五
「マーガレットさん、この毒草薄めたら治療に使えるんじゃないか?!」
「ん?ダメダメ副作用で数日ラリるじゃないか。」
「肌につける位ならクラクラするくらいで済むだろう。」
「…誰で試す気だい?」
出会って数日で私はマーガレットさんと親しくなった。
マーガレットさんと居ると楽しい。他の講師達みたいに見下さないし平民と蔑んだりしない。息が吸いやすい気がする。
マーガレットさんには孫が居るようでよく話を聞かせてくれた。こんな人がお祖母様だなんて羨ましいな…。
「そうだ!ローワンなら卒業なんてすぐできるだろ?家に来なよ!」
「え?いや流石にすぐ卒業は無理…。」
全力で否定したのにマーガレットさんに手を引かれ学長室に乗り込みまさかの次の日に卒業試験をする事になった。五年はかかるはずが一年でこんな事になるなんて思わなかったけど合格できた私はマーガレットさんが喜んでくれた事が何よりも嬉しかった。
「ローワンはてんさいだねっ!さっすが私が見込んだだけはある!!」
「…ありがとう。」
それから私はマーガレットさんの家でお世話になる事になった。
マーガレットさんは薬屋を営んでいて双子の孫が小さいながら手伝いをしているらしい。講師に来ている間は馴染みの客が双子をみていたようだ。
「ガーベラ、キリン帰ってきたよ~!」
「「おばあちゃ~ん!おかりなさい!!」」
マーガレットさんの家に着いた瞬間、飛び出してきた双子は半泣きで飛びついていた。これが家族なんだろうな…。
私が帰ってもこんな風にはならない。
「ほら、ローワン何してるんだい?こっちに来なよ!」
「「だぁれ?」」
「ローワンだよ。これから一緒に住むから仲良くするんだよ。」
「「はぁい!」」
「キリンだよ!」
「ガーベラだよ。」
「…ローワンだ。宜しく。」
キラキラしたブラウンの瞳が私を見てる。すごく居た堪れない。
そんな純粋な目で見ないでほしい。自然と視線を逸らしてしまう。
「「おんなじ~!」」
「?おんなじ??」
「ああ、ローワンの髪の色だね。ガーベラとキリンの目はブラウンだから色が一緒だ。」
「これは……。」
確かに同じブラウンだけど染めているから実際には同じじゃない。家族が嫌がった色を少しでも無くしたくて髪を染めるようになったけど…なんだがこの三人には偽りたくないな。
「マーガレットさん、中に入ったら話したい事があります。」