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似合う服

 「……。どうかしら? その……、似合ってるかな?」


 麗は少し頬を紅潮させながら、耳に髪の毛をかけつつ訊ねる。

 ピチピチだと色々とえっちなことになるなと思い、少し大きめだろうなというサイズを選んでみたのだが、大きめなサイズだとそれはそれでブカブカでえっちさが滲み出てしまっている。

 色気という単語だけでは括りきれない色々な要素が集まり、「えっち」という単語を形成している。


 「お、おう。似合ってる」


 流石に「うおおおおお。すげぇーえっちだー!」と叫んだりすることは出来ないので淡白に褒めておく。

 もう全てが吹っ切れてしまっている奏太であればえっちだのなんだのって叫ぶのだろうなと思うと悔しくて仕方ない。

 俺にもプライドを捨てる力があれば……。


 「先輩たちイチャイチャタイムは終わりで良いですか?」

 「もぐもぐタイムみたいにイチャイチャタイムって言うなよ」

 「軽率にイチャイチャし始める先輩が悪いんですよ? 除け者にされる私たちの気持ちにもなってくださいね?」

 「そうだぞ。夏川ちゃんと俺、割と困るんだからな」


 奏太はマジで困ったような表情を浮かべているので、話を盛っていたとしても嘘では無いのだろう。

 まぁ、確かに友達カップルが当然イチャつき始めたら、触れて良いのか放置するのが良いのか、ここに居て良いのか、空気読んで離れた方が良いのか……と色々考えることは多い。

 少し自重しておいた方が良さそうだ。


 「すまんすまん」

 「それよりもファストパスの時間がそろそろだと思うんですよね。ですから、向かいませんか?」

 「あー、マジ?」


 まだ時間にはなっていないが確かに今からあそこへ向かえばちょうどピッタリな気がする。

 雨の降り始めに比べてみれば雨もだいぶ治まってきており、相手の会話を聞こうと意識しなくともしっかりと耳元まで届くくらいには落ち着いている。


 「マジです。マジ。とりあえず向かっておきましょうか。こんな所で雨宿りしっぱなしってのもつまらないですし」

 「あぁ。そうだな。でも、傘は? 俺達傘持ってないけど」

 「あー、私達も2本しか傘買えなかったんですよね」


 ビニールにキャラクターのデザインが描かれている少し特殊なビニール傘である。


 「じゃあ、俺と麗、夏川と奏太で相合傘ってのはどうだ?」

 「先輩!?」


 夏川は思ってもいなかったのか声をうわずらせる。


 「なんだよ」

 「ビックリ……じゃなくて、先輩それって福城先輩と相合傘したいだけですよね?」


 あ、バレちゃいました?

 本当に最近の若い子は感が鋭くて嫌になっちゃうよね。

 俺がそっち側だったらその意図に気付かない自信あるよ、全く……。


 「あら、私も賛成よ」

 「じゃなくて、福城先輩も相合傘したいだけですよね。もう、そこまで心の声出すならクール振るのやめたらどうですか? 私も阿佐谷先輩も福城先輩の素所々見てますよ」


 忙しなく、夏川はツッコミを入れまくる。

 この子ったら大変だね。

 ちなみに後者に関しては大きく頷くくらい同意だ。

 もう、コイツらにはバレているんだしわざわざ隠す意味が理解出来ない。

 まぁ、言わないけどね。

 俺だけに見せるってのはそれはそれで色々とそそられるしさ。


 「夏川ちゃんは俺と入るの嫌? せっかくだからこの2人イチャイチャさせておきたいんだよね。じゃないと、並んでる間とかにイチャイチャされそうじゃん?」

 「私は嫌じゃないですよ……。というか、むしろ良いんですかって感じですけど」


 夏川は照れくさそうに指をちょこちょこ動かす。

 分かりやすいよな。


 「まぁ、ダラダラしてるのも時間の無駄だしささっさと向かおうぜ。じゃあ、この傘はこっちで使わせてもらうな」


 さっき麗の服を買いに行った的に借りた傘をそのまままた拝借する。

 そして、俺たちはそれぞれ相合傘をしながらビックリフライデーリバーへと向かったのだった。

 歩いている途中にすっかり雨が止み、晴れてしまい相合傘のペアをあれこれ決めた意味がなくなってしまったのはまた別の話。




 ビックリフライデーリバーに乗った。

 川がコンセプトのジェットコースターで、これでもかと言うぐらい水が使用されている。

 多分、流れるプール並みの使用量なんじゃないだろうか。


 雑感だが、ジェットコースターが苦手な人でも乗ることの出来るジェットコースターという感じである。

 俺自身ジェットコースターは得意な方なので、実際にどうなのかは分からない。


 乗る前は強ばっていた麗も、乗り終えたらスッキリとしたような表情を浮かべていた。

 この一個前に乗ったアトラクションにしろ、今回のビックリフライデーリバーにしろ麗は乗る前に手を震わせていたり、顔を強ばらせたりしていた。

 もしかしたらこの子純粋にジェットコースター苦手なんじゃないだろうか。

 まさか、麗に限ってジェットコースターが苦手なんてことは無いだろうという気持ちと、クールぶっているだけで素の姿は甘えたがりだ、苦手でもおかしくないだろうという気持ちがせめぎ合う。

 ぶっちゃけジェットコースターが苦手ならそれはそれで色々と捗る。

 具体的に何がってのは聞かないで欲しい。


 「麗ってジェットコースター苦手なのか?」

 「苦手だったら何よ。悪い?」


 麗はムッと頬を膨らませる。

 どうやらやはり苦手らしい。


 「悪くない。悪くない。結構乙女チックだなぁって」

 「ねぇ。それ喧嘩売ってるでしょ?」

 「あー、分かりますー! 福城先輩って結構乙女チックですよねー。先輩に向ける視線とか正にそうじゃないですかー。少女漫画を見る女の子のような視線って言うんですかねー? 先輩のことを見ている時だけキラキラしてるんですよね。阿佐谷先輩分かりますよね?」

 「うん。福城さんってそんな表情するんだなって何回も思わされた」


 麗が一方的に反論しようとしたタイミングで夏川や奏太に追い打ちをかけられ、萎れてしまう。


 「……」


 好き放題言われている麗は俯く。

 まぁ、恥ずかしいんだろう。

 無理もない。



 明るかった空が暗くなるまであれこれアトラクションに乗り続けた。

 アトラクションに乗っている時間よりも待ち時間の方が長かったが、それもまたこの遊園地での醍醐味ではなかろうか。

 最後の〆はパレードらしい。


 「パレードか。面白いのか?」

 「先輩舐めてません? あのパレードマジで何百万かけてるんだろうってレベルですからね……、あと雰囲気も和みますし最高ですよ。ということで、先輩。ちょーっとこっち来てください。福城先輩、先輩のこと借りますからねー」

 「え、ん? あ、うん」


 突然のことに動揺しながら麗は頷く。

 引き止めて欲しかったなぁ。

 絶対ろくな事起こらないじゃん。

サボってました。すみません()

嘘です、課題に追われてました。

落ち着いたのでボチボチ投下していきます。

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