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ストーリークエスト『許されざる行為』

「おお、あなたですか!我々を脅かす巨大百足を倒してくださったのは!」


そう言って俺の前に現れたのはよぼよぼのおじいさんだった。胸には「町長」と書かれた札を付けていた。


「あ〜、ちょっと質問していい?」

「はい!何なりと!」

「ここでの宗教について教えてほしくてさ。教えてくれる?」


そう言うと少し不思議そうな顔をして


「はあ…宗教上の何かしらの不便がありましたか?」

「いや。ただ教えてほしいだけなんだ」

「はい…基本的にはジャニズムと変わらない『幻影教』に入っていますが…ごくわずか、ここの地域では最近になって突如発足した『蛇教』に入っているものがいるんですよ。幻影教とは違って彼らは『百足神(ムカデかみ)』という神様をあがめる不思議な宗教なんですよ。さらに、その習わしが、かなり残酷でして…」


…なるほど。それがあの()()だってことか…。


「わかりました。すみません、かなりつらいことを言ってしまって」

「い、いえ。ただ、あそこに入ることは止した方がいい、とだけ言っておきます」

「はい。ありがとうございました」

「いえいえ。あなたに、幻影の加護があらんことを」


それだけ言って、彼はいってしまった。

あの習わしがどこのものか。どこで行われたのかがわかった。

…あとは、あの首謀者を見つけ出すだけだ。そう思いながら俺は太刀をスキルにしまった。


「絶対…許さない」



純白のビルの建物の前に、一つの表札を見つけた。


“蛇教 入会歓迎”

「…ここか」


少し立ち尽くしていると


「あなた、ここの新規入会したいのかい?」


一人のおばさんのような風貌の女性が話しかけてきた。


「いや、俺は」

「あ~あ~、話したいこともいっぱいあるだろうけど。とりあえず上がりなさいな」

「い、いやだから!」


俺の話をものともせず強引に建物の中に入れられた。



「はいどうぞ」

「あ、ありがとう、ございます」


少し気まずい雰囲気の中、おばさん…女性のマシンガントークがはじまった。

どこに住んでいるのか。いつからここにいるのか。そもそもどうやってここを知ったか。自分はここに何年居るのか。ここでの教えがどれだけいいものか。

話は尽きることなく関係のない話が2時間弱続いた。


「…本当、ここはすごく雰囲気良くてねぇ。みんなが仲いいのよ」


ただ、その声だけは聞き逃さなかった。


「…ほう?」

「いじめなんてご法度!そんなことしたりなんかした暁には…」

「勝手に生贄に出すことはいじめとは違うんですか?」

「…なんだって?」


その眼が。その顔が、一気に険しくなった。

だが、それに怖気つくほど俺は臆病でもなければ、意志は弱くない。


「その口ぶり…あんた何か知ってんだな」

「さあ。何にも…」

「“嘘偽りなく、すべてを話せ”」


何か妄言を話そうとしたそれに、俺はそうぶつけた。

ピタッと口が止まった直後、彼女は意思に背いて話し始めた。


「…あたい含めたこの宗教の10人。老若男女問わずで、一つの一家をいじめたのが始まりさ。ある日、どっかの森ででっかいムカデを見つけてきたやつがいてね。それを神にした偽りの宗教『蛇教』を立ち上げたんだよ」

「…それで?」


俺がそう聞くと、彼女は口を押えながら


「そんで、その一家に対するいじめがもっと激しくなった。ある日、せっかくだから宗教らしいことをしようってなって…それで」

「あのお父さんに無断で、娘を生贄と言って差し出したんだな」


おずおずと、観念したというようにコクリとうなずいた。


「名前は?お前のも含めて全員の」

「…」

「聞いてんだ。“名前は”?」

「…ジャシャ一家、カフェル一家、ゲルダ一家、そして、私のエリャ一家だよ」

「…“今言った一家、ここに来い”」


それは__エリャは本人たちがいない中でそう言った俺を不思議そうに見た。

しかし、その数分後。


「く…なんだ、体が…勝手に、動く…」

「パパ!どうなってんの!」

「ママどうしよう!?」

「大丈夫よ、ジャック」


四つの家庭がここに揃った。


「あんた、誰?それに、あんたも何でここに…」

「なあ、こりゃ一体どうなって…」


べらべらと…うるさい限りだ。


「“喋るな”俺の質問にだけ答えろ」

「…!……、……!?」


何か話そうとしても口が開かず、下も回らず、まるで何かの動物のようにそれらはン~ン~言っていた。

気持ち悪い…これが人の執念というか、なんと言うか。


「お前らか?“この足の持ち主を生贄に差し出したのは”」


そう言い、先程手に入れた片足をエリャの目の前に放った。


「…………!!!!!」

「は、い。そうで、す…うっ!」


口が開かないまま、その口に腹の中身を吐き出し始めた。


「で?これからどうされたい?“言ってみろ”」

「…ゆ、るして…うっ!」


やっと開いた口から声をひねり出して、また吐き出した。


「誰が吐いていいって言った?“飲め”」


顔を青ざめながら、その吐瀉物をもう一度、腹に収め始めた。

全員、その光景を眺めながら身体中をふるふると震えさせていた。


わかってる。これは拷問だ。それも、意味のない。


「許すって言っても…俺はどうしても許せないからな…」

「そ、そこを何とか…慈悲を…お慈悲を…」


本気で彼らは自分だけ助かろうとしてるらしい。そんなこと、俺が許すわけもないだろう


「このまま傭兵にでも突き出してもいいんだが…」


そう言った途端、そうしてくれと言わんばかりの顔を全員がしたから、俺は仕方なく


「みんな、それは嫌そうだし仕方ない。俺が裁いて終わりにしてやるよ」

「あ…あ…」


彼らの顔が落胆するのも構わず、俺は彼らに


「“地獄の苦しみを味わえ”」


そう言った。

その後、純白のビルの中は鮮血と気が狂ったそこの住人。その返り血を浴び顔をぬぐうハイロの姿が通報を受けた傭兵に見つかった。

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