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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

婚約破棄され命を狙われる悪役皇女、魔法学園で運命の相手と出逢う――私が悪魔に憑かれているはずがないでしょう――

作者: 十凪高志


 ここはカリギュラント銀河帝国にある、エルゾハール魔法学園。


 銀河中枢の帝都惑星セントランゼから宇宙転移航法で2日間ほどの距離にある学園惑星である。


 俺は高等部二年、アクエリアスクラス在籍。名はロディ・ルウラッドという。


  辺境星区連合加盟国のひとつ、自由星系国家連合に所属するアスターテ星系の第8惑星に生まれ、幼少期は貧しいながらもそれなりに幸せだったと思う。


 しかし、俺が5歳のときに戦争に巻き込まれ、両親が死亡して、それからは孤児院で暮らしてきた。


 そして魔法の才能を見出され、今年の春、この魔法学園に留学したのだ。


「おはようございます、ロディ先輩!」


 そう言って元気よく挨拶してきたのは、中等部一年のルリシア・クリステラだ。


  彼女はとても明るくて可愛い女の子なので、男子生徒からの人気が高い。


 そんな彼女がなぜ俺なんかに懐いているのかと言えば……


 まあ、去年に色々あったのだ。


「ああ、おはよう」


 俺が彼女に挨拶を返すと、彼女は嬉しそうな顔をした。


 彼女の家は男爵家なのだけれど、両親ともに事故で亡くなり、現在は親戚の家に住んでいるらしい。


 ちなみに、俺は平民出身で孤児なんだけど、なぜか貴族や金持ちの子弟が多いこの学園では珍しくもない存在だ。


 何故なら、この学園に入れるのは一定以上の魔術の素養に長けた者たちだけだからだ。実力主義を掲げるこの学院では、貴族も平民も平等である、が鉄則である。


 現実にはそれは難しいだろう。だが、かつて奴隷出身の特待生がこの学園を実力だけで支配した事もあったらしい。それ以来、身分による差別は存在しない事になっている。


 まあ、そういうわけで、俺は特に気にせずルリシアちゃんと接している訳だ。


「ねえ、聞いてくださいよー!昨日、ま叔父様が新しい女を連れて来たんですよ!」

「そっかぁ……」

「もう嫌ですぅ!どうして私はこんな目に遭わないといけないんですか?」


 思春期の女の子にとっては大変だろう。


「そうだねぇ……。でもさ、ルリシアは可愛いから仕方ないんじゃないかな?それに、将来良い所のお嫁さんになれるかもしれないしさ」

「うぅっ……そうでしょうか?」

「うん、きっと大丈夫だよ。ほら、元気出して行こう」

「はい!ありがとうございます」


 そんな事を話しながら歩いていると、人だかりができている。何だろうと不思議に思いながら近づいてみると…… そこには二人の少女がいた。


 一人はとても綺麗な銀髪の少女だ。まるで妖精のように可憐であり、その佇まいからは気品すら感じられる。もう一人は金髪碧眼の美少女だ。こちらも物静かだが、どちらかと言うと冷静、あるいは冷徹な雰囲気を感じさせる子だ。


  二人は何かを話しているようだが、周囲の喧騒のせいで聞き取れない。


  すると、不意にこちらを見た銀髪の少女が微笑みを浮かべて会釈をした。


 (うおっ!?)


  思わず見惚れてしまった俺は慌てて目を逸らす。


「どうしました?ロディ先輩?」


  ルリシアがキョトンとした顔で尋ねてくる。


 「えっと、何でもないよ。それより急ごう」


   俺達は急いでその場を離れた。


 ◆


 ルリシアと別れて教室に入ると、クラスメイト達が俺の方を見てヒソヒソと話しているのが目に入った。


「おい、またあいつ……」

「ああ、一緒に登校してやがった」

「噂通り、本当に仲が良いみたいね」

「くそぉ!羨ましいぞ!」

「ちょっと男子ぃ~、朝っぱらから煩いわよ」

「まあまあ、落ち着いて下さい」

「まったく、これだから男どもは……」


 などという声が聞こえてきた。……うん、やっぱり俺達の噂をしているようだ。

 

 この学園には、他の学校と比べても、かなり多くのカップルが存在する。しかもそのほとんどが婚約者同士だというのだから驚きだ。

 

 まあ、貴族も結構いるからな。

 

 俺とルリシアはそもそもそんな関係じゃない。懐いてくれているけど、兄と妹のようなものだし、身分がそもそも違いすぎる。

 

 仲良く話せるのは、この学園が身分を重視しない、一種異様な空間だからだ。だからと言って、別に恋愛感情を抱いているとかではない。俺は彼女いない歴=年齢の非モテ系男子なのだ。

