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洗礼と浴室と欲情と

中央の館へ向かう道中。急襲を受ける。


殺気?


泥? パックの余りか何か?


石? 小石だけでなくこぶし大のでっかいのまで。


当たったらただでは済まない。


くさ! 腐った臭いがする。


ボール? ゴルフボール大の玉。



「オーマイゴッド」


ルーシーは避けきれずに転んでしまう。


そこに親の仇かのように腐った果物を投げつける。


もはや狂気。


いかれていると表現するのが正しい。擁護のしようがない。


なぜこれほどまで執拗に嫌がらせをするのか。


よそ者を排除しようと必死になっている村人はさしずめ鬼か。



「おい。何をやっているんだ止めないか」


助手が飛び出しルーシーの盾になる。


「冷静になって下さい皆さん」


果敢に飛び出した助手の援護射撃をする。


我々の反撃に怯んだ訳ではないだろうが攻撃が収まった。


面白くないのかただもう自分の役目を終えたからなのか皆散っていく。



「大丈夫か? 怪我は? 」


ルーシーを引っ張り起こし次に助手の肩を軽く叩いてよくやったと褒めてやる。


たぶん彼は探偵の助手としてではなく男として助けようとしたのだろう。


まあ彼の成長に変わりはない。


「先生。これは一体? 何か変ですよ」


ロン毛が乱れてしまい直すに直せない現状にイラッとしている助手。


何と言っても腐った果物が付着している。臭くて敵わない。


染みついた臭いはなかなか落ちない。後のことを考えると頭が痛い。


とにかくここから立ち去ろう。


「私にも分からない。まさか我々の捜査を妨害しようと仕掛けたとは思えないが」


村人たちの異常性が垣間見れてゾッとする。


ルーシーさんが狙われたのは間違いない。



「心当たりは? 」


「マタですか。オウ・ノー どんどんエスカレートしていくね。これで三回目ね」


三本指で強調する。


「あいつら見かけない顔だったな。近所のおばちゃんってとこか。待てよ…… 」


助手は臭いの残る服を着替えたくて仕方ないらしく早く行きましょうと急かす。


「どうした? 何か分かったか? 」


「いえ…… 連中も気が立っているんでしょう。


岩男氏が亡くなりその後継者と目されていた一葉さんが失踪した。


しかも手掛かりも今のところない。


俺たちはこのような事態が引き起こされるのをあらかじめ知ってました。


だから冷静でいられますがこの村の昔話のこともありますし…… 


よそ者に恐怖するのも忌み嫌うのも納得できます。しかし…… 」


納得できないようだ。



村全体でもうすでにパニックになっている。それはよそ者が来ているせい。


確かにそう結び付けて考え排除する。まあ短絡的だが分からなくもない。


「オーノー」


恐怖から立ち直り安堵したルーシーが抱き着く。


強く抱きしめるものだから離れられない。


仕方ない胸を貸してやるか。悪くない展開。


「ああ先生…… まあいいか…… 臭くありません? 」


「分かった。私もこのままでは身動きが取れない。


まずは体を洗って出直しだ。本部に戻るぞ」


儀式の本丸を通り過ぎて本部へ向かう。


まあこの格好ではどのみち中に入れてもらえないだろう。



本部に到着。


中は大慌てで皆手一杯。コウもそれは同じだ。


仕方なく風呂場を勝手に使わせてもらうことにした。


「テイク・ア・バス」


「イエス・イエス」


ルーシーは何のためらいもなくそして何の恥じらいもなく脱ぎ始める。


これはラッキーなどと言ってられない。


「あの…… ルーシーさん…… ダメですよ」


いくら言っても聞いてくれない。


「日本の伝統ある風呂文化…… マナーを…… 恥じらいを……

ダメだ。やっぱり」


助手は恥ずかしがって目を伏せる。まあ仕方がない。


私も同様。どうしても下の方に視線が行ってしまう。


しかしそこには思わぬ落とし穴が……



 

「おい。後は私が世話をするから先に上がっていてくれないか」


「先生一人にそこまでさせる訳には行きません。お手伝いします」


ロン毛が垂れ、透き通った体がシャワーの熱で赤味がかっている。


恥ずかしいのか前を隠している。


私はどちらかと言えば彼女ではなく…… いや止めておこう。


「オー エクセレント」


大げさに驚く。


私たちの言い争いを聞き興奮したのかせっかく着けてもらったタオルを落とす。


「うわおお」


助手の叫びが耳を貫く。


これは刺激が強すぎる。


助手と共にいったん退場。



「先生」


「まあ子供じゃないんだから大丈夫だって。いや…… やっぱり心配だ」


急に親心? いや兄心? 男心が出てじまう。


まさか覗くわけにもいかないし。


さあどうする?


助手と目が合った。


お前が行けのサイン。


別に美味しいところを渡すなんて人ができていると思われたいのではない。


ただ怖気づいただけだ。


目で合図を送るが助手は首を振るばかり。


仕方がないここは主従関係を分からせる。


「お前が行け」


「ちょっと困ります」


そう言って外へ飛び出してしまった。


「待つんだその格好ではまずい。いくらなんでも服ぐらい着ろ」


慌てて逃げていく哀れな助手。イケメンだから許してくれるよね?



結局偶然やって来た助手にルーシーの世話を任せ一人で事件のおさらいをする。


                 続く

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