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『第一村人』殺人事件   作者: グミさん
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第一村人殺人事件 プロローグ サライ伝説

『第一村人殺人事件』



プロローグ


冬、雪掻きを終えた六蔵は急かす孫の言いなりに添い寝してやる。


「婆さんや。おーい」


息子夫婦がやって来たのはつい先日。


何か重要な用があるとかで孫の一郎を一人残し急いで出て行ってしまった。


それ以来二人とは連絡がつかず一人息子の一郎に寂しい思いをさせている。


かわいそうに今も眠れずに苦しんでいる…… こともなく騒いでいる。


「交代しましょうか? 」


風呂から上がった婆さんも手が空いた。


「いや、いい。それよりも戸締りを頼む。開けっ放しではえらい寒くてのう。一郎が風邪を引いてしまう。それにな…… 」


「ねえ爺ちゃん。まだ?」


元気いっぱいの一郎。笑顔が弾ける。


その可愛らしさときたら笑うと色白の頬が赤くなりさくらんぼうのよう。


怒った顔もまた良くやはり赤くなるが梅かな。


その違いを楽しむため笑わせたり怒らせたり。最初のうちはご機嫌。


でもそのうち泣き出してしまう。


これはまずいと謝るがなかなか許してはくれない。仕方なく飴玉を一つ。


そうすると満足そうににっこりとする。


「一郎。さあもう寝なさい。お話をしてあげるから」


「わーい。それで今日は何のお話をしてくれるの」


はしゃぎすぎると興奮して寝れないどころか鼻血を出てしまう。


一郎を落ち着かせてから話へ。


「うーん。そうだな。桃太郎や浦島太郎はもう飽きただろう。よし爺ちゃんがこの村に伝わる話をしてやろう」


「やった。早く。早く」


使い古した布団を嬉しがる変わった孫。体が冷えないように布団をかけてやる。


準備完了。



昔この村がまだできたばかりの頃奇妙な噂が流れていた。名をサライと言った。


この当時は大変貧しくボロボロの家々が立ち並び至る所に隙間が。


夏は快適なものの冬には風が入り込んでとても住めたものではなかった。


雪が降れば凍え死ぬほど。囲炉裏があるにはあるが気休め程度。


布団や毛布で凌ぐしかない。


極寒の冬。まあどこの地方もこんなものだった。


ある日一人の若者が突然居なくなったと村中で大騒ぎとなる。


それから冬の時期になるとちょくちょく子供が居なくなる怪現象が続いた。


どうやら夜中のうちに子供たちはさらわれているらしい。


毎年のように続いたその現象を重く受け止めた村人。


村長や上の者と相談し対策を練ることとなった。それは……



長い話について行けずに一郎はすやすやと寝息を立てて夢の世界へ。


まだ序盤だと言うのにまったく……


「おやまあ。無理もないですよ。まだほんの子供なんですから。もう少し簡単なものがいいのでは」


「それは何ともうーん。考えておこう。よしもう寝るか」


随分と寒くなった。これではまた明日も雪掻きかな。



翌日も六蔵は孫にせがまれこの村に伝わる昔話を聞かせてやる。


難しいのか理解した様子も覚えた様子も見られない。


すぐに眠ってしまい最後まで語ってやることができなかった。


その翌日もまたその翌日も。難しい内容について行けずに途中で脱落。


かわいい孫。全て話してやりたいがそれ以降もその繰り返しが続いた。


さすがにこれ以上は可哀想だ。もっと短くて易しいお話にしよう。


「爺ちゃん。お話して」


「よし今日はアリサさんのお話をしてあげよう。これだったら難しくないし短いから一郎も最後まで行けるさ」


「もういいよ。やっぱり桃太郎や金太郎の方が…… 」


「いいから。いいから。さあ読むぞ。アリサさんのお話」


アリサはどこから来たのかそれはえらいえらい美しく人々から……


                続く



登場人物紹介。


アイ探偵事務所代表 アイ(仮名)主人公の私であり先生。

       助手 この春から新しく助手となった期待の新人。秘書検定取得。

       大家 何かと世話を焼きたがる老女。体を壊し療養中。


山湖村の人々


当主 行方不明。

一葉 長女。次期当主。若い男に入れあげている。

二姫 二女。嫉妬深い性格。一葉に対抗意識。

三貴 三女。穏やかで上品。コウと仲がいい。


村長 一族の支援を受けて村長に。代替わりの儀を取り仕切る。

前村長 村長選に敗れ一族に恨みを抱いている老人。

老人の孫 若く見た目もいいが祖父の影響下にある大人しい青年。  

太郎次郎 兄弟。臆病で優しい。一族との関わりも深い。


その他


コウ 隣村の青年。父の後を継ぎ渡しとなった。代替わりの儀に渡しとして参加。

ルーシー 謎の女性。山湖村を訪れている観光客。 



注:アルファポリスにも掲載中

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