 

 一方、ルリシアの方は可愛いし性格も良いので、言い寄ってくる男は後を絶たない。しかし、彼女はどんな男が相手でも絶対に首を縦には振らないのだ。だから俺に懐いて来てくれているのは、異性として見ていない証拠なのだと思う。


「おはよう、ロディ」

 

 そう言って声を掛けて来たのは、俺の親友であるダレス・ドレンだ。

 

「ああ、おはよう」 

 

 俺が挨拶を返すと、彼は苦笑した。

 

「相変わらず大変そうだな」

「他人事だと思いやがって」

「実際他人だからな」

「そりゃそうだ」

 

 俺たちはお互いに笑い合う。

 

 この学園では身分に関係なく実力が全てなので、皆、対等な友人関係を築こうとしている。だから、この学園にいる間は誰もが同じ立場なのだ。

 

 ダレスが、男爵家の嫡男だとしてもそれは変わらない。

 

「ところでさ、聞いたかい? 帝都で皇女殿下が婚約破棄されたそうだ」

「へえ……」

 

 俺は驚いたフリをする。まあ、本当は知っているんだけど。

 というのも、ここ最近、この学園の生徒の間でもこの話題で持ちきりだからだ。

 

 なんでも、皇帝陛下の御息女であらせられる第六十三皇女アストレリア・ミルス・リギューラ様が、婚約を破棄されたということだ。


 相手は自由惑星連合国の公爵家の子息だったはずだ。確か名前は……アルフォンスと言ったかな?

 

 自由惑星連合と帝国は戦争状態……とまではいかなくとも緊張状態にある。

 

 アストレリア様は、半ば人質のような形で婚約させられ、彼の星へ行ったと聞いているが……


 一体どういうことなんだろう。

 

 ちなみに、この学園では皇族の話題はあまりしない方が良いとされている。なにしろ、平民たちの学園ではなく、貴族子女たちも通っているのだ。下手に触れて不敬罪になったりしたら大変なことになるからだ。

 

 しかし、それでもみんな、気になるものは気になってしまうのだ。

 

「なぁなぁ、ロディ。お前はどう思う?」

 

 突然、一人の男子生徒が話しかけてきた。

 

 こいつはギルバード。このクラスの委員長だ。

 

「どうとは……何がだ?」

「決まってるだろ。皇女殿下の結婚についてだよ!」

「さあな、俺はよく知らんよ。貴族でもないしな」

「ちぇっ、つまんねぇ奴だぜ。もっと熱くなれよぉ!!」

「お前は少し黙れ。暑苦しいんだよ脳筋委員長。それに、そういう事は本人に直接聞けば良いだろ?」

「そんな事できるわけないだろ!近づけるはずもねぇよ!」

「じゃあ、諦めて忘れることだ。どうせすぐに別の話題に変わるだろうから」

「むぅ……そうかもしれないが……なんか納得いかないぞ。まあ、ロディがそう言うならそうするしかないか」

「そうそう、そうしておけ」

 

 俺は適当にあしらった。


 まあ、そのうち自然と収まるだろう。

 

 

 ホームルームが始まり、担任の教師が入ってきた。

 

 年齢は二十代後半くらいだろうか。実年齢は頑なに口にしない。美人だがどこか冷めた印象を受ける女性だ。

 

 彼女は淡々と連絡事項を伝えていく。

 

 そして最後に、

 

「今日はこのクラスに編入生がいます。入ってきてください」

 

 と、言った。

 

 すると、教室の入り口が開き、一人の少女が入ってくる。

 

 その姿を見た瞬間、俺は衝撃を受けた。

 

 それは、とても美しい少女だった。

 

 流れるような銀髪に透き通るような白い肌。長いまつげに覆われた青い瞳は神秘的な光を放っていた。

 

 そして、その美しさはどこか人間離れした雰囲気を感じさせた。 

     

 まるで、絵画から飛び出してきたかのような錯覚を覚えるほどに。


 彼女に見覚えがあった。先程であった少女だ。まさか彼女が編入生だとは思わなかった。

 

 そしてもう一人、金髪の少女が入って来た。やはり先程の少女だ。


 二人の少女が並んで立つ姿はとても絵になっていた。

 

「それでは自己紹介をして」

「はい」

 

 銀髪の少女が答える。その名前に、クラスは騒然とした。

 

「私はアストレリア・ミルス・リギューラです。こちらは侍女のエルルアンネです」

「エルルアンネ・ファル・ムスティーナです。姫様共々、よろしくお願いします」

 

 エルルアンネと呼ばれた少女が頭を下げる。

 

