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★第二章★ 願いと使命(1)

 星空の下、法器に跨って空を飛ぶ二人の魔女。シホとヴィエラである。

 向かうのは当初のシホの目標地点。不時着した山の頂だ。

 そこで蒼星の魔女たち――プラーネ星団の面々と会う手筈だったのだが、諸々のトラブルにより、とうに到着予定時刻は過ぎてしまっている。

 シホの視界に映るのは、木々が黒く茂り、点々と街灯が灯る小さな山と、先導して飛行するヴィエラの背中。

 彼女が乗る法器はシホのものと些か形状が異なる。

 光沢のある青と銀のパーツで造られたボディ。魔法術式の処理を行うメインユニットは前方側に集中しており、その塊から隆起するようにアーチ状にスロットルグリップが生えている。

 そして最大の違いはエンジンノズルまわりの形状。

 シホの法器は推進剤を噴出する一基のエンジンノズルと、それをぐるりと取り囲む複数の‘羽根’があるのに対し、ヴィエラの法器は横並びの三基のノズルを台形型の覆いが包みこんでいる。

 この違いは、シホの法器の‘羽根’が、その角度を変えることで昇降舵エレベータ方向舵ラダー水平安定板スタビライザーを兼ねる働きをしている代わりに、ヴィエラの法器は複数のエンジンノズルそのものの角度を変えることで機体を制御しているからである。

 飛行の為の構造ギミックが違うのだ。ゆえに形状が異なるのは当然の事で。

 少々乱暴に例えるなら……シホの持つ法器が箒なら、ヴィエラの法器はコードレス掃除機のような外観だった。

「にしてもマニュアルとは渋いチョイスだねー。シホみたいな子が乗ってるイメージ無かったっていうか。あー、もしかしてギャップ萌え狙い?」

 ヴィエラが振り返って言った。法器の型についての事だ。違いますって、とシホは苦笑する。

 たった今、シホが乗っているのがマニュアル型。ヴィエラが乗っているのはオートマチック型だ。例外もある為、厳密には違うのだが一般的に魔女の間では法器の飛行構造による差でこう呼ばれて区別されている。

 現在、星の魔女の間では後者のタイプ――オートマチック型が主流だ。

 理由は二つ。飛行時のエンジンノズルの制御がその名の通り自動――オートマチックである為、操縦がラクなこと。そして何より、後発モデルゆえに対応魔法術式が多いこと。

 反して、マニュアル型は‘羽根’を自身で操作する手間はかかるものの、より細かで自由な操縦が可能。クーヴァとの戦いの際にシホが見せた、曲芸のような飛行が可能なのもそのせいだ。

 しかし対応魔法術式の幅が狭いという欠点がある。実際これがデカいのだが、幸か不幸か。そもそも使える魔法が少ないシホにとってはさほど気にならない。

 操縦に関して一廉ひとかどの才を持つシホにとっては最適なチョイスなのだろう。

 一方、数あるオートマチック型の法器の中で、メインユニットが前方に位置するモデルをヴィエラが選んでいるのは……やはり棍棒のような感じに振り回せるからだろうか……?

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