が離せない。


「オウ…… それは残念ね」


素直なルーシー。何とか説得することが出来た。


所詮はよそ者。村では村のルールに従うべきだ。


「デモ…… あなたいいんですか? 」


この女…… ふざけやがって。まさか感付いたか。


それとも最初から知っていてからかっているのか。


「どうしました? 顔色がバッド。心配ね」


なおも巧みに追及するルーシー。


表情を整え強張った筋肉を緩め笑顔を作る。


「どうしたね? 」


「さあ戻りましょう。私が一緒に宿まで」


「オオ、サンキュー。エスコートプリーズ」


どこまで本気なのだろうか? 本音を探る。


「レッツゴー」


馬鹿に従順だな。もしかして自分は信用されているのかそれとも何かの作戦?


ここは一度立ち止って考え直すか。


修正するのはいつものこと。もう慣れている。



落ち着け落ち着け自分。


いつもの通りに演じればすべて上手く行く。


連れと一緒なら疑われることもないだろう。


もちろん変な誤解を生む恐れはあるがまあそれくらい構わない。


利用できるものは何でも。おかしな女でも利用するに越したことはない。


                     続く

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