「おいおい、マジかよ」

「嘘だろ……? 本物の皇女殿下じゃないか」

「名前騙った偽物……のわけないよな」

「信じられない……」

「凄い……綺麗……」

「あんな人、初めて見たわ」

 などと、クラスメイトたちがざわめいている。

 

 無理もない。彼女は、まさにこの国の至宝とも言うべき存在なのだから。

 

「静かになさい!」

 

 担任の女性教師の声が響く。

 

「あなた達は今、歴史の授業を受けている訳ではないのです。皇女殿下に対して失礼でしょう!」

「先生」

 

 皇女様が言う。

 

「この学園の理念は、身分にとらわれずに平等に魔法を学ぶ場所です。皇女とはいえ、私は先生やクラスの皆さんと同じです。いえ、生徒である以上、先生よりも下なのですし」


「し、しかし……」

「私は気にしません。むしろ、今まで私のような者をこの学園に受け入れてくれた事に感謝しています」

「はあ……わかりました」

 

 担任はため息をつくと、仕方なさそうにそう答えた。

 

「そうです。これをいい機会と皇族に対する不満を姫様にぶつけたとしても不問なのです」

 

 金髪侍女がヤバいことを言い出した。

 

「いや、流石にそんな事をする者はいないと思いますが……そもそも私たちは帝国の臣民であり不満など」

 

 担任が呆れたように呟く。

 

「冗談ですよ。そんな事をすれば、私が叩き潰しますので」

「そ、そうなんですか……」

「もちろん、姫様に手を出したら命はないものと覚悟してください」

 

 にっこりと微笑みながら金髪美少女がそう言った。

 

「ひいっ!?」

「怖ええええええええええええ!?」

 

 教室中が恐怖に包まれた。

 

 やべー女だこいつ。まあ帝国皇女殿下の側近はこれくらいでないと務まらないのだろうけど。

 

「こほん……。ええと、では改めて質問を受けつけます。何かありますか?」

 気を取り直して担任がそう言うと、一人の男子生徒が立ち上がった。

 

 ギルバードだ。

 

「あの、どうしてこの学園へ?」

「姫様は婚約破棄されたからです」

 

 侍女のエルルアンネが答えた。

 

「要するに不良在庫を学園に押し付けたと言う事です」

 

 この侍女さん、姫様に不満でも溜まってるのだろうか。

 しかし、それを聞いていたクラスメイト達がどよめいた。

 

「婚約破棄って……」

「あの噂は本当だったのか……」

「ていうか言っていいのかそんなこと」

「まあ、この学園は自由な校風だからな」

「それにしても……」

 

 などという声が聞こえてくる。

 

 しかしそれ以上、その事を追求する猛者はいなかった。そりゃそうである。

 

 まあ、皇女殿下相手にこんな事を言える人は普通いないだろうけどなぁ……と思いつつ俺は苦笑した。

 

 そして、皇女様の方を見ると……なぜかこちらを見ていた彼女と目が合った。

 

(うおっ!)

 

 俺は慌てて目を逸らす。すると、クスリという笑い声が聞こえて来たので、そちらを見てみると……皇女様が口元に手を当てて上品に笑っていらっしゃいました。

 

 ……いかんいかん。あまりジロジロ見るものじゃないな。俺は視線を前に向けると小さく咳払いをした。

 

 

 その後、皇女殿下はクラスメイト達と和やかな会話を交わしていた。

 

 その様子を見て俺はホッとすると同時に、皇女様の人気の高さにも驚いた。皆、皇女様とお近づきになりたいようだ。

 

 確かに、彼女は魅力的な女の子だもんなぁ……と、俺は呑気なことを考えていたが、この時はまだ知る由もなかった。この後とんでもない事件に巻き込まれることになるなんて……

 

 

 ホームルームが終わると、皇女殿下の周りは一気に人で溢れかえった。

 

「あの、皇女殿下!」

「よろしければ俺と……」

「抜け駆けは許さないぞ!」

「お前こそ!」

「ちょっと、落ち着いて下さい!」

「喧嘩しないで~!」

「やれやれ……」

「まったく、困ったものですね」

「……そうだな」

 

 俺とルリシアは、その様子を少し離れた場所で眺めていた。

 彼女は中等部なので棟も違うが、中等部にまで皇女様転入の噂は届いたらしい。クラスの外にも人だかりができていた。

 

「皇女殿下って人気者なんですね」

「まあ、悪い子ではないからな」

「ふーん……」

「なんだ? 興味あるのか?」

「べっつにぃ~」

 

 ルリシアが頬を膨らませる。

 

「ほれ、拗ねるなって」

「別に拗ねてなんかないもーんだ!」

 

