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創世神 カンダジュンヤ

「ハイロさん!大丈夫ですか!?」

「…離れ、ろ…もうす、ぐ…ジュンヤが…」


彼はそれだけ言うと糸が切れたように転がってしまった。


「ハイロさん⁉︎ちょっと!ハイロさん!」

「…ん」


肩を激しく揺らしたら、ハイロさんはゆっくりとその体を起こした。


「よかった…ハイロさ…」

「“動くな”」


瞬間。私の体は岩のようにピクリとも動かなくなった。

それがハイロさんの言論統制のものだとわかるまで、数秒の時を有した。


「…どう…して…」

「これが、あいつの体…ははっ!久しぶりの体温!久しぶりの五感!久しぶりに、生きてる…」


私の疑問は無視され、ハイロさん…いや、侵入者はその体を。久しぶりの肉体を堪能していた。


「これでやっと…俺の報われなかった人生が報われる!!!!!もう力は充分に溜め込んだ!」


は〜はっは!と高らかに笑う彼をみて、私は少なくとも今のハイロさんは違うことを察した。

そういえば、意識を失うその一瞬。ジュンヤが…と言っていた気がする。


「もしかして…」

「ん?ああ。そっか。わかんねぇよな」


彼はニヤッと笑うと、両腕を思いっきり開いた。


「僕はそう!この世界を壊し、新世界を創る者!『創世神・カンダジュンヤ』だ!」


その先の未来を見据えているといった顔をして、彼はそう宣言した。

その勢いはすごく、危うくその勢いに吹き飛ばされるところだった。


「その体を…返しなさい!」

「あ?うるさいなぁ…待っとけ。お前は最後にやってやっから」

「っ!待ちなさい!」


その声を無視して、彼は飛び立っていった。


「っ!追いかけなきゃ…!」


拘束が解かれた私は、一目散に城を出た。



「…」


ああ、またか。

私はまた、この地獄を見せられるのか。

彼は…宙で仁王立ちしていた。そして、空は紫になっていて。降るものすべてが、多くの命を終わらせていた。

それは、いつぞや見た地獄と、引けをとらない景色が広がっていた。


「ん?ああ。早かったね。もうちょい絶望してそのままだと思ったけど」

「……」


フルフルと、腕が震えていた。

なぜだろうか。あの日は、絶望ばかり湧いてきた感情は。今回は怒りに変わっていた。


「…さい」

「ええ?」


「“うるさい”!!!!!」


その一言には、どうしてかMPが宿った。


「!?」


言葉に宿ったMPは、圧となり、浮いている彼を叩き落した。


「…っく、お前ぇ…何を…!」

「今すぐ返しなさい!!!!!!!その体は…その体はもっと優しい!その体はもっと強い!その体はもっと…もっと!」

「…はっ!虚言も並べればそれらしく聞こえるもんだ。それで?君に俺をどうにかする手立てがあるのか?」

「……」


そんな算段は、全くない。

ただ、底知れぬ怒りが。私の背中を強く推した。


「そんなもの、ないけど…それでも!」


飛び掛かり、片手剣を振り上げた。


「戯言を!!」


振りかぶった腕を、空間を固め防いだ。


「なっ!」


空間を固めたその中に、手を埋めた。


「抜けね、ぇ…!」

「あんたなんかが…ハイロさんを乗っ取ってんじゃない!」

「く、そ…アマぁ…っ!舐めるな!」


だけれど。神は空間に勝てるとでもいうのか。強引に腕を引き抜き、思いっきり吹き飛ばされた。


「がはっ!」

「さあ…死にさらせぇ!」


もうだめだ。

結局。私は素敵な人も。素敵な世界も。何にも守れなかったのだ。

そう思うと。ふと涙があふれ出した。結局自分の不甲斐なさを晒しただけだった。


「…ごめんなさい」


ついつい。そんな言葉が漏れてしまった。

ああ。もうそろそろ終わりか。短い人生だったな。何もない人生だったな。


「…謝るなよ。こっちが悪いみたいじゃないか」


優しい声が、降ってきた。

いつの日か。いきなり現れたあの規格外の強さと優しさを持ったあの人の声が、降ってきた。


「もう、大丈夫。心配かけたな」

「…ハイロさん!」


彼が、帰ってきた。それだけで涙が溢れ出す。無駄じゃない。無駄になんかならない。そんな思いが、身体中を駆け巡った。


「く…そぉ。お前!どうして出てこれた!」

「…()()()()()()()()()()()ね」

「まあ、いい。もう俺にお前は必要ない!お前らもろとも死ねぇ!」


彼そう言って、わたしたちに飛びかかってきた。

ハイロさんは、まっすぐ見つめて。見慣れない双剣を取り出し、呟いた。



「…行くぞ、()()()()()

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