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事後報告

先日の約束はちゃんと守られ、謹慎処分からわずか1日というありえない速さで謹慎が解けた俺は、早速ギルドに顔を出していた。


「おはようございます。ハイロさん宛に、クエストが届いてます。ご確認を」

「俺宛に?」


何か個人宛にクエストが来るようなことをしたかと疑問に思いながら手渡された詳細を見た。


“娘のことについて話したいことがある

クエストランク C

報酬 1000000G以上


前にムカデの討伐依頼を出した俺だ。話したいことがあるから来てくれないか?


クエストアイテム必須”


依頼主は俺が謹慎処分になる時のクエストを依頼したあの人だった。


「クエストアイテムはお持ちに…」

「…はい」


俺の壮絶な顔を見て何かを察したのか。ただただ確認をしただけでそれ以上の会話はなかったのかは定かではないが、彼女は黙ってしまった。

そんな彼女に俺は無理矢理笑顔を浮かべ


「それより、他のクエストも見せてくれますか?」

「ああ…はい。どうぞ…」


その中から、俺はある一つのクエストを探した。

きっと、それはこの服、この刀。俺を支える全てを作った人の捜索願いだ。


「あった…!」

“誰か爺を見つけ出してくれ


クエストランク A

報酬 爺のおすすめ装備 6000000G


また爺がどっか行きやがった。それも今度は「探さないでください」って書かれてたよ。多分そこら辺の冒険者に聞けばわからないやつもわかるだろ。腕は一級品だし、爺にバツとして何か装備品送らせるよ


おすすめ魔法 サーチ系統”


もう一度この人に会いたい。あって話と代金を渡したい。そう思った俺はこのクエストと先ほどのクエストを受けることにした。

数分後にクエストカードが発行され、それをスキルにしまい俺はギルドを出て行った。



「あ、いた…」

「おお、あなたは…」


二日前に見たあの人がそこには立っていた。


「それで、どうしたんですか?」

「…まずは、先日、娘のものを…()を取ってきてもらい、ありがとうございました」


彼はそう言って深々と頭を下げた。

その姿に、彼の悲しみと後悔が痛いくらい伝わった。


「…いえ、俺の方こそ。あんなもの持って帰って着てしまって申し訳ありません」


「いえいえ」と強がっている時にも。彼の顔は暗く、沈んでいた。


「…それで、話なんですけど」

「ああ、はい。なんの話なんでしょうか?」


そう聞くと彼はポッケから一つの指輪を取り出した。


「これは…?」

「先祖代々、受け継がれていた指輪です。妻も、娘もいなくなってしまった私には、もう託す先があなたにしかないんです。ですから、どうか、受け取ってくれないでしょうか…?」

「………」


さりげなくはめられた指輪を見て、少し考えた。

普段の俺なら「そんなの忍びない」と言って返すところだろう。

ただ、きっと彼は娘がいなくなってしまったことで行き場をなくしてしまった財力と遺産を俺にぶつけようということだろう。

もちろんそうでは無いかもしれないが、少なくとも今の俺にはそう見えた。

ならきっと、これを受け取らないのはさらに傷を深くしてしまう。そう思った俺はできるだけ笑顔を貼り付け


「では、ありがたくいただきます」


そう言ってもらうことにした。


「はい。ありがとうございます」

「では、俺はもう戻ります。わざわざありがとうございました」

「あ、すみません、もう一つありまして」


俺が帰ろうとしたその時。反射的とも取れるような声で呼び止められた。


「どうしました?」


何か不備でもあったんだろうか。そう思っていたら一つの本を渡してきた。


「これは…」

「実は、今年『幻影の後退』というものがある、という内容の書物を見つけまして。よければハイロさんにお渡ししようかと」


ぺらぺらと本をめくって見ると、中は「幻影の竜は力を失い、新たな幻影に託される。その時まで、幻影の竜はその力を託すべく挑戦者に牙を剥く」という内容だった。

幻影の竜…そういえば、この人のクエストに出かける時にも「幻影の加護があらんことを」と言っていた気がする。

もしかしたら、この幻影の竜こそが幻影教の教祖様、あるいは信仰している神様なのかもしれない。


「もしかしたら、ハイロさんなら幻影竜にも勝てるんじゃないかと思いまして…」

「ありがとうございます。大事に、頂戴いたします」


そういうと、目の前に


“サブクエスト 幻影の挑戦発生”


とウィンドウが出てきた。


「では、俺は戻ります。この本についても調べたいですし」

「はい。わざわざありがとうございました。これからも先、幻影の加護があらんことを…」


そう言って深々とお辞儀する彼から無理矢理視線を剥がした。


これ以上見ていたら。きっと同情でまた暴れ出すから。



ギルドの戻っている最中のこと。

なんとなしに歩いていると、後ろから突然「おい!」と幼い声が飛んできた。

慌ててる様子だったので俺はふっと振り返った。


「どうした?僕。お兄さんに何か用かな?」

「お前、この前姉ちゃんとご飯食べてただろ!姉ちゃんと一体どういう関係だ!」


まさか7歳ほどの子供からそんな言葉が飛び出たことに驚きつつ、最近のことを思い出してみる。

ご飯…姉ちゃん…女の人…あ!

俺はあることに気づき、パッと反射的に男の子の方を見た。


間違いない。この愛らしい顔立ちは…。


「君、もしかして、ヴァルさんの弟さん?」

「そうだ!俺はヴァル姉の弟のギャレン・セレスだ!」


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