 ……可愛い奴め! 兄を取られた気分なのだろう。俺は思わずニヤけそうになるのを抑えた。危ない危ない。

 

 それにしても平和だなぁ…… 俺は窓の外に広がる青空を見上げてそう思った。そして同時にこうも思うのだ。ああ、これがずっと続けば良いのに……と。

 

 だが、この時の俺は知らなかったのだ。この後に起こる事件のことなど……

 

 

 その日の昼休みのことだった。

 

「ロディ君、一緒にお昼食を食べましょう」

 

 そう言って声を掛けてきたのは、なんと皇女様だった。

 彼女はニコニコしながら弁当箱を差し出してきたのだ。

 

「えっ……?」

 

 周囲が一気にざわめく。


「皇女殿下が平民と一緒にお食事を……?」

「どういうこと?」

「まさか、ロディの奴……」

「そんなバカな」

「ありえん」 


 などと、ひそひそ話が飛び交っている。

 

 しかし、皇女様はそんな事はどこ吹く風といった様子だ。

 

「あ、あの……なぜ?」

「あら、いけないかしら?」

「いけなくはありませんが……」

「じゃあ決まり!さあ、行きましょう!」

「あ、はい……」

 

 こうして、何故か俺達は二人で食事を取ることになった。

 

 ルリシアの姿が見えた気がしたが、それどころではなかった。

 

「お口に合うといいんだけど……」

「いえ、美味しいです!とても!」

「そう、良かった」

 

 そう言うと、皇女様はニッコリと微笑む。

 

「あ、ところでさっきの質問の答えだけど……」

「はい」

「貴方に興味があるからです」

「えっ? それは一体どう言う意味で……?」

「そのままの意味ですわ」

「そうですか……」

 

 俺は困惑していた。

 彼女は何がしたいのだろうか?

 

「ごめんなさい。迷惑だったかしら?」

「いえ、そんなことは……」

「そう、それを聞いて安心しました」

「は、はい……」

 

 俺はますます混乱するばかりだった。彼女はいったい何を考えているのだろうか?

 

 その後、食後に皇女様と中庭を歩くことになった。わけがわからないが……

 

 ともかく歩いていると突然、花壇の花を一輪手折ったかと思うと、それを俺に差し出して言った。

 

「はい、どうぞ」

「えっと、これは?」

「プレゼントです」

 

 この花壇の花は学園のもの、それも園芸部員のものであると思うのだけど、あえて言わなかった。

 

「それは嬉しいのですが……何故急に?」

「だって、せっかく同じクラスになったのですから。仲良くなりたいじゃないですか?」

「は、はぁ……」

「嫌……ですか?」

「いえ、そんなことはないのですが……」

 

 やたらグイグイくる。

 

 後ろからは好奇心や殺意の籠った視線を大量に感じるし。正直居心地が悪い。

 

「でも、皇女殿下がわざわざそのような事をしなくても……」

「そうね。でも、私はただのアストレリアです。よければその……レリアと呼んでください」

 

 なにを言っているんだ。この子は。

 

「いや、流石にそれは……」

「お願いします」

 

 真剣な表情だ。本当に名前で呼んで欲しいらしい。

 。

「わかりました……アストレリア様」

「レリアです」

「……アストレリア様」

「レ・リ・ア!!」

 

 ずいっと顔を近づけてくる。近い!顔が!美人の顔が目の前に!!

 

 心臓が激しく高鳴るのを感じる。やばいやばいやばい!このままだと理性が崩壊してしまう!

 

「わわわわかりました!分かりましたから! レリア!!」

 

 俺はたまらず叫んだ。

 

「はい♪」

 

 満足げに皇女様が笑う。

 

 くそぉ……この笑顔に抗えない自分が憎い……。というか、なんで俺はこんなにドキドキしているんだろう……。相手が皇女様だからか? それとも、彼女の持つ独特の雰囲気のせいだろうか……。

 

「では、改めてよろしくお願いしますね。ロディ君」

「は、はい……」

「うふふ……」

 

 皇女様は楽しげに笑っていた。

 

 

 それからというもの、皇女様は毎日のように俺を誘いにやって来た。

 

「一緒に帰りませんか?」

「一緒にご飯食べませんか?」

「放課後、遊びに行きませんか?」

 

 などなど……。

 

「なんでだ!?」

 

 俺は頭を抱える。本気でわからない。


 何故こんな事になっているのだろう。

 

「……おい、聞いたか?」

「ああ、なんでも皇女殿下が編入生に熱を上げているとか……」

「くそ、羨ましい……」

「なんて卑怯な……」

 

 クラスメイト達の視線が痛かった。

 

 殺意を感じる。

 

