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ハーバラムさんがお店から出てきた。「お待たせ。じゃ、文房具屋さんに行こうか。あらーマオ、おいしそうだねえ」
はっ。手が勝手にドライフルーツを口へ運んでいる。
トゥアフェーノ、こんないいもんくってるのか。おいしい。「……いかがですか」
ダストくんから頭を撫でられた。ハーバラムさんがにっこりして、じゃあ戴こうかね、とドライバナナをひとつとっていく。
「おいしいね。っよし、そんじゃ、東を目指すよ」
ハーバラムさんの指示で、ダストくんがトゥアフェーノを歩かせる。ハーバラムさんが先頭に立った。
ドライフルーツくいながらついていった。うまい。
文房具屋さんは、ものすごーく広かった。
まず敷地が広い。門を通って敷地へはいり、奥へ通された。勿論、馬車もだ。
十分くらい歩いて、奥のほうの棟にはいる。そこは倉庫のようで、入口が広く、馬車もはいれた。
そこで、ハーバラムさんが持ってきた、植物や、ドールさんのつくった染め粉、やすでからつくられた肥料などをお店のひとへ渡す。
で、その代金と、さっき香木を売ったお金とで、ハーバラムさんは紙やインクを沢山買った。それと、ハードカバーの分厚いノートもいっぱい。
それらを、インクつぼ以外は馬車へ積み込み、お店の敷地を出た。
「レントでは、入山の為に勉強漬けの子が多いから、文房具は飛ぶように売れるんだよ。当然、年中品薄さ。持っていけばあっちの文房具屋に喜ばれる」
ハーバラムさんは悪戯っぽく片目を瞑る。「あと、意外と売れるのが、恋愛ものの小説だね。覚えときなダスト坊」
ダストくんはむずがゆそうな顔をした。
馬車の中身はほとんどが文房具に姿を変えた。
ハーバラムさんが、時間がまだあるからと、アクセサリのお店へ連れて行ってくれる。露店だったが、ハーバラムさん曰く、このまちで一番の品質らしい。
店番の丸っこいおじいさんに、ネックレスと指環、腕環を見繕ってもらう。
こちらの世界では男性が恒常的に着飾るからか、アクセサリは安い。貝貨が何枚かでお店のものをすべて買い取れてしまいそう。ピアスなんて、ちっちゃいざるにひと盛りが、銀貨一枚で売っていた。価格破壊。
相場が解らないので、予算は銀貨百枚くらいで、と云ってしまった。そうしたら、まあ大量になった。ネックレスなんて、全部つけたら首がしまって死にそう。
で、それだけ量があっても、耳に穴をあけなくてもつけられるタイプの耳飾りはない。こっちの世界にはないと考えたほうがいいな。構造が解らないし、自作は難しい。俺は器用ではないのだ。耳飾りは諦めよう。
指環を三個つけた。あとはいっしょくたに布で包んでもらって、収納空間へ仕舞う。
お金は、持っていた貝貨をハーバラムさんに崩してもらった。おじいさんは上客にほくほく顔。
ドライフルーツは、全部食べてしまいそうだったので、ダストくんへ返した。半分くらいで。
指摘戴いたので、耳飾りについて加筆しました。




