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天災 愛別離苦  作者: 蒼蕣
19/24

水道、ガス、電気

結局その後湊は一睡もせず太陽が上がるのを待った。

六時過ぎようやく日が登り、窓の外の景色を眺めることができた。

いつもと変わらない風景に思えたが、所々で倒木や家の窓ガラスが道路に散乱しているのが見えた。

「水はまだきてなさそうだな。でもそろそろ避難しないとな」

湊は抱き寄せていた芽衣を離し、昨日のように教室の扉の前で充電していたスマホを取りに行こうとしたが、芽衣が湊の着ていたシャツを強く握りしめて離さなかった。

「芽衣、起きてたのか」

「…」

芽衣は何も答えなかった。

湊は芽衣を落ち着かせようと近くに転がっていたペットボトルの水を飲ませ、その間に自分はスマホを取りに行った。

「茨城県南部で震度5強か。千葉県では震度5弱。津波の被害は出てないと」

今朝の地震はトップニュースとなっていた。

「おい、湊! 無事か!」

淳が教室の戸を勢いよく開けた。

「ああ、無事だ。そっちは?」

湊が冷静に返答した。

「大丈夫だ。それより大変だ水道とガス、それに電気も止まっちまった」

「何?」

「だから急いで違う場所に避難する必要があるって」

「新しい避難場所はもう用意されてんのか」

「いや、もともとある避難場所に分散して入るらしい」

「そうか。じゃあ急いで準備しよう」

「あ、でも俺たち一番最後だから」

「どういうことだ?」

「教頭先生が言うには全員でも一斉避難はもしもの時にすごく危険だから、三つに分けて少しずつ避難させていくらしい。幸いまだ水は来てないし、ガスや水道が止められたって二、三日は生きてられるからって。最初は介護が必要な年寄りや子供連れの家族に限るって。で次に中学校や小学校を連れた家族、そして最後が子供がいないか子供が高校生以上の家族だってさ」

「ってことはお前も最後の班か」

「ああ。いつ避難するとかはまだ決まってないらしいからいつでも避難できるよう準備しとけだって」

「分かった。俺たちも他の人たちと合流する。そのほうがお前もわざわざ伝えに来なくていいだろう」

「じゃあそういうことだから」

「ああ」

淳は行きと同じく走って去っていった。淳が去った後、湊は自分の周りを見渡した。

机や椅子があちらこちらに散らばり、壁にかけてあった楽譜や有名な作曲家の肖像画が地面に落ちており、大きくて重そうなグランドピアノや重そうな引き出しもわずかにずれた後があり、昨日の地震の規模がうかがえた。

「とにかく、みんなと合流しよう。おい、芽衣起きれるか」

「うん」

芽衣はゆっくりと湊から離れて、身の回りのものを片付け始めた。



「え〜まず避難していただくのはお年寄りや小さなお子さんをお連れの方です。どの班に入るかは自由ですが、優先順位を考えて行動してください。最初はお年寄りや小学生以下の小さなお子さんをお連れの方を対象としています。どうぞ、うちの職員が先導しますので。予定では、午後二時ごろの到着を予定しています。長い距離を歩くことになるかもしれません。足腰に不安のある方は遠慮なくおっしゃってください、車椅子をご用意いたしました」

いつもきっちり身なりを整えている教頭先生もこの日ばかりは疲れが顔に張り付いており、来ているワイシャツも薄汚れてしまっていた。

「次の班はおよそ三時間後の午後一時を予定していおります。それまでごゆっくりなさってて構いません」

「すごいな今朝地震が起きたばっかなのにもう避難の行程を立てたなんて」

「寝てないらしいぜ」

「ここに避難した人たちの命がかかってるからな」

周りの人々が教頭先生に関心を持った。

「最後の班は午後四時出発を予定していますが、場合によっては明日の朝となることも考えられます。え〜それでは質問のある方は遠慮なく学校の職員にもうしてください。何もなければ第一班は出発させます」

午前十時過ぎ、第一班、総勢二十人あまりが学校を出た。

みなさん、ご無沙汰しております。2021年ももう直ぐ終わりですね。ようやく私の方でも学校の一学期目が終わり、ほんの数週間ですが、羽を伸ばせる時がやってきました。年末や元旦、特に予定もないので引き続き自己満足(物書き)に更けようと思います。とは言ってもってもほんの二週間しかないので、新しい作品を書くことはしませんが、エッセイの方をストックしておきたいと思います。ではみなさん良いお年を。

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