73
ん?
あ、そっか。傷薬、ポーチにいれてた。
場所があったから、ドールさんのお薬はそちらへ移している。動くとかちゃかちゃ音がするので、ドールさんのくれたお薬をすきまにいれてみたら、音がしなくなった。
エイマベルさんは、ダストくんのお母さんが凄い薬をつくった、と考えたらしい。
巧いこと疑いが晴れた。イルクさんステューフさんもほっとしたみたいで、低声でエイマベルさんをからかう。「エイムは考えすぎなんだよ」
「もしあのちんちくりんが錬金術士なら、入山してた筈だから、それを云わないのはおかしいって」
「そうね。そういえば、あの子の母親も入山経験者だって、お菓子くれたおばさんが云ってたわ」
「田舎じゃそれくらいしか自慢がないからな」
「大金積まれたってまもりたくないような、なんにもない村だぜ」
なんか、めちゃくちゃ悪口云ってる。こそこそ話してるけど聴こえてますよ?
ダストくん怒らないのかな、と思ったが、無視していた。まあ、ああいうのに反応するのは大人げないし、そもそもああいう心持ちのひと達にまもられるくらいなら自分でなんとかするんだろうなあ、ダストくんなら。
ハーバラムさんはちょっと先を歩いているので、まったく聴こえなかったろう。聴こえてたら、下品な会話はおやめ、くらい云いそう。云ってやろうかなあ。
迷っているうちに三人は別の話題にうつっている。
明日の午前中に予定通りなにかを買おうという相談だ。商人でなくとも、お小遣い稼ぎの行商程度ならできるよう。
食堂についた。テーブルのひとつへつく。ダストくんが早速編み込みを始めてくれた。「ありがと」
「ああ。マオ、簡単に着けられる髪飾り、買っといたほうがいいぞ。じゃなきゃ耳飾り」
ごせつもっともです。
耳に穴をあけるのは抵抗があるから、髪飾りとか、指環腕環を手にいれよう。
ダストくんがてばやく頭をなんとかしてくれた。これで女の子には見えまい。
ご飯が運ばれてくる。おお、パンだ。それに、お肉と野菜のスープ? 煮込み? と、ふかしたかぼちゃ、あとなにかのジャムみたいなもの。いい香りだけど、香辛料は少なめな感じ。
食べてみると、パンは発酵させていないっぽかった。ちょっと重曹が多すぎかな。
煮込みは味気ない、と思ったら、ジャムみたいなやつがソースで、好みでそれを足して食べるらしい。ひと匙いれたらおいしかった。ちょっとぴりっとする。
かぼちゃはおいしい。ふつうに。




