60と2分の1
「…ジュンヤ。これを運んでおいてくれ」
「ああ。わかった」
俺はジュンヤに二つの死体を任せた。
せっせと死体を運ぶジュンヤを見ながら、俺は王座を模した椅子に座った。
(…人は、愚かで。人は、自己中。やっぱり、信用に値しないな)
元々人であった俺だが、ここまで醜いものだとは知らなかった。
「…なあ、もうそろそろあっちからの冒険者も入れたら…」
「俺に指図をするな。全ての決定権は俺にある」
ジュンヤの提案をそっけなく一刀両断すると、彼は黙った。
「…うるさいな」
また1人、誰かがここへ入ってきた。
「…ニュイ?ニュイ⁉︎だめだ!ここにきたら…」
「…なるほど」
俺は急に騒いだ男の感覚共有を切った。
「⁉︎、な、何を…」
「悪いな。迎えだ」
男を捕まえ、人質にした。
「…おかしい…おかしい!どうして入れないのよ!」
何度も城に入ろうとするも、城の前に張ってあるダンジョン結界が拒否を起こす。しかも、結界の条件は
“挑戦条件 Lv,60と2分の1”
「2分の1って何よ!」
謎でしかないLv条件に頭を悩ませていた。
「2分の1ってことはレベルの半分?いやでもそれでもだめだったし…あ〜もう!ハイロさん…」
延々と試行錯誤を繰り返すも、結局答えには辿り着かなかった。
「…はあ。ひとまず帰って、対策練ろっかな」
私は結局、踵を返して家へと戻った。
部屋でくつろいでいた時、ドアからノックの音が聞こえた。
「?。は〜い」
「おねえちゃん!」
ドアを開けたその先には、セルカちゃんが立っていた。
「あら、どうしたの?」
「ん〜とね…あのね…」
モジモジとしながら顔を赤らめて
「あのね、ギャレンくんをさがしてほしくて…」
「ギャレン君を?いいけれど…どうして?」
「実は…」
セルカちゃんは、そういうとそう依頼してきた経緯を教えてくれた。
なんでも、あの日の数日前ほどからいつも公園で遊んでいたのだが、その日を境にパタリと来なくなったらしい。
最初は飽きてしまっただけかと思ったが、それにしては最近、姿を見なくなったから頼んできたらしい。
「あのね、おうちにもいなくって…それに、なんかおかしいの」
「おかしい?なにが?」
「あのね、ギャレンくんのおかあさんね、『そんなこしらない』っていうの」
「え?」
にわかには信じがたいことだったけど、すぐに確認しに行ったら確かに
「そんな子、私にはいませんよ…私の、子供は…もう…」
と、ギャレンくんの存在をすっぽりとなくしていた。
「…すみません」と居心地の悪さを覚えながらその場を離れた。
「じゃあ、私がギャレンくんのこと探すから、今日はもうおうちに帰ろっか」
「うん。わかった…」
その語尾には心配が強くこもっていた。
「…大丈夫。絶対見つけるから。ね?」
少し安心した顔をして、セルカちゃんは家に帰っていった。
「…暇だし、ちょっと調べてみるか」
明日に備え、その日は早くに眠った。