 ていうか何人かは確実に呪詛魔術しかけてきてるだろうこれ。

 

「羨ましいじゃないか」

 

 ダレスが言う。他人事だからそう言えるんだよ。

 

 こっちの身にもなれっての。

 

「まったくだぜ……。こちとら、あんな美女に言い寄られたことねえってのに」

 

 ギルバードが言う。まあ、お前はそうだろな。

 

「はぁ……」

 

 ため息をつく。どうしてこうなった。

 

「疑問にお答えしましょう」

「うわっ!?」

 

 いきなり会話に割り込んできたのは、皇女様の侍女のエルルアンネだ。

 

 相変わらず神出鬼没である。

 

「レリア皇女様がロディ様を気に入っている理由……そろそろ話しておくべきですね」

 

 そしてエルルアンネは話し出す。

 

 その秘密を―――



 皇女アストレリア・ミルス・リギューラ。

 

 彼女はたくさんいる妾腹の皇女の一人として生まれた。


 皇位継承権は低いものの、皇族の血を引いていることに変わりはない。しかし、母が平民出身だったため、周囲からはあまり良く思われていなかった。

 

 そのため、宮廷で彼女は孤独だった。

 

 そんな彼女の心の支えになったのが――



「乙女ゲームです」



「……は?」


 

 エルルアンネが言った言葉が理解できなかった。

 

「乙女ゲーム……とは?」

「女性向けの恋愛シミュレーションゲームのことですよ」

「それが……皇女様の気に入る要素だったんですかね?」

「はい」

「それで……?」

「皇女様は、現実には存在しない男性キャラクターを好きになって妄想に浸っていた現実逃避癖の……いえ、夢見る乙女なのです」

 

 ……なにそれ怖い。

 

 というかめっちゃオブラートに包んで言い直したな。

 

「そして、ある日、皇女様はあるゲームち運命的な出会いを果たします」

「それが俺……となんで関係が?」

「似ているのです。この乙女ゲーム、『ラブリー☆宇宙プリンス』に登場する攻略対象キャラと貴方はそっくりなんですよ」

「……はい?」

 

 俺は思わず固まった。……この人、今なんて言った?

 

「『ラブリー☆宇宙プリンス』という乙女ゲームの主人公は、とある学園に編入して来るところから物語が始まります。そこで出会うのが、貴方と同じ名前のロディ・アムンヘルムです」

「ええ……」

 

 苗字は違うけど確かに同じ名前だった。

 

 そして見せられたイラスト……確かに似ている。

 

 俺をイケメンに美化した感じだった。

 

「彼は主人公のクラスメイトで、最初はあまり目立たない存在でしたが、徐々に主人公に惹かれていき、やがて二人は恋に落ちるというストーリーです」


  なんじゃそりゃあ。

 

「そして、皇女様はロディ様に一目惚れしたそうなのです」


 マジかよ。

 

「ちなみに、皇女様はロディ様のことを『王子様みたい!』と大層お気に入りの様子で、いつも彼のことを見つめていらっしゃいます」

「ええ……」

「ちなみに皇女様は「王子様」と言ってますがゲームではモブに毛が生えた程度のキャラです」

「ええ……」

 

 もう何も言うまい。

 

 好きなゲームキャラにそっくりだから気に入りました。

 

 しかしこれはある意味気が楽だ。つまり、ちょっと残念ではあるが……

 

「じゃあ、皇女様が本気で俺に恋をしてきたわけではないと言う事だ」

 

 俺は胸を撫で下ろしたが……

 

「いえ、それは違います」

「えっ?」

「皇女様は本気です」

「ええっ?」

「皇女様は本気で貴方を愛しています」

「えええっ?」

 

 俺は頭が真っ白になる。

 

「信じたくない……もとい。信じられないかもしれませんが事実です。皇女様はロディ様に会うためにこの学校に来たようなものなのですから」

「嘘だぁ……」

 

 俺は頭を抱えた。

 

「信じたくない気持ちも分かります。ですが、皇女様の態度を見ていれば分かるはずです。

 彼女は本心から貴方ら妄想……ではなく、貴方のことが好きだということを」

 

 確かに、皇女様の言動を思い返してみると……俺を見る目がキラキラしていたような……?

