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暢気に、でもないか。なにしろ六人は、戦闘が始まったと判断するや、即座に戦闘態勢にはいり、警邏隊員数名を伸してしまったのだから。リオちゃんなんて、まだパンをもぐもぐしていたのに、である。
警邏隊や、傭兵が、六人の聴取をはじめている。ジーナちゃんとユラちゃんは侍女を通してだし、リッターくんはロヴィオダーリ卿と一緒だ。ミューくんは恢復魔法をつかったからか、傭兵から下にも置かない扱いをうけている。
ツィークくんがテーブルからパンをとって、かじった。「あ、これもおいしい。……で、これって、どういうことなんですかあ?そこに転がされているのは、ラッツァクの商会長に見えるんですけどぉ」
俺はえへへと頭を掻いた。ツィークくんとリーニくんが顔を見合わせ、リーニくんが肩をすくめた。
「マオっていっつもこんなの」
「ほんとにそうですねえ」
「ツィーク」見覚えのある傭兵(名前は知らない)が、のしのしやってきた。「あっちの棟に、お歴々が監禁されてるってよ。マイファレット卿、ナスタグリー卿、グークマの縁者もいるってさ」
「監禁って、仲間割れですかねえ?」
「ああ、グークマが下手を打ったって話だし、そうかもな。ラッツァクの私兵が見張ってたよ」
「あの」
俺は片手をあげた。三人がこちらを見る。「それ、俺が命令しました」
ツィークくんはいらいらと、行ったり来たりしている。俺は椅子に座らされて、まるきり取り調べのようだ。
名前の解らない傭兵さんが、リーニくんにパンをあーんしてもらってでれでれしている。リーニくんはこういう時でも、営業努力を怠らない。
警邏隊は、けもみみさん達や、アラン達、グエンくんにも聴取していた。リューは意識をとりもどしたが、茫然としている。アランとゾラさんで、絶縁の手続きのことを説明していた。
ツィークくんはそれらを一瞬横目で睨んでから、俺に目を戻した。「つまり、マオさんがラフェル・ウロアと賭けをして、勝って、ラフェルのすべてを譲り受けた、と?」
「はい。その通りです」
首をすくめて答える。ツィークくんはいらいらが頂点に達したようで、がつんとテーブルを殴った。俺はびくっとする。
「あなたというひとは、どれだけ無茶をしたら気が済むんですか?セロベルさんに迷惑がかかるとか、そういうの考えてます?」
「えーと。えへへ。すみません。必死だったので。あの、脅されたんですよね、なんか、俺のせいで損害が出たとかなんとか。それで、つい、賭けましょうなんて」
そういうことにしておこう。本当は、賭けに持ちこむ機会をずっとうかがってたんだけど。
ツィークくんは頬をひくつかせた。「あなたはいまいち信用できない。煙幕を張るのがお得意らしいですからねえ」




