表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
826/6873

786

 

 けもみみさん達は、戸惑い顔でマグを持っている。俺はちょっと考えてから訊いた。「あの、おなかすいてなかったですか?」

「え……」

「それなら、残してもらって結構です。ひきとりますんで」

「いえ」狼っぽい耳の青年が頭を振る。「おなかは、減ってます」

「じゃ、遠慮せずにどうぞどうぞ、……もしかして、苦手ですか?人参」

「いいえ……」

 しかし、けもみみさん達はなかなか食べようとしない。俺のお料理、まずそうに見えてるのかな。これは、もっと精進が必要なようだ。おなかに収まったら一緒じゃん、という雑なところがつい出てしまうんだよな。煮物の色味も気にしないし、食卓が茶色っぽくなっちゃうことも多々あるし、破れ茶碗でもつかえるなら(ほんとはつかいたくないけど勿体なくて)つかっちゃうし。

 とりあえず、あんまりしつこく食べろ食べろとすすめるのはよくないな。自分の食事に集中しよう。

 ベシャメルソースのパンをばくばく食べていると(意地汚い自覚はある)、狼耳の青年がおずおずと話しかけてきた。「……マオさん?」

「はあい」口のなかのものをのみこむ。「なんでしょう」

「これ、おいしいです」

 狼耳さんは、腸詰めのパンを示してそういった。八重歯、というか、牙がきらっと光る。やっぱりお肉好きなのかなあ、とどうでもいいことを考えた。


 狼耳さんが食べると、ほかのひと達もパンをとりはじめる。まずそうなんじゃなくて、警戒していたのかもしれない。

「サキちゃん」

「うん……」

 リオちゃんはサキくんにあーんしてご満悦だ。サキくんは困った顔でパンを食べている。ふたりは立ったままお食事。

 ジーナちゃんはミューくんと並んで座って、低声で喋りながらお食事中。しかし、目はちらちらとサキくんを見ていた。

 ちなみにミューくんの隣にはリッターくんが陣取っていて、黙々と食糧を口に詰め込んでいる。ミューくんと仲好くなりたいのか、凄く距離が近いのだが、リッターくん、ミューくんのそれなりに怯えた表情を見て気付いてくれ。リッターくんいい子なんだから、勘違いされないようにならないかなあ。

 ユラちゃんはろくに嚙みもせずにどんどんのみこんで、ひょいと椅子を降りた。「ほら、席が空いたわよ。あんたここに座りなさい」

 グエンくんを引っ張って、椅子に座らせている。グエンくんは瞬いて、低声でお礼を云った。「ありがとう……」

「当然のことよ!わたしはレフオーブル家の者、弱者には情けをかけるわ」

 ユラちゃんは胸を張る。グエンくんは苦笑した。でも、親切にしないよりはするほうがいいよね。だからユラちゃんはいい子。

 満足するまで食べたので俺も席を立って、アランに椅子を譲った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