 

「皇女様は、ロディ様が思っているよりもずっとバ……純粋な方です。そんな彼女を貴方は傷つけるつもりですか?」

 

 今、バカって言おうとしてたな。

 

「いや、そんなことは……」

「ならば、誠意を持って接すべきです」

「……そうですね」

 

 エルルアンネの言葉には不思議な説得力があった。

 

「馬鹿に小細工は通じないのですから」

 

 今自分の主人を馬鹿と言ったよこの侍女。今度はハッキリと。

 

「誠意を持って真摯に純粋に、俺はゲームキャラじゃないと伝えて断ればいいんじゃね?」

 

 ダレスが言う。しかしエルルアンネは言った。

 

「断ったらこの星が滅びますね」

 

 ……え? なにそれ怖い。

 

「何故なら……」

 

 エルルアンネが説明しようとすると、

 

「あら、みなさんどうしたのですか」

 

 渦中の人、アストレリア皇女がやってきた

 。

「皇女様!」


「レリアです」

「……レリア様」

「レリアです」

「…………レリア」

「はい、なんでしょう?」

 

 皇女様はニコニコしながら首を傾げる。

 

「いえ、あの、その、お話があります!」

 

 俺は言った。今まで事情が全くわからなかったから振り回されていたけど……ちゃんとしないと。

 

「はい?何でしょうか?」

「えっと、実は俺……レリア様の事が……」

「はい♪」

 

 皇女様の笑顔が眩しい。

 

 だが、俺は言わなければならないのだ。

 

 断らなければいけない。真摯に向き合って。

 

 だけど、断ると星が滅びる――?

 

 いや、それは帝国を敵に回したらと言う意味だ。真摯に向き合えばいい。そうだ、まずはお友達からということにして、そして少しずつ幻滅させていけばいいのだ。お姫様の幻想をゆっくりと――

 

 そう思っていた時。



「見つけたぞ!!」

 

 突如、武装した男たちが教室になだれ込んできた。

 

 帝国の兵士ではない。明らかに私兵組織のようなバラバラの格好をしている。

 

「な、なんだ!?」

「きゃあっ!?」

「な、なにごとですか!?」

 

 生徒達が混乱する。すると、リーダーらしき男が声を上げた。

 

「動くな!このクラスに皇女がいるな?」

「え、え

 え……私がそうですけど……」

 

 皇女様が怯えながら答える。

 

「お前達、このクラスの連中を人質に取る!抵抗すれば殺す!!」

 

 そう言って男は剣を抜き放つ。

 

「抵抗さえしなければ危害は加えない!!我らの目的は皇女ただ一人だ!!」

「あ、あなたたちは……」

 

 アストレリアは言う。

 

「私はこの国の皇女アストレリア・アムンヘルム!いったい私に何をしようというの!?」

「私はこの国の皇女アストレリア・ミルス・リギューラ! いったい私に何をしようというのですか!?」

 

 レリアが叫ぶ。

 

「我々は銀河解放自由同盟だ!! ついに追い詰めたぞ!!

ふはははははははははここには何重にも用意した魔術無効化結界が用意されている、学園の生徒たちはおろか貴様でも結界はとけん!!」


「なっ!?」

 

 レリアは驚愕の表情を浮かべる。

 

「さあ、皇女よ!大人しく我々と共に来てもらう!!」

「くっ……」

 

 レリアは唇を噛む。そして俺の方を見た。

 

「ロディ君……ごめんなさい。私のせいだわ」

「レリア……」

「大丈夫。きっとなんとかなります。だから、貴方は皆を助けてあげて」

「くっ……」

 

 俺は拳を握りしめる。

 

 レリアが行ってしまう。しかし、俺は動けなかった。足がすくんでしまった。

 

 俺は……ただの平民だ。レリアが、皇女様が思っているような、乙女ゲームの王子様なんかじゃあ……ない。

 

 俺だけではない。誰もが動けなかった。

 

「ふはははははははははついにこの時が来た!!何千何万の同胞が死にゆき星々が滅びゆく中で!!! 我々はただ貴様を倒す瞬間だけを夢見てきたのだ!!!!」

 

 リーダーが高笑いを上げる。

 

「貴様によってもはや人とも呼べぬ姿になり果てたアルフォンス様の無念!! 多くの同胞たちの哀しみ!!! 今こそ!!! 今こそ正義の鉄槌を下してやるぞ!!!!」

 

 ……。

 

 ……ん? あれ?

 

 なんかおかしくないか? 今、こいつとんでもない事を口走ったような……。

 

「待ってくれ」

 

 俺は思わず言っていた。

 

「なにぃ?」

「あんたら……まさか、アルフォンスが黒幕だと?」

「何を言っている貴様、我々はあの方の遺志を胸に!!恨みを晴らさんと同胞たちの屍を乗り越えて……」

 

 アルフォンスって確か、アストレリア皇女と婚約破棄したという……

 

 あれ?話がなんかおかしくないか。

 

「……おい、ダレス」

「おう、なんだ?」

「アルフォンスとアストレリア皇女の婚約が解消されたのは知ってるよな?」

「ああ、知ってるが……」

「その理由って?」

「知らんが……」

 俺たちが話していると、レリアが言う、

「今はそんなことよりも、みんなを助ける方が先決です」

「しかし、このままでは……」

「ロディ君は私が守ります」

 

 皇女様は毅然と言い放った。その瞳からは強い意志を感じる。しかし――

 

「はっはっは!!笑わせるなよ皇女よぉ!!たった一人で何ができる!!! この結界の中ではお前は無力なんだよ悪魔憑きの悪役令嬢があああ!!!!」

 

 兵士の一人が、銃を乱射した。

 

 まずい――!!

