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四日目 早朝の悪夢

第一、第二の消失を受け村は厳戒態勢を敷く。


そんな中ついに運命の四日目を迎える。



四日目。早朝には程遠い時間。


山湖村に来て三日目の朝。


しまった…… 寝坊した。


隣の助手の姿が見当たらない。


ルーシーは?


部屋はもぬけの殻。きっちり畳まれた布団が押し入れにあるのみ。


彼女も先に行ってしまったようだ。


私だけが取り残されてしまった。これではまるで仲間外れにされた気分。


まったく二人とも私に断りも入れずに勝手に動くのだから困る。


特に助手は私の手となり足となる使命があると言うのに。


ルーシーだって外に行けば再び狙われるかもしれない。


昨日も白昼堂々我々がいる前で襲われた訳で。


もし相手が嫌がらせでなく本気で来たらどうにもならない。


大怪我では済まない。自覚して欲しいものだ。



そうだコウ君だ。コウ君の存在をすっかり忘れていた。


もちろん朝早く出かけたのは分かっている。一応は念のため。


やはり問題は助手たちか。


おーい皆。


ダメだ静まり返っている。二階には誰もいない。


仕方なく一階へ。



「ああ。先生もう遅いですよ。早く準備してください」


強い口調で促す助手はいつもの彼?


いやそもそもプライベートの助手をそれほど知っている訳ではない。


とにかく何を焦っているのか知らないが行ってみるか。


助手の横にはルーシーが。


二人にどこへ行くのか聞くもなぜか上の空。


オーノーと困惑するのみ。


一階を見回しても静かなことから建物には誰も残っていない。異常事態。


「どうした? 何があった? コウ君はどうした? 」


助手を問い詰めるも首を振るのみで要領を得ない。


おかしい。どうしてしまったのだろう。



ゴゴゴ

ダダダ


静寂を破る轟音。


これはまさかヘリ? 冗談でしょう。


まるで一日遅れのエイプリルフール。現実感がない。


遠くの方から聞こえるヘリの音。


この村にはそぐわない爆音。爽やかな朝に相応しくない。


異変?


明らかに村で異常が起きているのが分かる。


これは一体?


迫るヘリの爆音で耳がおかしくなる。


すぐに耳に手を当て過ぎ去るのを願う。



「おい。答えるんだ。これは一体何が起きた? 」


まさか冗談のつもりなのか? 村を挙げての航空ショーでもあるまいし。


「だから先生…… コウがその…… 第一発見者……

いえ消失…… どこにいるか…… 」


ヘリの爆音にさらされ助手が何を言っているのか聞き取れない。


バラバラ

バラバラ


プロペラの音?


ダッダダ

ガッガッガッ


次第に激しくなっていく。


ゴォーゴォー

グォーグォー


耳が耳が……


バッバッバ

バッバッバ


バラバラ

タッタタッタ……


パッパパ

パパパ


音が次第に小さくなる。ヘリが徐々に離れていくのが分かる。


さすがに一機二機ではなさそうだ。


集団で来やがるとはまさか空襲か? などと冗談は言ってられない。


「先生、急いでください。話は駐在所で」


レッツゴー


ルーシーは理解しているのか定かではないが固い表情を崩さない。


何が何だかよく分からないまま助手の後を追い駐在所へ。



歩いてすぐ昨日襲ってきた連中に遭遇。


沈んだ表情でこちらを睨んで覇気が感じられない。


一体私が寝てる間に何が起きたのか? 聞くのが恐ろしい。


まあこれで何か投げつけられる心配はないだろうが。


駐在所は本部から十分弱の距離。迷うこともない。



ざわざわ

ざわざわ


駐在所の周りを村人が囲むように中の様子を窺っている。


朝早くから何人もの村人が出たり入ったりで慌ただしい。


こんなことは村始まって以来だとおじさんが若い主婦に語ってみせる。


しかし何十年も村で生きてきた老人が昔はこんなものだと笑って否定する。


まあここ何年もこんなことは起きていなかったがなと付け加えるのを忘れない。


溢れんばかりの村人が駐在所を囲むものだからなかなか中に入っていけない。


混乱状態は避けられない。



「どうも遅くなりまして」


助手が頭を掻く。


ルーシーは何も分からずに笑っている。


お祭りか何かと勘違いしているのだろう。陽気でこっちとしても助かる。


私は一体何が何やら分からずに頭が真っ白に。


よく見ると見覚えのある顔がちらほら。


駐在所の主である爺さんの姿を捉えた。


                 続く

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