《82..パーティ名》
「「「三人……!!!?」」」
その場にいる全員が声を上げる。
一斉にギルド内の職員や冒険者達が此方を見る。
「おぃおぃ、ちょっと声のトーンを抑えてくれないか?恥ずかしいじゃないか……」
「あ、あぁ、すまない。……で、三人……という事は、まさか……?」
俺は、ふふっ、と軽く笑う。
「……どうだコアラ?向こうの反応は……?」
《………ふむ。………最早、学童として学ぶ事は殆ど無いようだから、構わんよ……だそうだ。ただ、在学中は学童を主流とし、必要に応じて要請あれば同行を許可する……だそうだぞ。》
「………良し!」
俺がコアラに念話で会話させた相手は、勿論、朱雀ことチラ学園長だ。
どうやら、話はうまく纏まったらしい。
「ふふふ。『勇者』ラピも俺達の仮メンバーとして抑えたぞ!」
そう、オカメにはまだ話を伝えていないが、俺は『勇者』ラピもパーティに組み込む事に成功した。オカメにはサプライズとして黙っていよう。驚く顔が楽しみだ。
あ、そうだ、忘れずにチコ団長にも許可貰わなきゃな。
まぁ勿論、彼女はまだ学生であり、冒険者でさえないから、あくまでも仮ではあるが。それでもこれで三人の『勇者』が揃った。
ここまでくると、もう1種のコレクターだよな……!
むしろア○ンジャーズかよ!!
「何か、とんでもないパーティが出来たわね……。で、あとやる事は2つね。」
「ん?やる事?」
『戦姫艶団』の軽装騎士ツクネの話に首を傾げる。
「そ。まず1つ目は、貴方達のパーティの『名前』ね。
そして2つ目は、貴方達のパーティの『拠点』。
これはパーティで活動していく為には必ず必要となるわよ?
私達も勿論、パーティ拠点は持ってるし、パーティでのコミュニケーションを深めたり会議を行ったりするには最適……なのよね。」
成る程。
今、俺やオカメは『居酒屋食堂まつぼっくり』にて宿を間借りさせて貰っている。家賃を支払っているとはいえ、確かにいつまでもオマツさんに甘えているのもどうか……とは思っていた。
「ん?なになに?拠点探すのん?」
飽きたのか、オカメとモッチャンが戻ってきた。
「物件探しなら、あそこの『商業ギルド』で紹介して貰えるのねっ♪」
神聖導師シロミツがセンターギルドの左側にある受付カウンターを指差す。
このセンターギルドには、入口から入ってロビー正面が『冒険者ギルド』右側が『生産ギルド』そして左側が『商業ギルド』となっており、3つのギルドが併設する巨大ギルドなのだ。
最初に倒したウロボロスの討伐報酬に加え、ヒュドラ討伐任務で更に大金が入った。そろそろ自分達の家を買えるかもしれない。
そう考えると、心が弾む。
異世界とはいえ、この私が家を持てるのだから。
俺は仲間達の顔をぐるっと見回す。
期待に満ちた無邪気な笑顔がそこにはあった。
窓からは夕暮れ時の夕日の光が光の筋となって差し込み、その笑顔を優しく、温かく照らした。
「……よし、俺達のパーティ名が閃いたぞ!」
「「「おぉ……!!」」」
その場の全員の目が俺に集中する。
《コアラと愉快な下僕達……だな!》
とりあえず拳骨を命中させておく。
「俺達のパーティ名は―――――――『夕凪戯団』だ!!!」