 

 しかし。

 

「え……?」

 

 皇女様は全身に銃弾を浴びながら平然としていた。


 

「悪魔憑き? 何を言っているんですか。悪魔なんて……

 

 いるわけないじゃないですかーーーーぎゃーーーーはははははははははははははーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

 

 首をぐるぐると回しながら皇女様は言った。

 

「ば、化け物め……ぐああっ!?」

 

 次の瞬間、兵士達の首が飛んだ。千切れ飛んだ。

 

 血が吹き出す。教室が赤く染まる。

 

「う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「くそったれ銀の銃だぞ!!」

「ブラスターに切り替えろ!!」

 

 兵士たちが叫ぶ。そして次々と皇女様に発砲するが、そのことごとくを皇女様は避けていく。まるで弾丸が見えているかのように。

 

 そして、皇女様は手刀で、一瞬で、五人の首を跳ね飛ばした。

 

「ひ、ひいっ!?」

 

 リーダーが後ずさる。

 

「ザーーザーーーース!!!!」

 

 何かの呪文めいた叫びを皇女様は上げながら突進する。


「なぁーにが自由ですか解放ですかただ私を犯りたいだけのケダモノがぁーーー!!! 私をヤりたいなら宇宙艦隊ぐらい突っ込ませてきなさいィィイ――――!!! ゲェーハハハ!!!!!」

 

 そして、皇女様の手がリーダーの腹を貫く。そしてそのまま引き裂いた。

 

「ひいっ!?」

 

 内臓が飛び散り、女生徒の顔にかかる。

 

 だが皇女様は笑いながら続ける。

 

 殺戮を。

 

「げゃははははははははははどいつもこいつもフニャチンがぁー!!!そんなんで私を満足させられるとでもー!?

 殺されることを喜びながらその命を深淵にィィィィィ捧げなさいィィィイイ――――!!!!!!」

「あがっ……あがっ……」

「あぁっ……あぁ……」

「助け……」

「貧弱惰弱脆弱ゥウウ――!!!!!

 Ph'nglui mglw'nafh Cthulhu R'lyeh wgah'nagl fhtagn!!!!! Ia! Ia! Cthulhu fhtagn!!!!!!!

 殺せ!!! 死ね!!! ゾスの彼方までその叫びを届かせイクナグンニスススズを呼び起こす絶望の子守歌ォ――――!!!」

 

 皇女様は両手を広げて天を仰ぎ笑う、その両手には生首や臓物がにぎられていた。

 

 ……。


 めっちゃ悪魔に憑かれていた。

 

「やれやれ。またこうなりましたか」

 

 侍女のエルルアンネがため息をつく。

 

 随分冷静っすね。

 

「えっと……どういう状況?」

 

 俺は尋ねる。

 

「みた通りですね。確かに魔術は封じてますがフィジカルでゴリ推しして圧勝轢殺と」

 

「いやそうではなくて!!」

 

「皇女様には悲しい過去があるのです。一言で言うと、とっ憑かれてます」

「一言で片づけすぎだ!!」

「婚約破棄をされ続けているのもこれが理由です」

「そりゃされるわ!!」

 

 あんなの婚約者にしたくないよ!!政治的判断よりも恐怖が優先されます!!

 

「しかし参りましたね。魔術が封じられていると言う事は、皇女様を元にもどせません」

「元に戻す方法が?」

「はい。この魔術ゲーム機で乙女ゲームを起動させても、ー、ロディ様……ああゲームキャラの方ですが、彼のささやきボイスを流せば落ち着くんですが……

 魔術を封じられていては起動できませんね。

 このままではやがて生徒たち皆殺しにされます」

「何を平然と!!」

「ですが唯一の突破口があります。それは――」



 そしてエルルアンネは、とんでもないことを俺に言った。

 

「ロディ様のキスです」

「へ?」

「ロディ様はレリア皇女様にとってまさに運命の王子様役なのです。ならばキスの一つでもしてください」

「は、はあ!?」

 

 俺は思わず叫んだ。なに言ってんだこの人!?

