名探偵ついに山湖村へ 答え合わせ編
夕方四時。
長女は嫌がっていた?
「いやそうでもないよ。どちらかと言うと二女の方がこの儀式を嫌がっていたね。
三女は大人しく従っていたよ」
でも不満はあった?
「それはそうだろ。だって三日三晩だよ。大人しく座って一口も口にしない。
まあ水ぐらいは良いらしいがな。こんな風習や儀式を誰が好き好んでやるものか。
いくら昔から続く伝統とは言え彼女たちがかわいそうだよ。
おっと一族に立て突いた訳でも反対してる訳でもない。
ただ感想を述べさせてもらったまでだ。
あの村には気をつけな。村の連中もグルになってるかもしれないんだからな。
早く無事に終わるといいんだけど。まあもう被害者が出ちまったようだけどな」
あと一時間もすれば山湖村へ通じる道が閉ざされる。
聞き込みを切り上げて関所へ。
山湖村へ。
第一関門の関所。
「またかよ婆さん。今日何度目だ? 普通入ったら二、三日は戻ってこねえのに。
あんたと来たら二回も三回も。俺たちもそんなに暇じゃないんだがな」
「ガキが生意気な。計算もできないのかい? ここを通るのは二度目だろ。
そんな何度も煩わした訳でもないしうるさいよ。まさかまだ文句があるのかい」
「いえ…… その…… どうぞお通り下さい玉子さま」
随分と物分かりも良く低姿勢の門番。心でも入れ替えたのかすぐに通してくれた。
再び山湖村へ。
そう昼頃に一度お邪魔していたのだ。
昼。
なぜか胸騒ぎがする。あの子たちに危機が迫っている気がする。
居ても立っても居られなくなりに予定を変更し急いで山湖村へ。
関所。
「何の用だ婆さん。ここの者じゃねえだろ」
なぜかピリピリしている厳つい二人組。
「観光に来たのさ。さっさとそこを通しな」
第一印象が大切。ただのひ弱なお婆さんでは軽くあしらわれるのは目に見えてる。
このタイプは単純だから強く出ればいい。
「この婆さんどうかしちまってるぜ」
「ははは…… 笑える」
年寄りだと思って馬鹿にする。
「いいか婆さん。今山湖村では大変重要な儀式の最中なんだ。暇じゃねえんだな。
理解してくれるよな」
「この年寄りに帰れと残酷なことを言うんじゃないだろうね」
「済まねえな婆さん。俺らは命令されてるんだ。入れちゃなんねいって。
それに村ではトラブルもあったみたいだし忙しいのよ俺たちも」
軽くあしらわれる。
ここは我慢強く座り込みする手もあるがもっとスマートに。
「では忘れ物を届けに来たと言ったらどうだい」
「へっへへ…… 意味が分からねえよ。ぶっ飛んじまってるようだな」
「これだから婆さんの世話は嫌なんだ」
笑い合う二人。
「頼むよ。ねえお二人さん」
もう時間だと言いたげな冷たい視線を向ける男たち。
ここまで酷いとは…… いつもよりも冷たい対応に違いない。
ここはよそ者が来るところではないと態度で示している。
「分かんない婆さんだな」
「何を抜かすこのガキが」
ついつい生意気な言動に我を失う。
ここはもう臨戦態勢。
「忘れ物? そんなこと知るか。さっさと帰るんだな。ああん? 」
すごむ若造。
「失礼な物言いだね。いいかよく聞きな。その儀式の招待客からの依頼なんだよ。
本当にそれでも通さない気かい」
あの程度の脅しに一切怯むつもりはない。
私は探偵だよ。依頼が第一さ。
「ちょっと待ってろ」
慌てて姿を消す二人組。
この隙に通り抜けるのも悪くないがまあここは待ちましょう。
十分経過。
「いつまで待たせんだい。こっちは腰が悪いんだよ。
年寄りを労わるって気持ちが無いのかい」
「これは失礼しました。依頼は嘘ではありませんね? 」
言葉遣いが馬鹿丁寧になっていてどうも落ち着かない。
「とりあえずその方のお名前を」
先生の名前を告げる。
「何だあいつらか。昨日通してやった。覚えてるぞ。間の抜けた二人組」
「失礼だね。東じゃ名の知れた探偵さ。悪いかい」
ハッタリをかます。もちろん探偵に偽りはないがまだひよっこ。
「あんたも探偵? 」
「あんた? 玉子って名前があるんだがね」
「失礼しました。玉子さまも探偵であられますか? 」
「いいや。私はただの助手。先生に届け物があるのさ」
「ではどうぞ。お通り下さい」
「ふん。言われなくても行くさ」
山湖村到着。
うーん。歯ごたえの無い連中。もうちょっと粘れると思ったけどね。
さっそくあの子たちを探さなくては。
ぐずぐずしてる余裕はない。
続く




