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《21..冒険者とは》

「ちょっとこれは査定に時間がかかりますね…少し御時間下さいますか?」


冷や汗だらだらで戻ってきた鑑定士が平静を装いながら引きつった笑顔で承諾を得てきた。勿論、時間はたくさんあるので御願いした。

そりゃいきなりあんなのが目の前にあったら驚くだろう……ゴメンなさい。


「さて、お茶でも入れましょうか。」


「あっ、オチヨさん、待って待って!!もいっこ用事があんねん!!」


一旦席を外そうとしたオチヨさんを呼び止め、もう1つの要件を告げる。



「――――――というわけで、このハリーを冒険者に新規登録要請したいんやけど…いけるやろか?」


オカメが俺の背中をドンと押す。その反動でカウンター前に押し出される。


「えぇ、大丈夫よ。この書類に必要項目を記入して頂いて、初心者講習を受ければ冒険者登録が出来るわよ~。

ちょうど今、人材登用を積極的に勧めてたところだから、むしろ助かるわぁ♪」


「は…はぁ。えっと、その、恐縮です…。

あのぅ、冒険者の仕事って、俺みたいなド素人でも大丈夫なんでしょうか?」


差し出された書類を受け取り、聞いてみる。


「えぇ、勿論大丈夫よ。ギルドからも必要最低限はサポートさせて頂きますし、何より最初は誰でも冒険者初心者なんですから。ハリーさんも最初は初心者ランクのFランクからのスタートになるから、受ける事の出来る依頼内容も随分簡単なものからになるの。まずはその簡単な依頼の繰り返しでノウハウを覚えていってくれたら、自然と慣れてくると思うわ。だから、安心して頂戴な♪」


成る程…。


俺とオカメはソファに隣同士に腰掛け、その向かいにオチヨさんが腰掛ける。

オチヨさんの簡単なギルドについての説明によると、こういうことらしい。


ギルド所属の冒険者にはAランクからFランクまで6段階のランクに分けられており、ランクが上がる程に難しい依頼を受ける事が出来たり、出来る内容が幅広くなってくるらしい。勿論、依頼の難易度が上がる程、名声も上がり報酬も吊り上がってくる。


そして更にはAランクの上にSランクという至高のランクも存在しているらしいが、あまりにも条件が難しく、未だ数える程しか存在していないとの事だった。


◇冒険者ランク◇


Sランク → 極限至高ランク。

      世界中で名声を認められた冒険者。

Aランク → 最上位ランク。

      国内で且つ国王に名声を認められた冒険者。

Bランク → 上位ランク。

      センターギルドで名声を認められた冒険者。

Cランク → 中位ランク。

      高難易度の依頼受注が可能。

      護衛、高度討伐、迷宮散策等が可能になる。

Dランク → 下位ランク。

      中難易度の依頼受注が可能。

      中度討伐、調査、派遣等が可能になる。

Eランク → 最下位ランク。

      簡易依頼受注が可能。

      警備、簡易討伐、衛兵、素材収集等が可能になる。

Fランク → 新人ランク。駆け出し冒険者。

      主に薬草集めや街民の手伝い等のみ。



簡単にまとめると、こんな感じみたいだ。(貰った契約書に書いてあった)


ますば俺は『薬草集め』あたりから始めなきゃいけないんだな。戦闘とかはまだ出来ないみたいだから…自分としてはありがたい。

俺は申請書に必要事項を記入し、オチヨさんに渡す。



「――――うん、これで冒険者登録申請書は大丈夫。あとは講習を受ければ完了なんだけど……他にも新規登録希望者が数名いるから、あちらの『講義室1』の部屋に30分後に入ってて下さいね♪」


「あっ、はい、わかりました。宜しくお願いします。」


俺は頭を下げてオチヨさんに御礼を告げる。これでいよいよ冒険者か。

そもそも、冒険者の『冒険』って、何だろうな?

広大な草原や山や海、砂漠なんかもあるのかな。ダンジョン潜って宝を探したりとか……うん、意外と悪くないかもしれない。


俺がまだ、やんちゃだった時に『冒険だぁー』とか言って玩具の剣とか持って森林公園で探検ゴッコしてたっけ……。



「……っと、そや、肝心な事を忘れとたわ。なぁなぁ、オチヨさん!!マスター今おるん!?」


両手で頬杖をついて隣で手続きを見ていたオカメが突然思い出したかのように立ち上がる。


「あらごめんなさい、主人は今、出てるのよ…。もうすぐ戻るとは思うのだけれど――――」


ドカァァッ!!



突然、木製椅子が弾けとんだ。


「……ってぇなぁ!!テメェ――!!」


「んだコラ!!テメェがぶつかってきやがったんだろぅが!!」


「おぉ!?因縁つけてきやがんのかコノヤロウ!!!」


「やるか!?ブッ殺してやる!!」


「やってみろや、三下野郎!!!」


――――あららら…喧嘩が始まっちゃったよ…そりゃ確かに血の気の多い連中がこれだけいたら、こうなるよなぁ。どちらも筋骨粒々で屈強な男であった故に周りの人達も止めるに止められずにいる様子だった。



「オチヨさん、アレ止めたろか…?」


オカメが二人に歩み寄ろうと振り返る。


「そうねぇ………あら!?……うふふ、大丈夫みたいよ、オカメちゃん。」


「………にひっ、そうみたいやね。」


ん?どゆこと?





「これでも喰らえや!!」


「でりゃぁぁぁぁ!!!…………えっ!!!?」


―――――バシィッ!!!!


喧嘩真っ最中の二人の拳が飛び、お互いにヒットするかと思われたが、それは当たる寸前に()()()()制止されていた。


「ぐっ…!!ぐぁぁぁっ…いたたたたた!!!!」


その両拳を止めた掌に力が加わり、鈍い音が響く。


その掌の持ち主が悶絶する男二人を見下ろし、口を開く。



「……君ら……ギルド内もしくは冒険者同士の揉め事は厳禁だと常々言っているはずだが……?君ら、処罰を言い渡すから、後で執務室に来なさい。」


「「あ…ぅ、すっ、スミマセンでした!!」」


あの屈強な二人が床に擦り付ける様に土下座している。


そこに、オカメが歩み寄っていく。



「マスター!!お久っ!!」


「え……ええぇっ、マスター!!!?」


「そや、この人がセンターギルドで一番偉いギルドマスター、コテツさんやで!!!!」



無精髭生やした黒髪短髪ボサボサ頭の……この人が!!??



「……やぁ、オカメちゃん。久しぶりだなぁ、オジサン、会いたかったぜぃ☆」


その名高いセンターギルドマスターのオジサンは、頭をボリボリ掻きながらニッカリと笑った。



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