 

「愛のセリフを叫んでそして抱き着いてキス。それだけで皆が救われます。

 しなかったらみんな死にます」

 

 無茶苦茶だ!!

 

「やれよロディ、男なら!」

「頑張れ!!」

「お前にしかできない!!」

 

 クラスメイトたちが声援を送る。

 

 恐怖に顔を引きつらせながらも懸命に。

 

「な、なんでこんなことに……」

 

 俺は頭を抱える。どうして俺がこんな目に……。

 

「ロディ様。もう覚悟を決めるしかありません」

「くっ……」

 

 俺は皇女様を見る。

 

 彼女は返り血に染まりながらもまだ笑い続けていた。

 

 関節の可動域が人間じゃない。

 

 ものすごいブリッジしていた。

 

 俺、今からアレに告白してキスすんの?

 

 嚙みちぎられない?

 

「おおおおおおっ!!」


 俺は叫ぶ。覚悟を決める。

 

「レリアああああっ!!!!!」


 俺は皇女様――レリアに向かって駆け出し、抱きしめた。

 

 柔らかい感触が伝わる。

 

 たぶんこれ全身の骨の間接が外れてるわ。

 

 甘い香りが鼻腔をくすぐる。


 知っているか? 腐臭って甘い匂いがするんだ。

 

 レリアは驚いたようにこちらを見つめる。


 首をぐるんと回して。怖い。

 

 エルルアンネはフリップを持って「告白!!台詞がないと効果半減!!」と指示してくる。

 

 その横でクラスメートたちが必死に祈っている。

 

 ちくしょう。

 

「俺は、俺はお前のことが好きだあああああ!! 結婚を前提として俺とお付き合いを――婚約してくださいッッッッッ!!!!!」

 

 俺は叫ぶ。

 

 そして、レリアの唇を奪った。

 

 長い時間のように感じられた。

 

 ゆっくりと唇を離すと、レリアは呆けた表情を浮かべていたが、すぐに微笑みに変わった。

 

 そして、優しい声で囁く。

 

「……嬉しい」

 

 そして皇女様は俺をぎゅっと強く抱擁してきた。

 

 俺は目を閉じてそれを受け入れる。

 

 ……受け入れるしかなかった。

 

 だって怖いもん!! あれほっといたらみんな殺されるタイプのやべぇヤツだよ!! エルルアンネが言ってた「断ったら星が滅びる」の意味を理解した!! だから仕方ないよね!!

 

 誰も俺を責める事なんてできるもんか!!!

 

 レリアはしばらくそうしたあと、ゆっくり体を放し、そして満面の笑顔を浮かべて言った。

 

「ええと……私また、やっちゃいましたか?」

 

 エルルアンネが言う。

 

「ええ、見事に。またやっちゃいましたね。ですが被害の少なさは新記録です」

 

 これで新記録かよ。血の海なんですが。

 

 レリアは恥ずかしそうな表情をする。

 

 その恥じらう姿は可愛かった。

 

 周囲が死体と臓物と鮮血にに塗れてなけばもっとよかったけど。

 

「こんなに大勢の前であんな情熱的な、まるで乙女ゲームのように告白されるなんて……クラス公認の既成事実というやつですね」

「ええ、それはもう」

 

 エルルアンネが吐くその言葉に、クラスメートたちが張り付いた満面の笑顔で何度も何度も首を縦に振る。

 

 張り付いているのは、笑顔だけでなくて返り血もだった。

 

「二人ともお幸せに!」

「おめでとう!!」

「末永くお元気で!!」

「結婚式には呼ばなくていいです!!」

 

 そんな祝福の言葉があちこちから聞こえる。

 

 理解している。彼らは祝福しているわけではない。

 

 これは生贄の儀式だ。

 

 俺を捧げる事で自分たち安全を確保しようとしているのだ。しかし、それを糾弾する事はできない。

 

 なぜならば、今、目の前で皇女様が、嬉しさのあまり涙目になりながら、 俺の頬に手を添え、熱い視線を送ってくるからだ。

 

 この期待に満ちた眼差しを裏切る事などできるわけがなかった。

 

 だって裏切ったらみんな死ぬ。絶対死ぬ。

 

 俺は最悪のジョーカーを押し付けられてしまったわけだ。詰んだ。

 銀河帝国の皇女様は――レリアは俺の顎に手を添えて上を向かせる。

 

 そして――

 

 再び、レリアの柔らかな唇が俺の唇に触れた。

 

 血の味がした。



 こうして俺は、皇女様の婚約者になってしまったのである。


 どうしてこうなった。


 この乙女ゲームに俺に似たキャラを登場させた責任者出てこい。三十発ほど殴らせろ。


                 ――――Fin


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