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《22..Fランク冒険者ハリー誕生》

この人が…ギルドマスター?

一番偉い……一番大きなギルドのマスターなんだよね??


どう見てもそんな偉い人には見えないんですけど!?


「マスター、久しぶりやなぁ。そや、アタシに極秘で依頼くれとた例のやつ、調査終わったから、これから報告してもえぇかなぁ?」


「おぉ、そぅか!!成る程、表の『ウロボロス』はオカメちゃんかぁ。よっし、聞こうか☆」


「わかた!!……ほなハリー、ちょっと執務室行ってくるわ!!」


そう言うと、ふわりとスカートを靡かせてギルドマスターと執務室へ向かった。


残された俺は、講習がはじまるまで、ロビーで手元にある資料に目を通し、時間を潰すことにした。





「さて、そろそろ時間だな。」


《思った以上に退屈だな。喋る事も動く事も出来ないし》


「仕方ないだろう、こんなに人がいるんだから。さ、講義室へ行くよ。終わるまでまた暫く眠ってていいからさ。」


《寝過ぎて眠れん…》


……こんにゃろう。


俺はコアラを軽く…いや、少し強めに小突くと、講義室に入り、長机の端にコアラを置いて大剣を机脇に立て掛けた。


講義室には俺以外にも数人が座って待機していた。


「貴方も新人希望者なのね、宜しく!」


「……ちっ、Aランカーと仲良いからって調子乗るなよ…」


隣の少女がニコニコと微笑みながら話し掛けてくれた。

しかしそのまた隣の少年はボソッと毒を吐く。おぉ…なんか嫌われてるなぁ…。


「こらっ、モスケ!!そんな事言わないの!!皆、私達の同期になるんだから、仲良くしなきゃダメよ!!」


「……ふん、ヨウは甘いな!!馴れ合いじゃ強くなれねぇよ。」


少女はヨウ、少年はモスケというんだな。二人は幼なじみか何かかな、自然な感じで仲良さそうだ。


「ははっ、俺はハリーって言うんだ。同期同士、仲良くしような!!」


「うん!!私はヨウ・モフィコというの、宜しくね!!……で、こっちはモスケ・ユーミ。私達は東の街から冒険者になる為に上京してきたの、宜しくね!!」


「………ふん。俺はさっさと強くなって上に行くんだ、せいぜい俺達の邪魔をすんなよな!!」


 ボカッ!!  


ヨウの拳骨がモスケの脳天に落とされる。


「……いってぇ!!ヨウ、何すんだ!!」


「知らないっ!!」


ヨウは頬を膨らませると、プイッと顔を背けた。あーぁ、怒らせた、ザマァww




――――チンチラリンリンリ――――ン♪♪


ぶっ!!!何だコレwww チャイムかwww


思わず反射的に吹き出した。


扉が開き、講師が入ってきて教壇に立つと、手際よく講習を開始する。


「……はぃ、皆さんこんにちわ。早速、講習を始めます。ではお手元にある資料を開いて下さい、まずは初歩的な冒険者としての必要事項から―――」


こうして長い長い講義が始まった。




―――――2時間後。



――――チンチラリンリンリ~ン♪♪


「……長かった……。

ん~っ……はぁ、終わった終わった……」


軽く伸びをして軽くストレッチをする。

結局コアラのやつ、終始寝ていた。まぁその方が楽だけど。


講義の内容は大まかに言うと、薬草の種類や見分け方、応急手当ての仕方、サバイバル術、遭難時の対処法、戦闘時に気を付ける事、及び逃走術、等々。

つまり、冒険者としての生存力を高める為のノウハウを叩き込まれたのだ。

なぜなら、冒険者は割りと誰でもなれるし、Fランクでもそこそこ稼ぐ事が出来る為、希望者は多い。だが、それ以上に危険も伴う。時として命を失う不安という恐怖と常に隣り合わせのジョブなのだ。それもあって、こうして()()()()()()()()を賭けておくのだ。ギルドとしても、ほいほい死なれたら具合が悪いという事なのだろう。


ちなみに以前疑問に思っていたあの疑問を講師に質問したところ、『ジョブ』とは職業の事であり、『加護』とは能力の事らしい。

仮に俺で置き換えて言うと『ジョブ=冒険者』で、『加護=剣士』だそうだ。

オカメで言うと『ジョブ=冒険者』で、『加護=魔導剣士』となる。


成る程、納得。



「はい、これで晴れて皆さんは新人冒険者です。最後に冒険者登録を行いますので、私に付いてきて下さいね。」


講師に付いていくと、台の上に30cm四方程の1台の不思議な機械が乗せられている部屋に入った。機械の1ヶ所には穴が開いている。


「はい、では1人づつ右手をその穴に差し入れて下さい。少しチクッとしますが我慢して下さいね。」


注射か!!


俺は右手を穴に差し入れてみる。


―――――チクッ。


「……んっ!!!」


結構痛い。何か5mmくらいの異物を手の甲に入れられた感覚があった。


「―――はぃ、ハリーさん、これで冒険者資格登録完了です。お疲れ様でした、これで晴れてFランク冒険者の誕生ですよ、おめでとうございます!」



これがFランク冒険者ハリーが誕生した瞬間だった。




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