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神の裁き

「はっはは!まあいい!虫がたった一匹増えただけだ!そのままくたばれ!」

「…お前は俺に勝てない。諦めろ」

「はっ!何を勝ちを確信してやがる!勝てないのはお前だ!ざまぁ…」


ジュンヤが叫びながら殴りかかってくる。


「え?ちょっと、ハイロさん!なんで!」


一歩、踏み出す。

迷いも、後悔も、必要以上の怒りも。今は、ない。


「ははは!気でも狂ったな!そのまま犬死…」


ただいまは、すべての罪に、懺悔を。


「“神判を下す”」


刹那。彼の体に杭を打たれる。殺すためではない。その杭は、ジュンヤの体を確実に拘束した。


「なっ!」

「…お前は、森羅万象法典5条8項。『世界の真理を覆すことを禁ずる』に背いた。従って、貴様には森羅万象を持って、制裁を下す」

「ちっ…なぁにが制裁だ!そんなもの、神でもない限りできねぇぞ!」


そういって、高らかに笑った。

自力で彼はそこから脱出し、まっすぐにこちらに向かってきた。


「ほらな。お前は俺に勝てな…」


「お前に…?なんだって?」


俺は彼の全力を。太刀で制止させた。


「!?。なぜだ…?」

「教えてほしいか?」


返事を待たず。俺ははじき返し、彼の懐に飛び込んだ。


「しまっ!」

「ふんっ!」


俺の全力が、彼の懐に炸裂した。

衝撃波は貫通して、あたりの木々を切り刻んだ。

纏った冷気は、あたりの空気を凍らした。

そして。纏った高熱が、彼の実体をバグらせた。


「ぐぅ!がぁ!」


寒暖差は強力な風を引き起こした。

その風が吹き飛ばした。勢いよく岩に叩きつけた。



「ぐうぅ…どうし、て…なぜ…」

「それは、俺が説明しよう」


俺の中にいたあいつが出てきた。


「お前は…?」

「やあ。どうも。“列強の守神 オーディン・ハイラルゼン”だ」

「か、神…?」

「ああ。いや~お前のおかげで何とかこうして。また表舞台に立てるようになったよ」


おい!何言ってんだ!


「だってそうだろ?こいつがいなきゃ、俺はここにいないんだからよ」


そりゃそうだけど…違うだろ!

そう突っ込みを入れると


「…ただな」


いきなり。彼は俺の体をありえないほどの迫力の覇気で纏った。


「俺の友達の。その仲間を殺した罪は、死をもって償ってもらう」


それだけ言って、彼は引っ込んでいった。


「へへっ…あいつがいないなら、俺にとどめはさせないな!!!」


普通なら絶望的な状況。だけど、そこで俺は一笑いした。


「!?。なに、笑ってる…?」

「いや、どうやらひどい勘違いをされてたらしくてな。俺はもう…」


目をまっすぐ見た。

何も、怖くない。失うものは、もう生まない。


だって、俺はもうすでに。



「“神”だからな」


彼に、そう伝えようと思ったが、すでに彼は地に飲み込まれていた。



「ハイロさん…」


地べたに座り込んだ彼女は、俺にそういった。

ふと、彼女を無視していじめたくなった。どうしてか、わからなかった。

ただ、なんとなくそんな気分だった。


「えちょっと!」


町の方向に足を踏み出す。横を通り過ぎると、さすがに彼女も異変に気付いたらしい。


「ん?どうした?早くいくぞ」

「あ…は、はい!」


彼女がそう言ったから。俺は思わず微笑んだ。

ようやくだ。そう思うほどに長かった気がする。

やっと、前を向いて。足を踏み出せる。



「…いい、話で…終わらせる訳ねぇだろうがよぉ!!!!!!!!」


しぶとく、彼は生き残ってきた。


「くっ、ハイロさん、私も…」

「大丈夫だ。俺だけでやる」

「でも!」


彼女が手を出そうとしたから。俺はそれを止めた。


「もう一回殺して…」



「は~い!ストップ~」

「全く…こんなはずじゃなかったのに…」


空から、いつか聞いた声が聞こえた。

俺の人生が、どういう訳かひっくり返ったその日。その張本人たちの声が空から降ってきた。

俺らはそれにつられ上を見上げてしまった。


「ああ!ラファエルとルシファー!」

「やあ。久しぶりだねぇ」

「ルシファー様。油売ってる場合じゃないですよ」

「っと。そうだったね」


俺らから視線を外し、彼らはジュンヤのほうを向いた。


「君。とんでもなく面倒くさいことをしてくれたね」

「全く。われわれの仕事を増やして…あげく、世界の構築さえも書き換えて…覚悟はよろしくて?」


そういう彼らの覇気は、さっきの比になんかならなかった。

これが…世界を創る程の神の力とでもいうのか…。


「あ…あ…」

「カンダジュンヤ。前世では酒におぼれ、ギャンブルに沼り、挙句借金を大量に残し家族から逃げ、最期は飲酒で事故死…そして、こうして人が作った世界を壊すとは…地獄で済むと思わないことですね」

「待って…!」


彼の都合のいい命乞いは、彼らには届かなかった。


「じゃあ、始めよっか」

「はい。罪犯し魂に、閻魔の審判を」


そうして。二人の神の裁きが始まった。

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