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リッターくんがユラちゃん達のところへ戻り、飛び付いてきたお父さんを抱きしめる。……リッターくんって色々特殊すぎない?
リオちゃんがちょっと離れたところから俺に手を振った。「マオさん、迎えが来たからリオは帰るわね!」
「うん。ありがとー!またね!」
手を振り返した。リオちゃんはにこにこで、お迎えのひとらしい男性ふたりと出て行く。
リッターくんが俺に目礼し、ユラちゃんは尊大に顎を上げる。
「マオ、またご飯食べに行ってあげるから、沢山お菓子用意しとくのよ」
「うん。待ってるね」
ユラちゃんは、何故だかふんと鼻を鳴らして、跫高く出ていった。お父さんと手をつないだリッターくんが続く。リッターくんがお兄さんにしか見えないんだけどな-。あれくらいの身長の小学生居るでしょ?小学生の時は一番大きかったのに、中学でどんどん追い抜かれるパターンのやつ。
けもみみさん達が、ユラちゃんの侍女達に促され、一緒に出て行った。正式にロヴィオダーリ家が身許を預かることになったみたいだ。
傭兵のおにいさん達に崇め奉られながら、ミューくんが居心地悪そうにやってきた。「ミューくん、治療してあげたの?」
「あ、はい。後遺症が残ってるかたが居たので、銀貨1枚で全部治しておきました。そしたらなんか、組んでほしいとか、協会にはいってほしいとか、色々と」
相当ラブコールされたみたい。優秀なヒーラは誰だってほしいよな。ミューくんの優秀さは折り紙付きだし。なにしろ、一次試験で合格だ。
「……マオさんは元気ですね」
「うん?ああ、ご飯食べたから」
胸を張る俺に、ミューくんはくすっとした。
ミューくんは笑顔をひっこめる。「もうそろそろ、グエンさんのご家族が来るみたいです。そしたら一緒にお宅へ伺って、妹さんの治療をしてきます」
「あ……なんとかなりそう?」
「多分」
ミューくんは優しい目をした。「チェスが病になって、それを治せなかったら、俺だってばかなことしますよ。グエンさんの気持ちは解るつもりです」
「うん。俺も、解るよ。妹が居るから」
「そうなんですね。……俺でだめだったら、両親や、知り合いの癒し手に頼んでみます」
ジーナちゃんが侍女達をひきつれてやってきた。侍女達はミューくんへ、丁寧に頭を下げる。俺にも一応会釈はくれた。会釈を返す。
「わたしはもう帰らないといけないわ」
「解った。エンバーダート邸かい?チェルノーラ邸?」
「ううん。銀の海亭よ。お母さまのやっている……中央二番区のほう」
「ああ、あの。解ったよ。こっちの用事が済んだら行ってもいいかい」
「来てくれるの?」




