幻影の挑戦 その2
「“潜影”!」
その屈強な体は地面に沈んだ。
「どこだ…?」
辺りを見渡すが、竜らしき姿は見当たらない。
「…!」
一瞬、地面が揺れた。
勘違いなんかじゃない。絶対的な感を信じ、思い切り足に力を込め、横に飛び込んだ。
直後。俺が立っていた場所からは真っ黒い嵐が二本、空に向かって伸びた。
埋まっていたであろう巨大な岩が2,3個吹っ飛んでいた。
「あっ…ぶねぇ…」
「初見で見切るとは…やはり、骨はあるようだな」
少し崩れたコートをもう一度整えた。
いつしか威圧感は感覚マヒを起こし、代わりにひりつく緊張感が体を動かしていた。
「…かつて、ここの地に挑んだものは数多といた。だが、次第にその数は減っていったんだ」
「…く、うっ!」
「次第に減った挑戦者は、二度と増えなかった。そうして、挑戦者がいなくなったタイミングで、力の衰えが現れ始めてしまったのだ」
「ちょっ、まっ…うおぉ…!」
防戦一方となってしまった俺に、昔話をしながらえげつない攻撃を繰り返してきた。
攻撃回数、重さ共に異常なほどで何かをしゃべる暇も与えられなかった。
「…だから、少しばかり、其方が来たことに、嬉しかったんだ」
「え」
あまりに急に言われて、動揺で固まってしまった俺の腹に爪が食い込んできた。
「あ」
「うごっ!」
幸い、力加減をしていたらしく岩にひびが入る程度で済んだ。
「ったく!急に変なこと言うな!」
「いや、これは油断したお前が悪いだろ…」
「もう!“動くな”!」
代償を込め力いっぱい叫ぶ。
「散々コケにして…もう怒ったぞ!“貫け地面”!」
俺の声と共に、下の地面が針状になり飛び出てきた。
その針は、急所を外し竜の体を貫いた。
「ぐふっ!」
「まだまだ!“重力反転”!“地面、俺についてこい”!」
竜は動けないまま空へ落ちて行った。それについていくように飛んで追いついた。
「さあ、落下する痛みを味わえ!“地面よ、広くなって固くなれ”!」
「まっ、それだけは」
言い終わる前に竜の体は地面に打ち付けられた。
「ぐふっ!」
「食らえ!全力の一撃ぃ!」
武器の機能をすべて開放し、地面に向かって叩きつけるように竜の腹に叩き込んだ。
勢いよく叩きつけた瞬間。俺にも働いていた上へ向かう推進力がピタッと止まり、そのまま地面へと真っ逆さまに落ちて行った。
「「……ぅゎぁぁあああああああああああ!」」
そうして、二人仲良く地面と衝突し、あえなく俺は気絶した。
ただ、この一撃が。この試練の勝敗を負けることとなった。




