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天災 愛別離苦  作者: 蒼蕣
20/24

不便を便利に

時間の流れがこんなにも早く感じたことはなかった。

被災者であることを改めて実感、呆然としているといつの間に昼の十二時を過ぎていた。

「はい。十二時を回りましたので第二班、小中学生をお連れの方は準備してください。予定では午後一時に出発ですので」

慌ただしくなってきたのを尻目に湊と芽衣は淳に呼ばれて昨日と同じく淳とその両親がいる教室に来た。

「あら、湊くんに芽衣ちゃんも。ささ、お昼にしましょ」

「でもガスが止まってるんじゃ…」

芽衣が尋ねた。

「何言ってるのよ。キャンプするときはいつもカセットのガスボンベをいくつも持ち歩くものなのよ。水もまだまだ余ってるから大丈夫よ。まあ材料には限りがあるからなんでも作るってわけには行かないけど」

そう言って出してくれたのはインスタントの麺といくつかの焼きおにぎりだった。

「昨日も思ったんですが、このご飯は…」

「なに、パックご飯を湯煎しただけよ。そのお湯をカップラーメンにも使ったの。ちょっと栄養が偏っちゃうけど、こういうときだから仕方ないわよね」

「いえ、こんな状況でもこれだけ作れるなんてすごいと思います」

「なんか、私もキャンプやりたくなって来ちゃったな」

「あら、そう? じゃあ全てが終わったら一緒に行きましょう。ねえ、お父さん」

「ん? ああ、もちろん」

気難しそうなお父さんも芽衣の意見に賛同した。

こんな状況であるにも関わらず、湊と芽衣、淳やその両親にはなぜか笑顔を見えた。

それはみんなといると気持ちが和らぐからなのか。はたまた自分たちはまだ本当の災害を知らなかったのか。

それはまだ誰にも分からなかった…


「あ…」

芽衣がふと窓の外を見た。

それにつられて湊と淳も窓の方を向いた。

「雨が降って来たな」

「こりゃあ今避難している第一班は大変だろうな」

「ああ、建物が崩れてたり窓ガラスが地面に落ちている上に地面がぬかるめば、子供やお年寄りじゃなくても大変だからな」

湊、芽衣と淳は淳の持っていたトランプでババ抜きをしていた。

「雨が降っているせいで随分と暗くなったな」

「ああ、カードが見えねえよ」

「ロウソクつけるか」

湊は近くに転がっていた新品のろうそくを手に取った。

「え〜とライター、ライターと」

急な暗さでライターを見失った湊は手探りで床を触り始めた。

「はい」

するとかすかに見える芽衣が湊にライターを手渡した。

「よく見えるな」

「えへへ、私よく暗い中でテレビとか見るから暗さに目が慣れてるんじゃないかな」

「それにしてもやっぱ電気がないと色々不便だって改めて感じるよな」

「ああ。電気を開発した人に感謝だな」

「誰だっけ?」

「多分エジソンじゃない? ね?」

芽衣は港の方を見た。

「さあ、エジソンが白熱電球を作ったのは知ってるけど電気を開発したのは知らない」

「まあ、あの有名な偉い人、エジソンに感謝だ。あんがとさん」

淳は両手を重ねて祈った。

「こう言うときだからこそ俺たちの生活を支えるもののありがたみを感じるな」

「でもよ、ロウソクってなんか電球よりあったかみを感じないか。スイッチをただいれるんじゃなくて頑張ってライターを使ってさ」

「電球をつけるより苦労したから思い入れがあるみたいな?」

「そうそう」

芽衣の言葉に淳は頭を縦に何回も降った。

「でもそのライターも人工物だぞ」

「まあ今の俺たちに取っちゃライターももうあんまり使わないからちょうど良かったんじゃねえの? やっぱロウソクって風流だねぇ」

「どこがだ。古めかしいとかならわかるが、風流ではないだろ」

二人で話していると少し忙しなく芽衣が自分の手札を突きつけた。

「ねえ、そんなことより早く続きやろ。はい、次湊の番」

「あ、ああ」

そうして湊は芽衣のところから一向に動かなかったババに手をかけた。

みなさん、あけましておめでとうございます。新年どうお過ごしですか。流石に年明け早々にわたしの投稿を見たりはしませんよね。きっと家族で団欒、正月の特番でも見ながらゆっくりと過ごしていることでしょう。こちらはテレビもないし、家族もいない。あるとすればみかんぐらいでしょうか。こちらではクリスマスさえ終わってしまえば、そのあとは特に何もないので静かです。ではこれまでと相、変わらず投稿を続けていきますので、みなさん今年もよろしくお願いします。

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