デートは外だけじゃない
時は過ぎ、平日。
月曜日から金曜日と特に何か面白いことが起こるわけでも無ければ、大きな問題が起こるわけでもなかった。
良くも悪くも平凡。
そんな1週間である。
何か面倒事を起こされるよりはこうやって何も無くだらだらと日が過ぎていく方が俺的にもありがたいことに違いはない。
「今週のデートどこ行こっか?」
いつの間にかに俺の隣に居た麗は手を後ろに回して、あざとさ全開に顔を覗かせる。
漫画とかであれば語尾に音符マークでも付いているんじゃないかというぐらい声を弾ませている。
声の弾ませ具合だけでテンションの高さが計り知れてしまう。
「うーん、麗はどこに行きたい?」
残念なことに今、俺が行きたいところはそこまで多くはない。
あっても、焼肉とか焼肉とか焼肉とか……、麗と2人で行くよりも奏太や夏川を連れて行った方が色々と好都合な場所である。
無理矢理思案した場所へ行くぐらいであれば麗が行きたいと思っているところに行く方が有意義な時間を過ごせるのではないかと思ったのだ。
別に一々デートの場所を考えるのが面倒で麗に全部投げちゃおうとか思った訳では無い。
本当だよ?
「私?」
麗は軽く首を傾げて、唇に人差し指を当てる。
そしてしばらく迷ったような仕草を見せた後に優しく微笑む。
「家とかどうかな?」
優しい表情とは裏腹にとんでもない衝撃が俺の体を駆け巡る。
今、麗なんて言った?
家って言ったのか?
でも、俺の聞き間違いって可能性も大いにあるし……、俺の欲が大きすぎてそんなこと言ってないのにそう聞こえてしまった可能性もある。
昨日、麗でしちゃったこと謝るから俺の脳みそよ、正確な判断をしてくれ。
「俺の聞き間違いかもしれないからオウム返しするけどさ、今麗家って言った?」
「うん。言ったけど……その、嫌……だった?」
麗は恥ずかしそうに視線を逸らし、頬を紅潮させる。
そんな姿を見ているとギュッと抱きしめたくなる反面、女子の方からそんな誘いをさせてしまったことを軽く後悔してしまう。
こういうのは男からしたいものだ。
大体、思春期の異性が2人っきりで家に行くとかもうそりゃやることはただ1つだろう。
ボードゲームをやりますという訳でもないし、テレビゲームをやりますという訳でもない。
胸の鼓動が高まるのを自覚しつつ、落ち着かせようと深呼吸をしてから口を開く。
「何するんだ? 親に挨拶しろってこと?」
とりあえずガツガツ俺の頭の中にあることを口に出すのは良くないと思い、それらしい適当なことを口にしておく。
「違う……。明日は親どっちも出掛けてるから居ない」
「そ、そっか。それじゃあ?」
「一颯は全部言わないと分からないかしら?」
「そういうことなのか?」
「そうよ……。もう1ヶ月経ったわけだし、2ヶ月も過ぎそうなのよ。そろそろ私はそういうことをしても良いのかなって思うの普通じゃないかしら?」
「麗が良いなら俺は大歓迎なんだけど」
「それじゃあ決定ね。本当に私処女なのよ。これでも」
「やめろやめろ。なんで単語今まで出してなかったのにここでぶちまけるんだよ。聞かれたら面倒だから」
「焦ってる一颯可愛じゃない」
麗は俺の事をからかいながら頬を指で突っついてきたのだった。
土曜日を迎える。
昨日の夜はかなりムンムンしたが何もしなかった。
やはり、出すもの出して明日出せないってのは避けたいからね。
まぁ、男のプライドだよ。
これが童貞故の思考なのかそれとも男なら誰もが思うようなことなのかすらよく分かっていない。
いや、男なら誰でもそう思うものだよね、きっと。
待ち合わせは国辰駅。
麗が迎えに来てくれるらしい。
詳しい住所などは聞いたことすらなかったのでどの辺に家があるのかすら見当もつかない。
住所を教えてくれれば向かったが、迎えに来てくれるのならそれに甘えた方が迷子になる心配もなくて良いだろう。
コンビニに寄ってゴムを購入しておく。
少し値段としては高価であるが、これで安心と気持ち良さ、そして麗からの愛情を買えると思えば案外高くないのかもしれない。
そんなことを自分に暗示しながらなけなしの小銭を店員へと渡す。
これ男性じゃなくて女性の店員さんだったらマジで恥ずかしいんだろうな。
男性で良かったと思いながら、強面な店員さんからお釣りを受け取る。
ゴムを裸で持ち歩くほどデリカシーのない人間では無いので、ポケットの中にサッと隠しておく。
そして駅前へ出向き、麗を待つ。
数分も待っていると遠くから小さく手を振る麗の姿が目に入った。
手を振ろうとしたが恥ずかしさが勝ってしまい、軽く手を挙げるだけに留める。
「おはよ」
「お、おう」
ただ会話しているだけなのにキョドってしまう。
「先に謝らせて」
「謝る? 何を?」
麗の言葉に首を傾げる。
「親に『彼氏家に連れてくる』って言ったら出掛けるのやめちゃったのよ。なんか『彼氏の顔を見る』とか言って……」
「そうか。それじゃあ仕方ない……って、ことは麗の両親に挨拶しなきゃいけないってこと?」
「う、うん。本当にごめん。こんなつもりじゃなかったんだけれど……」
麗は本当に申し訳なさそうな表情を浮かべているので嵌めたとかそういう訳じゃなさそうだ。
だとしても、なんの覚悟もせずに挨拶は流石に精神的に厳しいものがある。
でも、状況的に逃げるのは不可能に近いだろう。
このまま麗と付き合っていくのであれば早かれ遅かれこうやって相手の両親に顔を合わせるタイミングは来たはずだ。
と、考えればそのタイミングが今だったと捉えれば仕方ないかと諦められる。
「お菓子とか買ってかなきゃだなぁ」
「あ、そういうの大丈夫よ。ウチの親が全体的に悪いわけだし」
「そうは言ってもさぁ」
「あー、うーん。そうね……それならコンビニに売ってる安い箱のお菓子で良いわよ」
「うーん」
果たしてそれで良いのだろうかという気持ちに苛まれるが、今から大層なものは買えないし、それぐらいで妥協するしかない。
コンビニに寄り、レジ上にある安い箱のお菓子を購入し、紙袋に入れてもらって麗の家へと向かう。
東京方面のホームへ向かおうとすると麗は俺の裾をギュッと引っ張った。
「ん? なんか買い忘れたものでもあるか?」
「違う。私の家こっち側よ」
麗は東京方面とは逆のホームを指さす。
いつも解散する時、麗は東京方面の電車に乗っていたが家は真逆……?
意味わからん。
ご無沙汰しております。
たった今(7/11 2:23)、書き終えましたのでストックを順次予約設定しておきたいと思います。
どのようなペースで投稿しようかと考えたのですが、1日に何本も出すと読む側も結構負担大きいかなと思いますので、ここから19時に毎日投稿されるよう設定しておこうと思います。
よろしくお願いします。
Ps:感想の方は見れております。ただ、返信しようとすると沼にハマるので基本的にしておりません(辻褄合ってないとか指摘系は返したりしております)。
「コイツ感想返信しない系の作者だからな。返信無くても仕方ないな」と緩い気持ちで待っていただけると有難いです。
丸一日暇な時とかに返信するかもしれませんので……。
定型文でも作るべきなんですかねぇ……。




