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《10..神官達の死闘》

30人の聖魔導隊が詠唱を開始する。


―――複合極大神聖魔法『天使の大翼(ラウンド・セル)』―――


それは、この『ユーミ神殿』の極秘魔法にして、最大火力を誇る最後の切り札。

5人以上で極大神聖魔法を同時に発動し、重ね合わせて威力を増幅させた『聖なる魔力の波動』を放つというもの。

あまりの威力故に、通常は5人~10人程で発動するのだが、それを30人で発動する。最早、敵は規格外。一気に畳み掛けなければ明日は無い。


「「「―――――偉大なる神の御加護―――光の導きを―――闇を穿つ聖なる波動を―――今此処に顕現せよ!!!!!」」」


凄まじい魔力の光が1つに収束されていく――――



「「「穿て!!!!!『天使の大翼(ラウンド・セル)』!!!!!!」」」



―――――――カッ――――!!!!!!



高濃度に凝縮された巨大な光の波動が『侵略の悪魔(ニンゲン)』に向けて放たれた。



グガガガガドドドド―――ズガァァァ―――――ンン…………!!!!!!!


耳が千切れそうな程の激しく炸裂する爆撃音が鳴り響く。


その衝撃で地面が大きく揺れ、建物が軒並み崩れゆく。


確実に命中した。その手応えもあった。



「………やった……か!!?」


辺りは凄まじい爆風による砂塵が舞い、視界が遮られている。


「皆の者!!油断するでないぞ!!」


「ハッ!!引き続き警戒体制を…………ぐはぁっ!!!!」


―――――ガッ!!!!


砂塵の中から巨大な手が現れ、聖魔導隊10人が一掴みで掴られ、一瞬で砂塵に引き込まれる。


「ギャァァアァァアアア―――――!!!!…………クピッ」


―――――グチャッ……。


握り潰される鈍い音が響く。


まさか…あれでも無傷…だと!!?



「ひっ…ひいぃっ……!!!!」


蜘蛛の子を散らす様に散り散りに逃げ出す聖魔導隊。


「うわぁぁぁ、こっ…こんな化物……どうやって……!!!!」


「ぐぁぁ……熱い!!肺が焼ける…!!!息が……息が出来ない…っ!!!」


「……無理だ!!!!無理だってこんなの!!!!…………ギャァァアァァアアア!!!!!」


逃げ遅れた聖魔導隊員達が巨大な足で踏み潰され、同時に黒炎に包まれ灰となって散っていく。



「……ここまでか……っ……」


タイサはガックリと膝を付く。


「……だが、私はこの偉大なる『ユーミ神殿』の正統なる大神官!!……1人でも多くの民を救ってみせる!!」


砂塵の中からユラリと《侵略の悪魔(ニンゲン)》の全身が現れる。


間近に見ると…とにかく巨大。その大きさは『ユーミ神殿』が誇る大聖堂よりも遥かに大きい。


震える拳を握りしめ、手にする杖を突きだし、凛として睨み付ける。


「我こそは大神官タイサ。……この首……簡単に捕れると思うなよ!!!??」


「タイサ様、我々も最後までお供しますぞ!!!!」


長年共に苦楽を共にした四人の神官長がそれぞれ武器を手に、タイサの前に並び立つ。


「お前達……。すまない、私と共に戦ってくれる事を感謝する!!

―――いざ、推して参る!!!!」




(我が妻、イチゴ…。そして…我が娘、モッチャンよ…後は頼んだぞ……)




突然の危機に、大聖堂へ避難する人々。


その大聖堂を護る《結界防壁》を展開する私の母、『聖母イチゴ』とユーミ神殿が誇る総てのシスター達。



そして私……『聖女モッチャン』は、大聖堂で長く保管されていた御神体『神杖ケーリュケイオン』を託され、王都へ続く街道を駆け抜けていた。



「我々の希望の神具……そして、我が血筋を失ってはならない。私達が奴を抑えている間に、お前は王都へ向かい、援軍の要請を伝えよ」



それが父、タイサが私に告げた使命だった。


「……父上…どうか御無事で…」



私は涙を堪え、必死に駆ける。

王都へは最短でも()()()()()の距離。しかし私はまだその半分の距離も達していなかった。ざっと()()()()かかることになる。

先ほど父が発した『3日』というのは、少しでも人々の不安を拭う為だった。



そう考えていた矢先、少し先の方ではあったが、私の目に()()()()が見えてきた―――――――



「―――――っ!!!!―――――あれは――――!!!!!まさか……」





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