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収納空間って……つかう時に魔力をつかうものなのか。
サローちゃんが来たのでチダメグサを渡し、ハーバラムさんへ訊ねる。「収納空間って、魔力が必要なんですか?」
「ひとによるけど大概はね」
ハーバラムさんに拠ると、収納空間は幾つかのタイプが存在する。
1.ものをいれた量に応じて持続的に魔力を消費する。
2.ものをいれた時に魔力を消費する。
3.魔力を必要としない。
1は冷蔵庫と電力の関係に近いかな。ハーバラムさんはこれで、一定量を超すと体がだるくて動けなくなる。
2は、コインロッカーみたいな感じか。ダストくんはこのタイプらしい。
時間停滞は、収納空間持ちのなかでも二割か三割しかいない。そのなかでも時間の停滞具合はまちまち。一週間スープを熱々のまま保存出来るひとも居れば、一日保てるかどうかのひとも居る。香辛料とか、氷を行商しているひとは、ほとんどが時間停滞の収納空間持ち。
ハーバラムさん曰く、時間停滞の収納空間は、タイプ1か2。魔力消費がないなんてのは聴いたことがない。
じゃあ、魔力が減っていってる振りをしたほうがいいのかな?
と思っていたら、ハーバラムさんがしみじみ云った。
「マオはやけに食べるなあって思ってたけど、魔力をつかってたからだね。時間停滞の収納空間は魔力消費も激しいらしいのに、無理させてごめんよ」
「いやー。よく食べて、寝てるので、だいじょぶです」
ハーバラムさんはにっこりして、頭を撫でてくれた。
魔力は食事で補うんだな。勉強。
そうか、揚げパン食べすぎたのもそのせいだなきっと! なるほどね。……そういうことにしとく。
「だからありったけ買って来いって云ってんの! 金ならあるんだから! ほらじいちゃんこっちが沸いてる」
サローちゃんの怒鳴り声に、ハーバラムさんと揃って飛び上がった。
「ロムのばかが出し渋ったら貝貨見せてやんな! それとバルが値を釣り上げてきたら魔力薬のこと協会へ訴えるって云っとけば収まるから! さっさと行く!」
奥からサローちゃんが出てくる。無表情だ。「ん」
差し出されたざるへチダメグサをのせた。サローちゃんは髪を翻して踝を返す。
「そこの棚に魔力薬があるから、服んでいいよ」
返事をする前に姿が見えなくなった。
ハーバラムさんを見た。目をまるくしている。「……魔力薬、服むかい?」
「や、やめときます」
なんかこわいから。




