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十三


「はぁ…。」


心的疲労からつい溜息がでる。

私の家族は揃いも揃って短絡的みたいだ。


辺境伯ちちが私の元に来たのはひと月前、仕事を終え帰宅し疲れからベッドに倒れそのまま意識を手放した。するとバキッと大きな音がして起き上がると二人の私兵を引き連れた辺境伯ちちが勝手に部屋に上がり込んでいた。


幸いガレットが私兵を無効化し辺境伯ちちを取り押さえてくれたので何事も無かったが、治療の為にガレットを住まわせていた事と症状が軽くなっていたから助けてもらえた。普段信じてもいない神に感謝したのは初めてだったかもしれない。


「あんな奴の元に居なくて良かったと心底思う。」


「あんな奴の娘に言うのか…。」


「ローワンは俺の主治医だろ。枠が違う!」


そんな会話をしたのを覚えている。

そして、今私の目の前には怒鳴り込んできた夫人はは


「お前が私の幸せを奪ったのよっ!一生かけて償いなさいっ!!」


「身に覚えがありません。お引取り下さい。」


「お前を産まれたから私は不幸になったのよっ!一生を私に捧げるのは義務です。」


「もう一人娘がいるでしょう。愛してやまない娘が。」


「お前はあの娘に苦労をさせる気ですか!」


埒が明かない。今からマーガレットさんの所に行こうと思っていたのに邪魔だ。どうすればここから居なくなってくれるんだろ。


「あんた、何騒いでるんだい。」


「マーガレットさん…どうして。」


「今日は皆で薬草を取りに行こうかと思ってね。ローワンが来ても誰もいないからと伝えにきたんだよ。」


マーガレットさんは笑顔なのに目が全く笑っていない。たぶん聞こえてたかな…。ドアを開けたら勝手にズカズカ家に入ってきたから話は家の中でしていたけれど声はモレてたか。

マーガレットさん勝手にドアを開けて入ってきたけど、今気にするのはそこじゃないか…。


「何ですか貴女は。親子の会話を邪魔しないで下さい。」


「はっ!親子の会話?笑わせんじゃないよ。そんな微笑ましいものじゃなかったはずだ。」


「他人に何が分かると言うのですか。」


「生憎他人じゃないんだよ。産んだのはアンタかもしれないけど、今ローワンは私の子だ!」


「何を言っているのですか?産んだのが私ならコレは一生私の子、私に尽くすのが義務です。」


マーガレットさんの言葉が嬉しい。この人には全く通じていないけど。私はマーガレットさんの娘だ。いつまでも亡霊に憑かれていてはいけない。さて…どう追い出すのがベストかな。


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