七
マーガレットさんの家でお世話になって二年の月日が流れた。
双子もすくすく成長して今はマーガレットさんから薬草の知識や薬の作り方を習っている。私は相変わらず店の隅に処置や診療をしていたが人数が増えてきたので場所を移すか悩んでいた。
「ローワン、ちょっと良いかい?」
「マーガレットさん?」
「手を出して。」
言われるまま掌を上にして右手を出すと鍵を乗せられた。店の鍵はもうもらってるから何の鍵か心当たりがない。
「そろそろ独り立ちするべきだと思って部屋を借りておいたんだ。」
「え?私…追い出され……。」
「ローワンを頼る人も増えて医療に関する知識は実践に生かす事ができるようになった。無料での診療は終わりにして医者になりな。」
「医者…私が…?」
「平民をみてくれる医院には話は通してあるから来週からそっちに行きな。はいっ紹介状。アクスレピオス卒だって言ったらぜひ来て欲しいそうだよ。
医院では不規則な生活になるからココだと気を遣うだろうし、ローワンもそろそろ結婚を考える歳だろ?生活能力を身に付けな。特に掃除!
たまに覗きに行くからちゃんとするんだよ。」
「マーガレットさん……人には得手不得手がある。」
「やかましいっ!」
こうして私は医院で医者として働く事となった。ただし医院に話をして薬屋には週七日の内、二日通う事にした。頼ってくれる人達に悪いしマーガレットさんや双子も心配だから。
「気にしなくて良いのに…。」
「私が来たくて来るんだから問題ないよ。」
「じゃあ来る時は料理を教えようかねぇ。」
「…御手柔らかに。」
マーガレットさんが用意してくれた部屋には医院に通う三日前には移動する事にして荷物を纏めようかと部屋に入るとガーベラとキリンが箒と雑巾を持って荷物をまとめてくれていた。
「ローワンさんじゃこのゴミ部屋の片付けは無理っ!」
「ローワンさんじゃ一生かかる。」
「…ありがとう。」
やっぱりここに住んでた方が良いと思うんだが…マーガレットさん今からでも許してくれないかな。私の世話を双子がしてくれる事で双子の自立心や生活能力の向上に役立っていると思うんだが……。
「ローワン、二人にやらせてないで自分でもやりなさいっ!」
「マーガレットさん、私は今イメージトレーニングしてるから大丈夫。」
「なにを言ってるんだい?」
「ここを出たらどう片付ければ良いか今双子の動きを見ながらイメージトレ、イッタあ!!」