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エピローグ

次に目を覚ましたのは、見慣れた森の中。ハイロが、真っ直ぐにアリスを見つめていた。

アリスは培養液の中から出ていて、地面に寝転がっていた。


“…ハイロ、アリスは…?”

「ああ、目覚めたか。大丈夫だ。心肺も復活してるし、呼吸も安定してる。今は無理矢理魂の空間をこじ開けた反動で寝てるだけだ」

“そうか…そうか…”


俺は流れない涙を流しながら、膝をついた。大号泣した。


“…にしても、どうやって蘇生したんだ?”

「ああ、あの空間にいたアリス、実は糸紡ぎの玉で作った人形だったんだ。お前があの時、あの最深層部までの道をつなげてくれたおかげで、今もあれはあそこに留まっている」

“そうか…”


アリスを、本当に蘇生させることが出来たんだ…。


「それはそれとして。あとはお前にも体を持たせないとな」

“…は?”


ハイロは、そういうと「“器生成”」といった。

直後、水やら肉やらが徐々に人の体になっていき、そこには、人が一人出来上がった。


「お前、この中に入れ」

“ん?”

「いや、新品だし、持ち主がないから、転魂魔法で入れるぞ」

“え、いやちょっと”

「“入れ。オーディン”!」


まただ。また俺の意見は無視され、そのまま意識は遠のいた。


遠のいた意識の片隅。何かとつながる感覚がした。



「…これでよしっと…」

“本当に言っただけで現実にするとは…お主、わしの体も…!”

「いやだね。そんなにポンポン出すほど俺はMPを無駄使いしない」

“けちんぼ!”


「はいはい…」と流しながら、俺は岩に腰かけ、ふうっと息を吐きだした。

一体、俺はどうしてこんな人生を授けられたのだろうか。

もちろん、うれしいことだし、今は今ですごく楽しんでいる。人生、充実してるのかなって、そう思っている。

元の世界では味わえなかった刺激がここにはあって。波乱な人生が体感できて。こうして、人の為になることが容易な世界。

楽しい楽しい世界だ。同時に、残酷すぎる世界でもある。その構図はどの世界に行ったとて変わりはしないだろう。


「…なあ、メグリネ」

“なんじゃ?”

「お前、この世界に生まれ落ちて、よかったって、思ってるか?」

“また奇妙な悟りじゃな。…そうじゃな、わしは、結構楽しいぞ”


メグリネは、そう言ってふっと鼻で笑う。

選ばれた意味も。こんな世界がある意味も。この人生の法則も何もわからないけど。

きっと、今は一番充実してるって。俺はそう言うことが出来る。


「…さっ、もうそろそろかな?」


俺は、彼らの元へ戻った。

後ろには、これまで歩いたこの世界の記憶がびっしりと詰まっている。この世界に来てからそんなに時間は経っていないけれど、中々濃い生活だなと改めて、そう考えた。


きっとこれからの人生も、こんな感じの人生だろう。

一人の最愛の十字架を背負って、騒がしい神と、魔法使いと一緒に旅して。俺は神として過ごして。

どんな人生にしようか。楽しい人生がいいけど、そんなうまくはいかないかな。

でも。少なくとも、この足が進む限り。俺は前に進む。

HPが1の俺は、唯一無二の地位を勝ち取れた。


「…おい!起きろオーディン!アリスの目覚めに間に合わねぇぞ!」

「…っう…ハイ、ロ…?」

「おう。スズムラハイロだ」

「てことは…俺、生き返ったのか…?」

「おう」


そういうと、はしゃぎだすオーディンを見ながら。俺はアリスのほうを見た。


「…お、目覚ましたぞ」

「えっ!ほ、本当か!?」

「…うぅ…まぶしい…」


むくりと。アリスはゆっくりと目を覚ました。その目を開き。彼女はこちらを見た。


「あ…あ…」

「?。オー…ディン?ずいぶん若くなったねぇ~。それに、この人は…」

「アリス!!!!!!」

「うわわ!オーディン!?」

「ごめん…ごめんな…アリス…」

「あ…うん。大丈夫だよ。わざとじゃないんでしょ?」

「よかった…本当に…」


二人がいい雰囲気になってるから。俺はひとまずここから離れることにした。

後ろからオーディンの「お、俺!アリスのことが…」という声が聞こえて、その足をもう少し速めた。



俺は、彼女らの仲を取り持ったいわば「仲裁人」になれた。


俺は、この世界をある種救った「英雄」になれた。


俺は、この世界の中では「魔王神」になれた。


でも、そんなもんよりもはるかに高い地位を手に入れた。


見る人によってはそれは無力で。

でも、それは確かな力で。

きっと、誰にでもあって、俺にしかないもの。



俺は__HPが1の人生は、歴史を創ってきた。

争いの歴史も。平和の歴史も。俺の人生を見返せば全部乗ってて。きっと、この先を見渡してもずっとずっと作られていく。

あるいは、このままパタリと消えてしまうような危なっかしいものかもしれない。


「…それでも、いいかもしれないな」


それでも、いいのかもしれない。そこで終わっても。そこで消えても、こうして築いたすべてはきっと、残るだろう。


普段なら考えない、そんな自己評価の高いことを考えた。



「お~いハイロ~!ちょっと待ってくれ~!」

「あ、あの!すみません!」


後ろから、俺を呼ぶ声が聞こえた。

これから先。絶対に失わないように。俺は、今を心に刻みながら生きていく。


「わかったよ。ほら!早く来い!じゃねぇと置いてくからな!」


手をつなぎながら走って追い付いてくる彼らを見て、少し胸がキュッと苦しむ。


__もし、ヴァルさんが、生きてたら。


胸の中を握りしめた。

ふと。ヴァルさんは


“…大丈夫だ”


と。俺の胸の中で、そう光った。


「…大丈夫、ですかね」

「ハイロ?ぼ~ッとしてどうした?」

「考え事ですか?」


二人が、心配そうにのぞき込んでくるから。俺は二人と肩を組み


「別に!これから、楽しくなりそうだなって思ってさ!」


そう言って、自分の気持ちはさらけ出さなかった。


「…“これからに、幸あれ”」

「「え?」」

「…いや、神頼みしただけだ」


些細な魔法を、一つかけた。これから先に、幸せがあるように。



HP1の俺だけど。今度は何にも失いたくない!



“ストーリークエスト エピローグ~魔王神の歴史~ クリア”

“世界称号 「歴史は、生きている」獲得”



「…終わりましたね」

「ああ。じゃあまあ、呼びますか」

はい、という訳で、「HP1という縛りを設けられた俺、文字通りの「言論統制」で危なっかしく地位を取っていた」はひとまず完走!です!

でもね、この世界、ここで終わらすわけないんですよ。

という訳で、僕は絶対にこれの続編を書きます!

タイトルも決まってます!題して…


「HP1の縛りが解けた俺。今度は何も失わないように全力を尽くす!」


書きます。約束です。血濡れ忙しいけど、約束です。

また、その新シリーズですが、どしょっぱなにキャラ設定放り込むつもりです。

ハイロ、ヴァル、アリス、オーディン、アメラひとまず放り込んで、新キャラが出た時に、随時放り込む、みたいな感じで、やります。

次回作はシリーズ設定しますんで、多分大丈夫です。

改めて、短い話数でしたがありがとうございました!次はノンストップで行きますのでよろしくお願いします!

                                      時雨

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