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 ジーナちゃんはサキくんが好きだよ、とは、口が裂けても云えない。そこは、当人達のタイミングでやってもらわないといけないことだ。

 なのだけれど、もどかしい。ミューくんは慥かに凄くいい子だ。そして、外見もかっこいい。でも、ジーナちゃんがさっきからずっと気にしてるのはサキくんで、それは多分、サキくんとリオちゃんが仲睦まじくしていることに対する……焦りというか、嫉妬というか、なのでは。

 ジーナちゃんがミューくんにパンを食べさせてたのも、その裏返しな気がするんだよな。みせつけるというか。

 その辺のことを云いたくても云えはしないので、俺は微笑もうとした。引き攣ったけど。「ミューくんはいい子だけど、サキくんだってまけてないよ。かっこいいし」

「マオさんは優しいな」

 サキくんはくすっとした。


「マオ」

 びくつく。真横にジーナちゃんが立っていた。「ジーナ」

 サキくんがにこっとした。ジーナちゃんはちらっとサキくんを見て、目を逸らす。

「今日は、家族の許へ帰らされそうだわ」

「ああ、うん。仕方ないよ。お母さん達心配してるだろうし」

「……そうね。ミューとの縁が切れてしまったらことだもの。がらすの食器みたいに護送されても当然ね」

 ちょっと棘のある言葉に俺が反応するよりはやく、サキくんが半畳をいれる。

「僕がお宅まで送ろうか?君が割れないように気を付けるよ」

 サキくんもこんな軽口を叩くんだ。吃驚した。

 ジーナちゃんは一瞬目を瞠ってサキくんを見、顔をしかめた後背を向けて居なくなってしまった。

 サキくんは頭を掻く。「……失敗しちゃったなあ。僕、いつもこれなんです。距離感を掴むのが苦手で」

「ジーナちゃん、凄く怒ってるってわけじゃないと思うよ」

 戸惑いが強いと思う。サキくんに話しかけられて動揺したのと、内容に吃驚したんじゃなかろうか。

 サキくんは、ジーナちゃんの侍女達を見遣った。ジーナちゃんがそちらにあらわれ、侍女達となにやら言葉を交わす。侍女達はジーナちゃんが突然あらわれることに慣れているのか、驚いた様子はない。

 サキくんがひとりごとみたいに云った。

「いろんなものでがんじがらめなのは、みんな一緒なんですね」


 サキくんが傭兵に呼ばれ、俺に一礼して去って行った。いれかわりみたいにリッターくんがやってきた。精々中学生にしか見えないお父さんは、ユラちゃんと話し込んでいる。「マオ、俺達は裾野邸へ戻る」

「うん。ありがとうね」

「いや。お前のおかげで、無駄に戦わずに済んだ」

 リッターくんは目を伏せる。「俺は戦いは苦手だ」

 そうなの?……やっぱりこの子心配だ。率先して戦うんだもん。誤解されちゃうよ。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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