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 ステューフさんとエイマベルさんが、イルクさんを追ってやってきた。「イルク」

「その子が弟さん?」

「……ああ」

 シュナースヴェン兄弟はぱっと離れる。「弟のグエンだよ。娼妓をやってる」

 グエンくんがふたりへ軽く頭を下げた。ふたりも会釈する。それから、俺、ミューくん、リーニくんを見て、小首を傾げる。「マオ……」

「どうも」

「君も娼妓を?」

「マオは違うよ」兄の言葉を、グエンくんが即座に否定した。「騙されそうになったんだ。もうちょっとで……」

「……そうか」

「マオのおかげで、クラルの病が治るかもしれないんだ」

 イルクさんが吃驚した顔をこちらへ向けた。俺はへらへら笑っている。グエンくんは、ミューくんを示した。「マオの友達の、こちらの癒し手さまが、クラルを診てくれるって」

「でも……」イルクさんは戸惑って、俺やミューくん、グエンくんを見る。「今だって、癒し手に恢復魔法をかけてもらってるだろう」

「その辺の癒し手とは違うんだよ。気絶したひとをすぐに起こしたり、凄いんだ」

「そうか……イルク・シュナースヴェンです。癒し手さま」

「あの、まだみならいなんです。治せるかどうかは解りませんし」

 ミューくんはちょっと困った顔だったが、微笑みをつくる。「でも、俺がだめだったら、ほかの癒し手に協力を頼んでみます。癒し手の知り合いは多いですから、誰かはなんとかできると思いますよ」

 イルクさんはそれを聴いて、目に涙を浮かべた。「ありがとうございます……」


 六人は出て行く。リーニくんも、グエンくんについて行くそうだ。荷物持ちだよ、とにこにこしていた。

 テーブルの上に残った食糧を傭兵達に配る(感謝された)。沽券などの書類は、持って帰っていいとのことなので、収納空間へ放り込んだ。ふん縛る前にロントにきいたが、ウロアの私邸と、ラッツァク商会にも、書類は山程あるらしい。それらも全部調べないといけないのか。うんざりする。

 計算能力の高いひとって、ミューくん以外に居たかな。そういうひとを傭兵協会から貸してもらえたりしないのだろうか。

 伸びをした。「マオさんってほんとに、暢気ですね」

「……ツィークくん」

 ツィークくんは新しい剣を佩いていた。前髪が乱れているのを、神経質に手で直している。

「ここは協会でくわしく調べます。さらわれたひとがまだどこかに閉じ込められているかもしれない」

「ああ、そうだね。お願いします。そのひと達にも、賠償はしますから」

「ラッツァクと、ウロア個人の所有不動産も、調べますよ」

「うん。助かります」

 ツィークくんは、溜め息を吐く。「あなたはおかしい。……罵ってる訳じゃありませんからね」

 おかしい、も、いい意味になるものなのかな。ま、自分でもおかしいとは思うから、腹は立たないけど。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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