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《97..第二聖騎士団副団長》

「はい、間違いなく。ギルド依頼任務完了、確認しました。」


センターギルドにて討伐素材と共に依頼任務完了手続きを行い、受付嬢のミクさんから完了通知を受け取る。


今回の討伐依頼を受けてわかった事だが、俺達のパーティのバランスが()()()()事がわかった。

というのも、前衛の剣士、つまり俺とオカメが斬り込み、魔導士のラピが広範囲を高火力でフォロー。そして、後衛のもっちゃんが治療回復、補助魔法を展開してサポートする。


更に盾役(タンク)のヨウに神聖魔法使いのモスケが加わって守備力を高めればより一層完成度が高くなる。


あわよくば、斥候及び弓使い(アーチャー)が居れば言う事は無いが。


そんなパーティ情勢もあり、なんとギルド依頼任務のノルマの3倍の結果を叩き出したのである。


そんな中、おずおずとラピが緊張の面持ちで頭を下げ、口を開く。


「えっと……今日はどうもありがとうございましたっ!わ、私、少しはお役にたてたですかねっ!?」


実に謙虚な少女である。

いや、びっくりするくらいの大戦力だったのですけど……?

むしろ、余りにも凄すぎて俺の存在が立ち消えそうなんですけど。泣きそう。


実際、彼女の魔法の力は一騎当千、無双状態だった。


繰り出す炎魔法は全てを焼き払い、氷魔法は全ての時間を締結させ、風魔法は全てを吹き飛ばし、大地魔法は全てを地割れに陥れた。

それだけでは無い。

天体魔法が引き起こす隕石は周囲を焦土と化し、時空魔法は時間を巻き戻す。

更には山をも消し去る、あの核撃魔法さえも使えるのだとか。


だが、強力すぎるが故にデメリットも判明する。

まず、天体魔法は空からの攻撃になるので、建物の中や洞窟(ダンジョン)迷宮(ラビリンス)内では使用出来ない。


また、万能に見える時空魔法だが、巻き戻せる時間はせいぜい10分程度。何より致命的なのが、術者本人は対象外になる事。つまり、術者の時間は巻き戻せないらしい。


そして、切り札的な究極魔法である核撃魔法は、山をも吹き飛ばしてしまう……即ち、使用場所とタイミングが限りなく制限されてしまうのだ。


とはいえ、得意とする『炎』以外の属性魔法(光、神聖除く)を全て使用出来る時点で、充分チート仕様である事には変わりないわけだが……。



「ラピ、ほんま凄いで♪さすがアタシの……ほぶっ!!」


慌ててもっちゃんが自爆しかけたオカメの口を塞ぐ。


(オカメ様!!? 貴女様、自ら誤爆してどうするのです!!?)

ゴニョゴニョ


(ほひっ、あっぶなかったぁ~!もっちゃん、ありがとなぁ!)

ゴニョゴニョ


そう、ラピはオカメが実の姉である事を知らない。オカメはその事実を隠すつもりは無いが、自ら進んで名乗る事を自重しているのだ。

義理の兄、チコの顔をたてたい想いがあるからだ。


「えっと……御姉ちゃん……?」


「「はぁぁ~~い♪」」


オカメともっちゃんが揃って応えるあたり、御姉ちゃんと呼ばれるのは、まんざらでもないようだ。つか、なんでもっちゃんも反応してんだ?



手続きを終えてギルドの応接ソファで一息ついていると、ギルドの入口の扉が開いて、見慣れた二人が入ってくる。


「おっ、兄貴!兄貴じゃないすか!」


「ん?モスケ?それに、ヨウ!良い盾は見つかったの?」


ヨウの壊れた盾を新調する為に街に出ていた二人が俺達に気付くと、足早に駆け寄り、隣のソファに腰掛ける。


「ええ、もうバッチリっすよ。むしろ、パワーアップしてるっす!早く御披露目したいとこっすなぁ。あ、俺の装備もパワーアップしてるんで、期待しててほしいっす!」


常設されたウォーターサーバーからコップに水を注ぎ、イッキに飲み干すと、モスケか更に話を続ける。


「俺、今まで後衛で防御と回復と補助がメインだったので、俺達が優勢な状態にあると、俺の攻撃手段と言えば神聖魔法しか無くて。だから、ゴーレム種の様な耐魔法的な相手になると俺、ただの傍観者になってしまいます。」


確かに。手にするメイスで叩いたところで焼け石に水かもしれない。


「そこで俺は考えたんすよ。非力な俺でも確実に物理攻撃を繰り出しつつ後方支援出来る方法を。その答えが………」


――――――バァァァァァン!!!!!


その時、ギルドの扉が勢いよく開けられる。


それに続き、ガシャガシャと鎧が擦れる騒がしい足音がギルドに入ってくる。

数人の聖騎士の姿がそこにあった。


「………何だ!?」


ギルド内が一瞬で静まり返る。


その様子を他所に、先頭で入ってきた男が兜を徐に剥ぎ取る。

その顔は波打つ髪を丁寧に纏めた白髪黒目の、女性10人が見たら10人が振り返るほどの優男であった。


彼らはその場で一斉に片膝を突き、胸に手を当て、慌てた様子で口を開く。


「突然の訪問、失礼する!私は王国第二聖騎士団副団長、リノ・ノウンと申す!ギルドマスター、コテツ殿にお目通し願いたい、居られるだろうか!?」


「えっと……あ、あのぅ、少々御待ちください」


受付嬢のミクが慌てて奥に引くと、少しして戻ってくる。


その後ろからギルドマスター、コテツが姿を見せる。

コテツはリノ副団長の顔を見ると、一瞬眉を潜めたが、直ぐにいつもの飄々とした表情に戻る。


「ん~~?おや、珍しいな、リノ副団長。君がギルドに来るとはね☆

俺っちに用があるんだって?話を聞こうか、ここじゃ何だから、奥に来たまへ。」


「感謝致す、では、失礼!」


ギルドの執務室に移動していくマスターと聖騎士達。


いったい何があったんだろうか?





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