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十四


さて、辺境伯夫人ははをもてなそうか。


「そんなに私の世話になりたいなら世話をやきましょう。」


「ローワン?!」


「ふんっ。当然です。」


「ではまず、コレをどうぞ。」


「「ゔっ…。」」


「薬草茶です。その怒りっぽさは軽度の更年期障害かもしれない。目眩や肩こりに心当たりは?やる気が出なかったり疲れやすい等は?

この薬草茶は私の特製ブレンドで改善効果があるはずです。さあ、どうぞ。」


二人共顔を歪めてるけどそんなに酷い匂いかな。多少色味が悪いのは認めるけど気にする程でもないはず。


「こんなモノ飲める訳ないわっ!」


叩き落とされる直前、マーガレットさんが私の手から薬草茶を受け取りグイッと飲み干した。


「見た目程酷い味じゃないねぇ。こんなものも飲めないなんてねぇ…。」


「私の味覚は下賎な貴女とは違うのです。」


「では身体を清めましょう。物凄い異臭がします。」


「なっ?!私が臭いというの?!なんと失礼なっ!!」


「馬糞のような臭いをさせといて何言ってるんだい。」


馬糞の方がまだマシかもしれない。

何日身体を拭いてないんだろう。水だけでは心許ない。

あれを試すか…。


「そのままでは汚れは落ちない。先ずはコレを全身にかけて擦ってから水をかけてください。」


「…こんな汚れた水を私にかぶれと?!しかも水ですって?風呂とは湯を貼るものです。」


汚れた水とは失礼な。石鹸に使われてる草を潰して浸した石鹸水(試作)は衛生面を向上させる物なのに。


「湯なんて貼れないので風呂は諦めましょう。顔色が悪いので横になっては?」


「こんな汚い場所で横になどなれません。」


「汚い…いつもより綺麗な程ですが?」


ガレットが来てからは部屋を片付けてくれるのでとても綺麗だ。床は見えるし空気も美味しい。問題なんて感じない。


「仕方がないのでそこの椅子に座って目を閉じて下さい。」


「ふん。やっと椅子を用意しましたか。こんなボロの椅子、通常なら座らないけれど今は疲れたから特別にヒッ!な、ななななにを持っているのです。」


「最近伝わってきた鍼というものです。疲労回復や冷え性等に良いとか。」


「そ、その針をどうしようと言うのですか…。」


「頭や顔なども含めた全身に刺していきます。」


「イィィィィヤァァァァァ!!!」


なんて煩い。治療とは無縁そうだ。

まあ出て行ったからいいかな。


「ローワン…そんなものいつの間に学んだんだい?」


「知識だけは詰め込んだところ。まだ試してない。」


「…充分に経験を積んでから人で試すんだよ。」


マーガレットさんはやはり理解があるな。あの人とは大違いだ。


「出来るようになったらマーガレットさんのところに真っ先に行きます。」


「遠慮しとくよ。」


「とても気持ち良いらしいですよ。」


「遠慮しとくよ。」


「「……。」」


「ああ、そうだった。薬草を取りに行かなくちゃ。ローワンまた家においで。」




マーガレットさん…いつもより早い気がするな…。

確かに少し恐怖を感じるかもしれないけれど目をつぶっていれば半減しそうなものだけどな。今度自分の手で試してみよう。




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