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★第五章★ 願いの先は(6)

 何が――何が起こったのか。

 相談できる相手は――もう居なかった。

 シホは黒い椅子の上でスカートを握りしめたまま、茫然と暗い廊下を見つめていた。

 もうなにも――頭は思考などしていない。

 虚ろに手の中の輝石を見る。

 ちかちかと蛍光灯が瞬いた。

 気がつくと、レイナちゃんが居ない。さっきまで隣にいたはず、だけれど。

 冷たい廊下に視線を這わせていくと――階段の手前にレイナの持っていたお守りが落ちていた。ふらふらと立ち上がり、それを拾い上げるとシホは階段を上っていく。

 暗い廊下に自分の足音だけが後をついてくる。

 なにかに導かれるように、シホは亡霊のように上へ上へと上り――やがて現れた鉄扉を開ける。ぎぎいっ、と軋む音をたて――冷たい空気が顔を撫でる。

 屋上だ。すっかり空には星が――瞬いている。

「あは――あはは――」

 どこからか声が聞こえてきた。そちらを振り向くと――

「そうだ――おばあちゃんがいってた――」

 屋上をふらふらと歩み――

「お願いごとは――」

 柵によじ登っていく少女の影が見えた。停止していた思考が覚醒し、シホは走り――

「レイナちゃんっ!」

 柵から身を乗り出したまま虚ろに笑うレイナは空に向かって手を伸ばし――

「ながれぼし――ながれぼしにお願いしなきゃ――」

 二人の伸ばした手が空をきり―― 

 ……!!

 もう――そこにレイナの姿は無かった。

 ――――。

 っご……――っしゃっ……

 少し後に――シホが聞いたことの無い、鈍い音が聞こえた。

 …………

 …………

 …………

 がくりと崩れるように座り込み――手からお守りがこぼれ落ちる。巾着の中から……透明の円盤が飛び出し、からからと音をたてて回り回り回り――そして、ようやく、止まった。

 サイレンが響き――遠くからざわめきが聞こえる。

 シホが呆然とへたり込んでいると――

「あら――落ちちゃった。この高さじゃ――この星の生き物は助からないわね」

 シホがゆっくり振り返ると、魔女の姿があった。

「魔術書――記録水晶グラム・クォーツは案外壊れやすいから……衝撃で割れなくて良かったわ」

 彼女は円盤をつまみ上げる。

「そう気をおとさないで、シホ。それに――ほら、見つかったわよ? 『失われし魔術書』が――」

 そう言って彼女は――プラーネは微笑んだ。


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